伊勢物語と仁勢物語

パロディーと諧謔の、仮名草子。

古典文学

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

天の羽衣(奈具社)-2

天の羽衣(奈具社)

イメージ 1
前回の羽衣伝説は、近江のモノで代表的な説話ですが、
チョット変わった羽衣伝説もあります。
今回紹介したい物は、古事記、丹後国風土記などの説話です。
天女の衣を隠すのは同じですが、
隠すのはお爺さんとお婆さん。
天女は養女となり、酒造りをします。
家は豊になり何の不足も無くなった10年後、老父婦、
「おまえは我が子では無い、今すぐ出て行け!」と。
天女は、泣きながら流浪して辿り着いたのは、
竹野(たかの)の郡船木の里の奈具(なぐ)の村、
ここで悲しみがなぐみ(慰)ました。
お爺さんとお婆さんは?
もちろん良いこと有るわけ無いでしょう。


関連:奈具神社・豊宇賀能賣命


丹後の国の風土記に曰はく、丹後の国丹波(たには)の郡。
郡家(こほりのみやけ)の西北(いぬゐ)の隅の方に比治(ひぢ)の里あり。
此の里の比治山の頂に井あり。其の名を真奈井(まなゐ)と云ふ。
今は既に沼と成れり。

此の井に天女八人降り来て水浴(みかはあ)みき。時に老夫婦あり。
其の名を和奈佐の老夫(わなさのおきな)・和奈佐の老婦(おみな)と曰ふ。
此の老等、此の井に至りて、密かに天女(あまつをとめ)一人
衣裳(きもの)を取り蔵(かく)しき。即て衣裳あるものは皆天に飛び上りき。
但、衣裳なき女娘(をとめ)一人留まりて、
即ち身は水に隠して、独懐塊(ひとり は)ぢ居りき。

(ここ)に、老夫、天女、に謂ひけらく、
「吾は児なし。謂(こ)ふらくは、天女娘、汝(いまし)、児と為りませ。」
といひき。(天女、答へけらく、「妾(あれ)独人間に留まりつ。
何ぞ敢へて従はざらむ。謂ふらくは衣裳を許したまへ」といひき。
老夫、「天女娘、何ぞ欺かむと存(おも)ふや。」と曰へば、
天女の云ひけらく、
凡て天人(あめひと)の志(こころばへ)は、信(まこと)を以ちて本と為す。
何ぞ疑心多くして、衣裳を許さざる」といひき。
夫答へけらく、「疑多く信なきは率土(ひとのよ)の常なり。
故、此の心を以ちて、許さじと為ひしのみ。」といひて、遂に許して、)
即ち相副(あひたぐ)へて宅(いへ)へ往き、
即ち相住むこと十余歳(ととせあまり)なりき。

爰に、天女、善く酒を醸み為(つく)りき。
一杯(つき)飲めば、吉く万の病除ゆ。
其の一杯の直の財は車に積みて送りき。
時に、其の家豊かに、土形(ひぢかた)富めりき。故、土形の里と云ひき。
此を中間(なかつよ)より今時に至りて、使ち比治の里と云ふ。

後、老夫婦等、天女に謂ひけらく、
「汝は吾が児にあらず。暫く借(かり)に住めるのみ。早く出で去きね。」
といひき。ここに、天女、天を仰ぎて哭働(なげ)き、
地に附(うつふ)して哀吟(かな)しみ、即て老夫等に謂ひけらく、
「妾(あ)は私意(わがこころ)から来つるにあらず。
是は老夫等が願へるなり。何ぞ厭悪(いと)ふ心を発して、
忽に出し去(す)つる痛きことを存(おも)ふや。」といひき。

老夫、増発瞋(ますますいか)りて去(ゆ)かむことを願む。
天女、涙を流して、微(すこ)しく門の外に退き、郷人に謂ひけらく、
「久しく人間に沈みて天に還ることを得ず。
復、親故(したしきもの)もなく、居らむ由(すべ)を知らず。
吾、何にせむ、何にせむ。」といひて、
涙を拭(のご)ひて嗟嘆(なげ)き、天を仰ぎて哥ひしく、

  天の原 ふり放(さ)け見れば 霞立ち 家路惑ひて 行方知らずも

遂に退き去きて荒塩の村に至り、即ち村人等に謂ひけらく
「老父老婦の意(こころ)を思へば、我が心、荒塩に異なることなし。」
といへり。仍(よ)りて比治の里の荒塩の村と云ふ。
亦、丹波の里の哭木(なきき)の村に至り、
槻(つき)の木に拠りて哭きき、故、哭木の村と云ふ。

復、竹野(たかの)の郡船木の里の奈具(なぐ)の村に至り、
即ち村人等に謂ひけらく、
「此処にして、我が心なぐしく成りぬ。古事に平善きをば奈具志と云ふ。
といひて、乃ち此の村に留まり居りき。
斯(こ)は、謂はゆる竹野の郡の奈具の社(やしろ)に坐(います)す
豊宇賀能売命(とようかのめのみこと)なり。

(逸文丹後―古事記裏書・元元集七)

天の羽衣(伊香小江)

天の羽衣(伊香小江)
下に意訳したものがあります。

イメージ 1

古老の伝へて曰へらく、
近江(あふみ)の国伊香(いかご)の郡、与胡(よご)の郷。
伊香の小江(をうみ)。郷の南にあり。
天の八女(やをとめ)、倶に白鳥と為りて、天より降りて、
江の南の津に浴(かはあ)みき。

時に、伊香刀美(いかとみ)、西の山にありて遙かに白鳥を見るに、
其の形奇異(あや)し。因(よ)りて若し是れ神人(かみ)かと疑(おも)ひて、
往きて見るに。実に是れ神人なりき。

ここに、伊香刀美、即(やが)て感愛(めづるこころ)を生して得還り去らず。
密かに白き犬を遣りて、天羽衣を盗み盗らしむるに、
弟(いろと)の衣を得て隠しき。

天女、乃ち知りて、其の兄(いろね)七人は天上に飛び昇るに、
其の弟一人は得飛び去らず。
天路永く塞(とざ)して、即ち地民(くにつひと)に為りき。
天女の浴(かはあ)みし浦を、今、神の浦と謂ふ、是なり。

伊香刀美、天女の弟女と共に室家(をひとめ)と為りて此処に居み、
遂に男女を生みき。男二たり女二たりなり。
兄の名は意美志留(おみしる)、弟の名は那志登美(なしとみ)、
女は伊是理比?起(いぜりひめ)、次の名は奈是理比売(なぜりひめ)、
此は伊香連等が先祖なり。是なり。

後に母、即ち天羽衣を捜し取り、着て天に昇りき。
伊香刀美、独り空しき床を守りて、
●(口+金)詠(ながめ)すること断(や)まざりき。

(逸文近江―帝皇編年記)

伊香(いかご)の郡=伊香郡(いかぐん)、長浜市に編入
与胡=余呉
小江=大江は琵琶湖、小江は余呉湖
伊香刀美=伊賀津臣と同じか
室家(をひとめ)=他人の妻を敬っていう語
帝王編年記=神代より後伏見天皇までの歴史を漢文編年体で記した記録

関連:伊香具(いかぐ)神社

追加、意訳
昔々、年老いた爺さんが語ってくれたお話。
琵琶湖の北に余呉湖という湖があったんだ。琵琶湖は大きいから大江、余呉湖は小さいから小江(をうみ)と云ったんだ。それはそれは綺麗な湖だから鏡湖(きょうこ)とも呼ばれていました。ある時、天女が白鳥に変じて八人、舞い降りて水浴びをしていたんだ。

これを目撃していた伊香刀美(いかとみ)というお兄さん、そっと覗き見すると、それはそれは綺麗な美女が沐浴してるではありませんか。たちまち「なまめいて(♡♥)」しまいました。白という犬に命じて天羽衣を盗ませて隠してしまいました。天女達は異変に気付いて7人は慌てて天へ帰りましたが、一番下の天女は取り残されてしまいました。

伊香刀美は困っていた天女を家に連れて帰り、妻にしました。月日は流れ、2人の男の子と2人の女の子が生まれました。ある時、天女は家の中を片付けていると偶然、自分の天羽衣を見つけ、羽衣を隠したのは夫であると知りました。天女は天の父母や姉妹達の顔が目に浮かび、とうとう天へ帰って行きました。残された伊香刀美は呆然と天を眺め暮らしていました。

ひとり地上に残された天女、
どんな気持ちでいたんでしょうか。
羽衣を取り戻し天へ昇る時、
後に残す気持ちはどんなだったんでしょう!
北欧神話のワルキューレとの比較もワクワクする題材だ。




日本書紀 衣通姫

衣通姫(日本書紀から)一番下に和歌解説があります。そちらだけでも見てください。

七年の冬十二月の壬戌の朔に、新室に讌す。天皇、親ら琴撫きたま
ひ、皇后、起ちて儛ひたまふ。儛ひたまふこと既に終りて、礼事言したまは
ず。当時の風俗、宴会に、儛ふ者、儛ひ終りて、則ち自ら座長に対ひて曰さ
く、「娘子奉る。」とまをす。時に天皇、皇后に謂りて曰はく、「何ぞ常の礼
を失へる。」とのたまふ。皇后、惶りたまひて、復起ちて儛ひたまふ。儛ひた
まふこと竟りて言したまはく、「娘子奉る。」とまをしたまふ。天皇、即ち皇
后に問ひて曰はく、「奉る娘子は誰ぞ。姓字を知らむと欲ふ。」とのたまふ。皇
后、已むこと獲ずして奏して言したまはく、「妾が弟、名は弟姫。」とまをした
まふ。弟姫、容姿絶妙れて比無し。其の艶しき色、衣より徹りて晃れり。是を以
て、時人、号けて、衣通郎姫と曰す。天皇の志、衣通郎姫に存けたまへり。
故、皇后を強ひて進らしむ。皇后、知しめして、輙く礼事言したまはず。
爰に天皇、歓喜びたまひて、則ち明日、使者を遣して弟姫を喚す。
時に弟姫、母に随ひて、近江の坂田に在り。弟姫、皇后の情に畏みて、参向
かず。又重ねて七たび喚す。猶固く辞びて至らず。是に、天皇、悦びたまは
ず。而して復、一の舎人中臣烏賊津使主に勅して曰はく、「皇后の進る娘
子弟姫、喚せども来ず。汝、自ら往りて、弟姫を召し将て来れらば、必ず敦
く賞せむ。」とのたまふ。爰に烏賊津使主、命を承りて退る。糒を
裀の中に裹みて、坂田に到る。弟姫の庭の中に伏して言さく、「天皇、命を
以て召す。」とまをす。弟姫、対へて曰はく、「豈天皇の命を懼りまをさざら
むや。唯皇后の志を傷らむことを欲はざらくのみ。妾、身亡ぬと雖も、参
赴かじ。」といふ。時に烏賊津使主、対へて言さく、「臣、既に天皇の命を
被りしく、必ず召し率て来。若し将て来ずは必ず罪せむとのたまひき。故、
返りて極刑さるるよりは、寧ろ庭に伏して死なまくのみ。」とまをす。仍りて
七日経るまでに、庭の中に伏せり。飲食与ふれども喰はず。密に懐の中の
糒を食ふ。是に、弟姫、以為はく、妾、皇后の嫉みたまはむに因りて、既に
天皇の命を拒む。且君の忠臣を亡はば、是亦妾が罪なりとおもひて、則ち烏
賊津使主に従ひて釆。倭の春日に到りて、檪井の上に食ふ。弟姫、親ら酒を使
主に賜ひて、其の意を慰む。使主、即日に、京に至る。弟姫を倭直吾子籠
の家に留めて、天皇に復命す。天皇、大きに歓びたまひて、烏賊津使主を
美めて、敦く寵みたまふ。然るに皇后の色平くもあらず。是を以て、宮中
に近けずして、則ち別に殿屋を藤原に構てて居らしむ。大泊瀬天皇を産みま
す夕に適りて、天皇、始めて藤原宮に幸す。皇后、聞しめして恨みて曰はく、
「妾、初め結髪ひしより、後宮に陪ること、既に多年を経ぬ。甚しきか
な、天皇、今妾産みて、死生、相半なり。何の故にか、今夕に当りても、
必ず藤原に幸す。」とのたまひて、乃ち自ら出でて、産殿を焼きて死せむと
す。天皇、聞しめして、大きに驚きて曰はく、「朕過ちたり。」とのたまひて、
因りて皇后の 意を慰め喩へたまふ。
八年の春二月に、藤原に幸す。密に衣通郎姫の消息を察たまふ。是夕、衣通
郎姫、天皇を恋ひたてまつりて独居り。其れ天皇の臨せることを知らずして、
歌して曰はく、

  我が夫子が 来べき夕なり ささがねの 蜘蛛の行ひ 是夕著しも

天皇、是の歌を聆しめして、則ち感でたまふ情有します。而して歌して
曰はく、

  ささらがた 錦の紐を 解き放けて 数は寝ずに 唯一夜のみ

明旦に、天皇、井の傍の桜の華を見して、歌して曰はく、

 花ぐはし 桜の愛で こと愛でば 早くは愛でず 我が愛づる子ら

皇后、聞しめして、且大きに恨みたまふ。是に、衣通郎姫、奏して言さく、
「妾、常に王宮に近きて、昼夜相続ぎて、陛下の威儀を視むと欲ふ。然れども
皇后は、妾が姉なり。妾に因りて恆に陛下を恨みたまふ。亦妾が為に苦びたま
ふ。是を以て、糞はくは、王居を離れて、遠く居らむと欲ふ。若し皇后の嫉み
たまふ意少しく息まむか。」とまをす。天皇、則ち更に宮室を河内の茅渟
に興造てて、衣通郎姫を居らしめたまふ。此に因りて、屡 日根野に遊猟した
まふ。
九年の春二月に、茅渟宮に幸す。
秋八月に、茅渟に幸す。
冬十月に、茅渟に幸す。
十年の春正月に、茅渟に幸す。是に、皇后、奏して言したまはく、「妾、毫毛
ばかりも、弟姫を嫉むに非ず。然れども恐るらくは、陛下、屡 茅渟に幸す
ことを。是、百姓の苦ならむか。仰願はくは、車駕の数を除めたまへ。」
とまをしたまふ。是の後は、希有に幸す。
十一年の春三月の癸卯の朔丙午に、茅渟宮に幸す。衣通郎姫、歌し
て曰はく、

  とこしへに 君も会へやも いさな取り 海の浜藻の 寄る時時を

時に天皇、衣通郎姫に謂りて曰はく、「是の歌、他人にな聆かせそ。皇后、聞
きたまはば必ず大きに恨みたまはむ。」とのたまふ。故、時人、浜藻を号けて、
奈能利曽毛と謂へり。是より先に、衣通郎姫、藤原官に居りき。時に天皇、大
伴室屋連に詔して曰ひしく、「朕、頃美麗き嬢子を得たり。是、皇后の
母弟なり。朕が心に異に愛しとおもふ。冀はくは其の名を後葉に伝へむと欲ふ
こと、奈何に。」とのたまひき。室屋連、勅に依せて奏すに可されぬ。則ち
諸国造等に科せて、衣通郎姫の為に、藤原部を定む。


和歌解説

 我が夫子が 来べき夕なり ささがねの 蜘蛛の行ひ 是夕(こよひ)著(しる)しも

愛する夫が今宵は来てくれそうだわ、
だって蜘蛛(ささがに)が知らせてくれたんですもの。

 ささらがた 錦の紐を 解き放(さ)けて 数多は寝ずに 唯一夜のみ

ささら模様の錦の紐をほどき、姫の衣を脱がして、沢山は寝ることはできないけれど、
今夜一晩だけは愛し合い寝ましょう。

 花細(ぐは)し 桜の愛(め)で こと愛では 早くは愛でず 我が愛づる子ら

なんと繊細な花(桜・姫)の美しさ、桜の美事さよ。ことに愛でるのだったら、
もっと早く愛でればよかった、惜しいよ、愛しい姫よ。

 とこしへに 君も遇(あ)へやも いさなとり 海の浜藻の 寄る時々を

永遠にずっとずっと逢いたいけれど、そんなことができるでしょうか。
海の浜辺に藻が寄せるように、時々しか貴男は近寄ってくれません。


允恭天皇様と衣通郎姫の恋。
姉の皇后の目を忍びつつ、とても美しい哥の遣り取りです。こころに染み通ります。
愛するとき、全てのしがらみを捨て、「この人と」・・・そんな場面ですね。

古典紹介 方丈記

古典紹介

方丈記   鴨長明 大福光寺本 新典社(影印)

片仮名ついでに、「方丈記」も紹介しておきますね。

イメージ 1

ユク河ノナカレハ タエスシテ シカモゝトノ水ニアラス
ヨトミニ ウカフウタカタハ カツキエ カツムスヒテ ヒサシク
トゝマリタル タメシナシ 世中ニアル人卜 栖卜 又 カクノ
コトシ タマシキノ ミヤコノウチニ 棟ヲナラヘ イラカヲ
アラソヘル タカキ □ヤシキ人ノスマヒハ 世ゝヲヘテ
ツキせヌ物ナレト 是ヲ○コトカト 尋レハ 昔シ アリシ
家ハマレナリ 或ハ コソ ヤケテコトシツクレリ 或ハ 大
家ホロヒテ 小家トナル スム人モ是二同シ トコロモカハラ
ス 人モヲホカレト イニシへ見シ人ハ 二三十人中ニ ワツ
カニ ヒトリフタリナリ 朝二死二 夕ニ生ルゝナラヒ □
水ノアハニソ 似リケル 不知 ウマレ 死ル人 イツカタヨリ

行く川の流れは絶えずして、しかも もとの水にあらず。よどみに浮ぶ うたかたは、かつ消えかつ結びて、久しく留まる事なし。世の中にある人と栖と、またかくの如し。
玉敷の都の中に、棟をならべ、いらかを爭へる、高き卑しき人のすまいは、世々を経て尽きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家はまれなり。或は、去年焼けて今年は造り、あるは、大家滅びて小家となる。住む人も、これにおなじ。所もかはらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二・三十人が中に、わずかに一人・二人なり。
朝に死し、夕に生るゝ ならひ、たゞ水の泡にぞ似たりける。知らず、生れ死ぬる人、何方より・・・

現代の片仮名とずいぶん違い、一段と読みにくいでしょ。
伝 長明自筆本で、重要文化財です。
鴨長明は、1155年〜1216年の人。
平安末期から鎌倉時代にかけての歌人・随筆家です。
この導入部で、「人は何所から来て、何所へ行くのか?」と、
はかない命への無常を述べています。


ご無沙汰でした。久しぶりの古典です。

道長と紫式部の女郎花の哥の贈答  古典文学
紫式部集から(陽明文庫・笠間書院・影印)

百人一首で紫式部の「辛口批評」が続いたので、名誉挽回。
こんな素晴らしい場面もあったんですよ。
その情景を、思い浮かべながら読んでくださいな。

イメージ 1

  あさきりの おかしき程に おまへの花とも色々に
  みたれたる中に をみなへしいとさかりりにみゆ
  おりしも 殿いてゝ 御覧す 一枝おこせた
  まひて 几帳のかみより これたゝに かへすなとて
  たまはせたり

新古
をみなへし さかりの色を 見るからに 露のわきける みこそしらるれ

  とかきつけたるを いとゝく

しら露は わきてもをかし をみなへし 心からにや 色のそむらん

イメージ 2

朝霧が趣深く立ちこめて、御前の花々が色々咲き乱れている中に、女郎花(をみなへし)がたいそう花盛りに見えました。折しも、殿(道長)がお出ましになり、一枝届けてきて、几帳の上から、そのままで返してはいけないよ(哥で返してよ)と、お渡しになられた。

  女郎花の盛りの美しい色を見るにつけても
  露(恩恵を受けること)を受けられない、わが身の事を思い知らされます

と、書いて渡すと、 「ああ、何と早い(いとゝく・疾く)ことよ」と・・・。
(殿の返哥は・・・)

  白露は花に分け隔てをして置いているのではないでしょう。女郎花は。
  自分から美しい色に染まって咲いているのでしょう。(私は分け隔てはしないよ)


男性から、ましてお殿様から、女郎花の花を贈られ、哥の贈答をする。和歌の伝統から考えれば、紫式部を恋の相手の女性としたことになりますね。女郎花の花は、その名前ゆえ、女性に使われるため、それを手折ることは、花を折る他に、女性を自分のものにする意味を持っていますね。ここから先は、だれも知らない世界で、この事は、単なる哥の贈答ごっこか、本当の男女間の恋なのか、紫式部は「露」をいただいたのでしょうか?皆さんも、想像して楽しんでくださいね。機会がありましたら「紫式部日記」や「紫式部集」も、読んでください。そして「源氏物語」にも挑戦してください。

藤原道長・法成寺入道(ウィキから抜粋)
文学を愛好した道長は紫式部・和泉式部などの女流文学者を庇護し、内裏の作文会に出席するばかりでなく自邸でも作文会や歌合を催したりした。
道長の頂点を極めた時の哥。

この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば

この世は 自分のためにあるようなものだ 満月のように 何も足りないものはない


当ブログ「紫式部集」前出記事



.
yoshy
yoshy
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について

ブログバナー

検索 検索
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

過去の記事一覧

友だち(13)
  • ろあべ
  • 俺
  • 紫苑
  • テルりん
  • sofashiroihana
友だち一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

数量限定!イオンおまとめ企画
「無料お試しクーポン」か
「値引きクーポン」が必ず当たる!
ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事