伊勢物語と仁勢物語

パロディーと諧謔の、仮名草子。

因果物語

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因果物語2-21

ちょっと怖〜〜い、仮名草子。
因果ものかたり 平仮名本     赤木文庫本複製  古典文庫
因果物語 巻二

廿一 逆修の善根に依て大名の子に生れし㕝

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おなし佐和に 海老江のなにかしと云人あり 寛永十
九年 後の九月廿五日に 死去せられけり 此人 平生 後
世者にて 逆修の善根よく/\ をこなひ侍りし 
堂寺をも建立せしが 死して次の年 西国にて 
五六万石とる 大名の子に生れ出る也 手の中に
前生の名字名乗 たしかに書付あり このひとは
勇のほまれありて 人/\ よく知たり 是に依て
竹原のなにかし 所に来りてかたりしを まのあたり
聞侍り

参考

逆修=ぎゃくしゅ。生前に、自分の死後の冥福のために仏事をすること。予修。逆善。
善根=ぜんごん。よい報いを招くもとになる行為。
㕝=「事」の異字体。
後の九月=閏月を9月の後に置く「後9月」なのか??不明
西国にて五六万石=島津藩か長州藩か??寛永の時代56万石、推理してください。
名字名乗=「名字」は、家の名。姓。家名。「名乗」は、自分の名前や身分。
勇(よう)のほまれ=「勇」の誉れ??。「勇(よう)」は漢音。「勇(ゆう)」は呉音。

イメージ 3
生前に良いことをして、
大名の子になって生まれ変わったと言う話です。
生まれたときに、手の中に握りしめた書付が有ったそうです。
「勇」の誉れの「勇」が、
読み切れませんでしたが、「勇」にしました。
「勇」も「よう」と読みます。
違っていたら、そっと内緒で教えてください。

私としては、輪廻は信じていませんが、
信じるか、信じないかは、それぞれ。
こうした「教え」は、善良な民の導きになったことは確かです。
このような「教え」一つ一つが、
善良な日本人を形成していったのでしょう。
災害時に略奪などのニュースを見るとき、
日本人のモラルはスゴイと感じます。
善を他の人に施すのは立派なことです。
人に喜ばれることを、自分の悦びになるようにしましょう。
善を行うに躊躇する事なかれ。

_______\¤\᡼\¸ 2善良な??軽鴨の介


イメージ 2

因果物語2-20

ちょっと怖〜〜い、仮名草子。
因果ものかたり 平仮名本     赤木文庫本複製  古典文庫
因果物語 巻二

十 人をうらむる女 死して亡霊に成りたる事

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江州佐和山に 川墅何かしと云人の めしつかひの
下女 十八九才のとき 傍輩女に 中あしきものあり
常に いひけるは 我死ば 汝が首に 喰付て責べし
と のゝしりけり しかる所に かの女 不慮にわづらひ
つきて つゐに死けり 日比申せしごとく 夜ことに
来りて 中あしかりし女を責る事 かぎりなし
家中の者とも 在明をともして 用心すれ共 不図(ふと)
入来りては 責なやましけるに 森川与次衛門と云
人あり 破地獄の咒(呪)を書て 責られわづらふ女の首
にかけさせ 窓の口々に をして 置けれは 二たひ き
たらす ふしき也とて 札をはぎ 守りをとりければ
その夜に来りてせめけり さては此呪は 有難しとて 右
のことく 口々に をし守りに かけさせけれは 二たひ
来らさりき と 慥(たしか)に 物語有けり

参考

江州佐和山=近江国の異称。佐和山は石田三成の居城だった所。
傍輩=ほうばい、同じ主人に仕えたり、同じ先生についたりしている仲間。
中あしき=仲が悪い
不図(ふと)=はからず、ふと、はからずも。
在明をともして=有明行灯(ありあけあんどん)を灯して。
破地獄=仏語。地獄より脱してその苦をのがれること。
咒(呪)=じゅ、自分の災いを取り除くために神仏に願うこと。呪術。まじない。護符。
   「咒」は異体字。
口々に をし=窓口・戸口の全てに、御札を押し当てて貼ること。
札をはぎ=おまじないの御札を剥ぎ取ること。

人の恨み辛(つら)みは、
恐ろしいモノです。
恨むことも、
恨まれることもしないで、
平穏に暮らしましょう。
仲良く譲り合い。

_______\¤\᡼\¸ 2 軽鴨の介


因果物語2-19

ちょっと怖〜〜い、仮名草子。
因果ものかたり 平仮名本     赤木文庫本複製  古典文庫
因果物語 巻二

九 金に執心せし僧 幽霊に成て来りし事

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勢州 桑名に 佛眼院といふ真言宗の寺あり 此
寺の住持 寛永十八年に死去す 其後 かの僧の幽霊
夜ことに 寺に来り 面蔵に古き 枕のあるを眺めて
居る事 三十日斗也 かの幽霊を よく/\みれは 影の
薄く成時もあり 又 正しき時もあり 然るに ある
人 いひけるは とかく此 古枕に まなこを付る間
いかさま子細あるへしとて 紙をやぶりてみれは 金子
五両あり すなはち此金子をもつて よく/\とふらひ
けれは それより 二たひ来らずと 仏眼院の甥 大田
孫四郎 かたられたり

参考

勢州=せいしゅう、伊勢国の異称。
桑名=伊勢湾に面し七里の渡しの渡船場として発展。焼き蛤・時雨蛤が名産。
佛眼院=現在も三重県桑名市南魚町に位置する天台宗の寺院として有ります。
面蔵=眠蔵・めんぞう、禅宗で、寝室・納戸(なんど)の類をいう。

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おまけ:
昔の枕うり」。
「七十一番職人歌合」(室町時代)から

今一のかたも持て候 ひそかに めし候へ

枕売りは、
「今一つのモノ」も「密かに買ってください」と・・・。
何やら、エロイものも、売ってたようです。



私は、何に執心するんだろう??
皆さんは、何に執心しますか??
コレクションは、程々にしましょう!

_______\¤\᡼\¸ 2軽鴨の介



因果物語2-18

ちょっと怖〜〜い、仮名草子。
因果ものかたり 平仮名本     赤木文庫本複製  古典文庫
因果物語 巻二

十八 施物を私(わたくし)いたし罰をうけたる事

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寛永年中の事なるも 永見寺の納所に隣悦(りんえつ)
といふ僧あり 信施をもおそれす 放逸無慙也けるが
夜な/\ ことにおそろしき鬼神二人来りて 隣
悦を責ると 夢に見けり これをおそろしく おも
ひて 遍参の僧二人を頼みて 一所に臥けり ある時

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二人の鬼来りて 杖をもつて打ちけり 二人の僧も 目を
さましけるに 鬼の云やう 傍(そば)の房主に杖あつる
なと いふて たちまちに 隣悦が腰の骨を 打をり(折)
たり 是におどろきて 日比 たくはへもちたる 金銀
を 住持に をく(送)りつかはしけり さて遍参の僧二人
とり立て 草鞋銭を出しけり 遍参の僧も 修行
成就せずして 一人は吐血をわづらひ 一人は痢病に
取ふせられ つゐに二人ながら 死たり 隣悦は十四
五年 腰たゝず 苦痛かきりなくして 死けり

参考

施物=せもつ、僧や貧しい人に施す品物。せぶつ。
私(わたくし)=公平さを欠いて、自分の都合や利益を優先すること。
   公共のための事物を私物化すること。
寛永=1624年〜1644年、江戸前期。
納所=なっしょ、禅寺で、施物の金品・米穀などの出納事務を執る所。また、その役の僧。
信施=しんせ・しんぜ、信者が仏・法・僧の三宝にささげる布施。
放逸無慙=ほういつむざん、わがままで恥知らずなこと。
遍参=へんざん、禅僧が各地の師のもとを訪れ、修行してまわること。
草鞋銭=そうあいせん、わらじを買うための金銭。わらじせん。はした金。
痢病=りびょう、激しい腹痛を伴う下痢をする病気。今日の赤痢の類。

「放逸無慙」は、わがままで恥知らずなこと。
「信施無慚」は、僧が布施を受けながら、
     それにふさわしい徳を積まず恥じないこと。

お金のある所には、「無慚・戒律を破って恥ない」輩がうごめきます。
因果物語の作者・鈴木正三(しょうさん)は、そうした人々への警告として、
仮名草子・因果物語を書きました。


ネコババしたいけど、
お金に縁がない_______\¤\᡼\¸ 2 軽鴨の介


因果物語2-17

ちょっと怖〜〜い、仮名草子。
因果ものかたり 平仮名本     赤木文庫本複製  古典文庫
因果物語 巻二

十七 仏法をあしくすゝめて罰あたりし事

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濃州八屋と云所に 関山派の長老に 関悦と云
僧あり 数多の人に 悟道をさづけ。よこしまなる
道をすゝめ 宮社頭の木をも切とり 仏像を 破却
せさせ 先祖をも とふらはず をよそ佛は我心に
あり 身の外に仏なしと さま/\すゝめける 程
に 此すゝめを聞ける者ども 佛のごとく思ひ
邪見放逸なる事 なか/\おそれても餘りあり
しかるに かの長老 むなしく成ければ 葬礼せん
とて 棺をかき出しける所に 火車来りて 尸骸を
つかみてゆき かなたこなたに 手足首を引きちぎり
木のえだに かけをきけり 又かの法を聞て信じ
たる者ども 大疫病をうけて 大かた死けり その
後は在所のものども 心ざしをあらため とりやぶり
ける 堂宮を本のごとく建立し 竹木をも 植た
り これより安穏に成たり 正保二年の事也

参考

濃州=美濃国の別称
関山派=妙心寺派、修行を重んじる厳しい禅風を特色とする
悟道=仏道の真理を体得すること。
佛は我心にあり=心の中に仏がある
火車=生前悪事を犯した亡者を乗せて地獄に運ぶという、火の燃えている車。
尸骸=屍骸
正保二年=1645年、江戸初期


関悦というお坊さんが、邪教の教えをし、
死後、火車が来て八つ裂きにされ、
信者も大疫病を被ったと言う話です。
現代でも、とんでもない「教祖」が出て、
誤導して事件を起こすことがありますね。
そんな話が、江戸初期にも有ったようです。

作者の鈴木正三、「宗教者は本来はいらない。
役立たずの「泥棒」と規定します。宗教者は、
領民を教導して治世を円滑にすることによってのみ、
存在が認められる。」と、言っています。
かなりの極論ですが、おもしろい人です。

偽教祖に御用心あれ。____\¤\᡼\¸ 2 軽鴨の介




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