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群書類従巻第三百八上
大和物語 上 23段
参考1
陽成院の二のみこ=元平親王
俊蔭=後蔭とも、藤原後蔭、従四位下備前権守、古今集・後撰集・続古今集に各一首、別資料参照↓
女五のみこ=宇多天皇の内親王・依子
いまはおはしますましきなめり=今はもうお出でになることは無いだろう
いとあはれにてゐたまへりける=たいそう悲しんでおられたところ
にけて とのうちにいりにけり=(来ないと思っていたら突然来られたので)
逃げて塗籠戸の内に入ってしまった
あした=翌朝
なとか=などか、どうして(隠れてしまったのですか)
ことははなくて かくなん=言葉は無くて、このような哥が
せかなくに・・・=堰き止めた訳でもないのに流れの絶えた山水(訪れのない皇子のこと)の、
いまさら声を聞かせるほど、我慢できませんことよ!今さらお話なんて有りません。
しのへ=忍べ、ここでは「こらえる。我慢する。」の意
参考2
元平親王は、新しいお嫁さん・依子内親王さまを手に入れてから、
さっぱり訪れが無かった。
俊蔭の中将のむすめ、久しぶりに訪ねられて、納戸の中に逃げ込み出て来ませんでした。
「もう、貴男とは切れて、忘れた所なんです。今さら何よ!声も聞かせてあげませんわ!」
このお姫様、気が強くてイイナ〜。_____
原文のママでしたが、藤原後蔭の方が正解ですよ。
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大和物語
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群書類従巻第三百八上
大和物語 上 二十二段
参考1
良少将=良岑義方(よしみね)
たちの緒=太刀の緒
かはをもとめけれは=革を求めていたら
監命婦=げんのみょうぶ、監は近衛府の将監、命婦は中ろうの女房、大和8・21段前出
久しくいたささりけれは=長い間、(革を)出してくれなかったので
あた人の・・・=当てにしてきた染め革(河)の色の濃(深)さを見ることなく、
(太刀の緒は)そのままになってしまうのでしょうか?つれない人・・・
あた人=誠意のない人、ここでは監命婦
めて くつかへりて=(哥を)愛(め)でて、笑い転げて
もとめてやりけり=探しもとめて送り届けました
参考2
さて、深い話に移りましょう。この話、伊勢物語61段の話と絡むんですよ!
そめ河を わたらむ人の いかでかは 色になるてふ ことのなからん
この伊勢61段の哥も合わせながら、「染革・染河の色」。これは「情けの色に染める」の意味があります。ですから良少将は、命婦の愛情の「深さ」を尋ねたんですね。川の深さ、革の色の濃さ。「わたりし」は、川を「渡る」の縁語。テクニックを駆使して、それとなく催促したんです。「忘れていては貴女の愛情の深さは判りませんよ」と、やんわり。「有るって言ったじゃないか!寄こせよ!」では、いけませんね。
大変、ほほ笑ましい「お話」です。どちらも嫌味なく、笑いながら、一層仲良くなった感じの話ですね。でも、監命婦のような女性を笑い転げさせるには、男は修行ですぞ!
相手を擽(くすぐ)って、
笑わせるしか手立てがない・・・
最近は触れないでよ!
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群書類従巻第三百八上
大和物語 上 二十一段
参考1
良少将=良岑義方(よしみね)
兵衛佐=兵衛府の次官、従五位上
監の命婦=げんのみょうぶ、監は近衛府の将監、命婦は中ろうの女房、大和8段前出
かしは木の・・・=かしは木のもり(良岑義方、守・森-縁語)の下草(監の命婦)。
義方様の愛情の庇護の元にある私が老い(生い・縁語)ても、
身を無用なものとなさらないでください。
柏木=(柏の木に葉守の神が宿るから)皇居警備の任に当たる兵衛または衛門の異称。
栢木の・・・=私が思いをかけている人が、年老いても(命婦ゆえに)
見捨てるようなことはありませんよ。
栢=柏の異字体、「百」が旁であるので「百歳まで」の意味も込められている?
艸=草、異字体
参考2
年取っても捨てないでね!
捨てないよ!絶対に。
そんな哥の遣り取りです。
続古今集の作者は、良岑義方を遍昭(良岑宗貞)と混同したそうです。
大和物語にはもう一人の「良少将」が168段に出て来ます。こちらの方が、遍昭(良岑宗貞)だったんですね。良岑姓で少将になったら、みんな「良少将」なんです。
今も昔も、歳を取ったら要らないという人がいたんでしょうね。
ともに、「相生(あいおい)の松」のようであってください。
ともに円満な夫婦であってください。
AKB48の柏木由紀さんもイイね!_______
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群書類従巻第三百八上
大和物語 上 二十段
参考1
故式部卿宮=17・18・19段前出、故・敦慶親王(あつよし)、宇多天皇の第四皇子、
容姿端麗で玉光宮と称され光源氏のモデルのひとり、891-925年
かつらのみこ=宇多天皇皇女・孚子(たかこ)内親王、式部卿宮とは異母妹
せちによはひ給ひけれと=故式部卿宮をお慕いしていてしきりにお誘いしておられたけれど
ここの「よばひ」は、「呼び合う」で「(内親王様・女性から)お誘い」です。
月のいとおもしろかりける夜=月が大変風情があって綺麗な夜
久宅の=久堅・久方の(ひさかたの)、天・雨・月・都・桂などにかかる枕詞
月のみなりせは=月の身なりせば、空にある月であったなら、「桂」の名は「月」に通じる
ゆくとも見えで 君はみてまし=貴男の元へ行ったとしても見咎められないのに、
月ではないので、それは望めません。
参考2
桂=月にはウサギがいると、よく言われていますが、中国の古典や日本の古典では、
月に「桂」の木があるとか、「桂男」という美男子がいるとか出てきます。
桂の御子・孚子内親王は、自身を「桂=月」に見立てて、
逢いに行けない悲しさを月を見ながら詠っています。
当ブログ「伊勢物語(第73段)」でも、思いをかけたお姫様に対して、
目には見て 手にはとられぬ 月のうちの
桂のごとき 君にぞありける
と、業平は、手の届かない斎宮を思い、月を見て「桂」の哥を詠みました。
yoshyも、桂男になって「かぐや姫」と・・・
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群書類従巻第三百八上
大和物語 上 十九段
参考1
おなし人=二条の御息所
おなしみこ=式部卿宮、敦慶親王(あつよし)、宇多天皇の第四皇子
世にふれと・・・=長年生きてきて(世にふれど)、別に恋などはしていないけれど、
夕方になると漠然と(すずろに)もの悲しくなるのはどうして(なぞ)でしょう?
夕暮に・・・=夕暮れに物思いするのは十月の習いなのか、
私も時雨に劣らず涙の雨を降らしていますよ。
心にいらて あしく・・・=心にしっくり来ないで、哥の出来は悪しく詠んでしまわれた。
参考2
世にふれど 恋もせぬ身の 夕されば
すゞろにものゝ かなしきやなぞ
二条の御息所の哥。
初冬の夕暮れ、歳を取って尚、物思う寂しさを詠う、良い哥だと思います。
それに引き替え、何か物足りない返歌の式部卿宮の哥。
お婆ちゃん相手に儀礼的な返事。光源氏のモデルのひとりとされていますが、失格ですね。
末摘花に対する光源氏の扱いは、もうちょっと良かったよ〜〜。
ここでは、二条の御息所の、「深いため息」を味わいたいですね。
__________φ(.. )軽鴨の介
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