伊勢物語と仁勢物語

パロディーと諧謔の、仮名草子。

因果物語

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因果物語1-14

ちょっと怖〜〜い、仮名草子。
因果ものかたり 平仮名本     赤木文庫本複製  古典文庫
因果物語 巻一

十四 親雲雀(ひばり)わが子に替(かわり)て鷹にとられし事

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正保年中の事なるに 三川の国 衣と云所に
鈴木作兵衛とて 有徳成町人あり 鷹をすきて
つかひけり ある時 雲雀の子に 鷹を合せけるに
鷹の間ちかく成たる時に 親雲雀 わが子と鷹
との あひたに 立隔(たちへだ)ちつゝ 鷹にとられて 子を
たすけたり 焼野の雉子(きゞす) 夜るの鶴は子を思ふ
ためしにする事なるに 少(ちいさ)き雲雀までも 子
を思ふ心には 替りめなしとおぼゆ されば ちく生
より 人間にいたるまで 子は親を思ふ心の ふかゝ
らざるこそ悲しけれ


参考1

正保年中=1645年から1648年まで
三川の国 衣=愛知県豊田市あたり、後に「衣」を「挙母(ころも)」と表記
有徳成町人=うとく なる まちにん
鷹をすきて=鷹匠の業が好きで
焼野の雉子 夜るの鶴=親が子を思う事の例え
雉子(きゞす)=雉の別名
替りめなし=雲雀から人間にいたるまで、子を思う親の気持ちは変わりない

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参考2

焼け野の雉子 夜の鶴
キジは、巣のある野原を焼かれると危険を顧みず我が子を救おうとし、
鶴は寒い夜、自分の羽で子を覆ってあたためる。
子を思う親の情が深いことのたとえ。

イメージ 3

「子は親を思ふ心の ふかゝらざるこそ悲しけれ」
作者・鈴木正三の実感なんでしょうかね。
親への「孝」の欠如、子への「慈しみ」の欠如。
悲しい事件が減りますように。
\¤\᡼\¸ 20_______φ(.. ) 軽鴨の介

因果物語1-13

ちょっと怖〜〜い、仮名草子。
因果ものかたり 平仮名本     赤木文庫本複製  古典文庫
因果物語 巻一

十三 雉(きぢ)の怨念 人につきたる事

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三川の国 下伊保といふ所に 清蔵と云者あり
殺生の上手にて 魚鳥をころす事 数しらず
ある夜の夜半ばかりに 俄に おきあがり 我子
の三歳に成けるを 頸(くび)をとらへて ねぢふせ 我
には 雉の鳥つきたりとて どよめきけるを
女房 おどろき目をさまし これはいかなる事
ぞや とて やう/\ もぎはなし侍へりしが それ
より くるひ出つゝ さま/\の事を 口ばしる 中
にも おほかたは 殺生の事にて 魚鳥をころす
まねをいたしけり 慶長六年の事也 もろ
にも 庭鳥の卵(かいご)を つぶして わが子の髪につけ
て 髪のしなをよくせんとす たび/\おほく こ
ろしけるに 後に 其子の首(かしら)に 庭鳥のくちはし
(はへ)出て 啾々(しう/\)と 鳴声ありけりといへり 生とし
いけるもの 命をおしむ事は いつれもかはる
ことなし 非分に ころさん事は まことに あは
れなるおこなひ也 よく/\ つゝしむへし

参考
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三川の国 下伊保=三河国(愛知県)三河国加茂郡下伊保、
          豊田市の辺りか?
慶長六年=1601年
もろにも=唐土(もろこし)にも
庭鳥の卵(かいご)=「かい」は殻の意、鶏などの殻のついた
啾々=小声でしくしくと泣くさま
非分=道理にはずれたこと、非理、過度に

命の大切さを説くお話になっています。
食べるため、仕事でするなら兎も角、
必要以上に命を殺すことの戒めです。
こうした話から、日本人の優しさを
教育して行ったんでしょう。

___________\?\᡼\? 12 軽鴨の介

因果物語1-12

ちょっと怖〜〜い、仮名草子。
因果ものかたり 平仮名本     赤木文庫本複製  古典文庫
因果物語 巻一

二 母の卒塔婆(そとば)わが子に乳をのませし事

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最上の山がたに 霊童町といふ所あり 此所の あ
き人 京へのぼりて妻をもとめけるが 子細有て
(やが)て 最上へ下りぬ かの女房 男の跡を追て 最上へ
尋ねくだりければ 此男 最上にて むかへたる女房
をば去て 京の女房を家に入たり 角(かく)て ほどなく
子一人 まうけたり その後 かの男 又 あきなひの
ために 京へのぼり 女房の親の家 もとよりの

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宿なれば 落付たり しかる所に 両親さめ/\と
なきけり 母のいはく 其方 年比 わりなく仰せら
れたる独り娘 むなしくなりて はや三年に
成侍る 其方をみて まづ 娘の事を思ひ出して
泪のこほるゝ也と いふ 商人聞て それは近比 偽り
を の給ふ物かな 去々年 それがし 最上へくだりて
暫らく有て 追付て 最上へきたれり 嬉しく
思ひて國もとの女房は去て 此方の娘を妻と さだ
め 程なく 子一人もうけたり 少しもいつはりならず
と 慥(たし)かに堅く申ければ 父母聞て これはまことに
あやしき事かな 娘は何々(いついつ)の 何時死て火葬に
して骨をとり 墓をつき 卒塔婆をたてゝ
弔ける事 実正也 隣あたりの人/\も より合
まさしく死たる娘を 最上へ行たるとは うたが
はしき事をも 申さるゝと いへとも 男も慥に いひ
ければ さらば 父 最上へくだりてみんとて 商人と
打つれ 最上へ着しかは かのあき人の家に入て
部屋に入てみれば 京にて娘が墓にたてたる
卒塔婆に 子いだき付てあり 戒名 年号 月日
更に相違なし 父 悔みて云やう 我 下らずは 此孫
成仁(せいじん)するまて 養育すへきものを とて 孫をいた

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きて 前後不覚に啼きけり 前代未聞のふしぎ
なり 世にかくれもなし その孫も ほとなく むなし
くなりたりと 商人 直にかたり侍へり

挿絵
もかみの山がた

参考

わりなく=理無く、道理に合わない
卒塔婆=死者の供養のため、墓石の後ろに立てる細長い板
実正=確かなこと、偽りやまちがいのないこと
成仁=成人


怖くて不思議な話ですね。
正三は、直に聞いたと申しています。
亡くなった娘の妄念がとても強く、
この商人を、とても愛していたんでしょう。

_______\?\᡼\? 12 軽鴨の介

因果物語1-11

ちょっと怖〜〜い、仮名草子。
因果ものかたり 平仮名本     赤木文庫本複製  古典文庫
因果物語 巻一

十一 赤子の過去生(くわこしやう)を物かたりせし事

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おなし加納領に 別府といふ村あり 彼所に本願
寺の毛坊主に 宋兵衛と云もの 寛永十五年に
むなしくなれり その子をも宋兵衛と名づく 又
ちかき所に本田といふ村あり 彼所に六太夫と云
ものあり 此先寛永十七年三月に女子の二子(ふたご)
産けり 其年の六月夜中に男の声にて われは
別府村の宋兵衛なり と たからかに名のりけり
六太夫は 目をさまし 別府村の宋兵衛は むなしく
なりしを 夜中にかく聞ゆるは かの亡霊来りて
我をなやまさんとするか と思ひ 帯をしめ 刀を
とりて 心を静めて これを聞に 女房の寝所也
女房の寝言にやあるらんと思へは 女房は よく
ねいりてあり 頻(しきり)に名のる声 女房のふところ
の中也 あまりに不審におもひ 二人の子ともの
口に 手をさしあてゝ見れば 一人の女子の息
吹かけて 名のる也 そのとき六太夫申すやう 汝は
何をいふ と 問ければ 我は別府の本願寺 毛坊主
宋兵衛也といふ 六太夫 何とて 生れかはりて来り
たると問に こたへていはく 我 此世に有し時
子息に 家を渡し侍りしに 納得のおほき田
地を 子にわたす事を 惜みたり 此心つよかりし
故に 女と生れ来れりといふ さて その田地は いか

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なる所にあるぞや と 問ければ 年貢四斗を
納めて 四石五斗とる所に 又は 九斗 納めて八石ばかり
とる所 そこ/\に三十所あり 此外に しか/\の事
あり と いふ 六太夫 こまなる事共は 覚えがたし
とて 市十郎といふ甥を よびよせて 一々に かき
つけさせ 夜明て 別府に行て 此由を尋聞に
すこしも違ふことなし 子息の宋兵衛 申けるは
さても 希代の事かな 世にためしすくなき事
也 父宋兵衛は 三年以前に相果たり さらは六太
夫殿の御宿へまいりて 見申さんとて行てみる
に 物いふたる女子を見て 疑なき事なり とて
なく/\帰りけり かの六太夫 そのころは 卅六七歳
の者也 正三老人 直に六太夫 宿所に行て 聞侍
へり

参考

過去生=仏語、この世に生まれる以前に受けていた生、過去世の生、前生、前世
毛坊主=けばうず・けぼうず、俗人で、葬儀のときなどに僧の代わりを務めた者。
     中世から近世にかけて、主として北陸から近畿にわたる地帯の浄土真宗の農村に多かった
寛永15年=1638年
亡霊=死者の魂、亡魂、幽霊
刀をとりて=刀の持つ霊力で気を静めて
正三老人=鈴木正三、筆者本人

イメージ 3

あまり物に執着しすぎると、
亡霊になってしまうぞ〜〜

因果物語1-10

ちょっと怖〜〜い、仮名草子。
因果ものかたり 平仮名本     赤木文庫本複製  古典文庫
因果物語 巻一          今日は怖くないですよ。

十 庭鳥殺さるゝを知て寺へ逃行たる事

イメージ 1

おなじ加納の久雲寺へ いづくともなく庭鳥二つ
来りてすみ侍べり それより十日はかりの後に 児
嶋平太夫といふ人 かの寺にまいり 此庭鳥を見て
住持に問けるやう 此鳥はいづかたよりまいりたると
住持こたへていはく されば何方より来りた
るをも存ぜず 此十日ばかり これに見え侍ると
申さるゝ 平太夫のいはく 是たしかにそれがし
の家の庭鳥なり 十日以前に 夕さりの料理
にすべしと申けるを聞て そのまゝ行方なく
にげうせたり と いふ 住持の申さるゝやう さて
此鳥は寺入し侍べり 命をば ゆるし給へと 有し
かば 平太夫も 奇特の事におもひ いかでこれ
を ころし申すべきと 請合しけれは 庭鳥は
そのまゝ 平太夫より先に 二つながら家に帰りしと也

参考

庭鳥=鶏、ニワトリ
住持=じゅうじ、寺の主僧を務めること、住持職、住職
夕さり=夕方になること、夕方
奇特=神仏の持っている超人間的な力、霊験、非常に珍しく不思議なさま

「岐阜のつたえ話」にも収録されているそうです。

イメージ 2             イメージ 3

平太夫さん、ニワトリを食べることなく、
仲良くニワトリと暮らしたんでしょうね。
生類憐れみの令が現実の時代、
こうした話も、さもありなん。



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