伊勢物語と仁勢物語

パロディーと諧謔の、仮名草子。

小倉百人一首

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11番 参議篁

小倉百人一首 11番 参議篁

5月14日に、当ブログの「古典文学」のコーナーで、
「篁物語 紹介」を載せたんだけど、記憶にあるでしょうか?
今回は、小野篁(たかむら)、参議(さんぎ)篁です。

小倉百人一首は、定家の私撰集。定家は後鳥羽上皇に仕えた臣下でした。
後鳥羽上皇と小野篁の共通点、それは流罪「隠岐の島」です。

イメージ 1
では出典と詞書きから見ていきましょう。
古今和歌集 覊旅(きりょ) 407から

おきの國に なかされける時に 舟にのりていて
たつとて 京なる人のもとに つかはしける
           小野たかむらの朝臣

 わたの原 八十嶋かけて こき出ぬと
 人にはつけよ あまの釣舟 

定家から380年も昔、9世紀に、小野篁は罪を得て流罪に遭ったんですよ。そして難波潟から瀬戸内海を通り、日本海に出て隠岐の島への船出の時の哥なんです。小倉百人一首の成立は、13世紀の前半。ちょうど編纂者の定家にとっての主君、後鳥羽上皇の「隠岐の島」流罪の時期と重なります。小野篁の哥は定家にとって、ズシッと来るモノが有ったんですね。後鳥羽上皇へのメッセージだったかも。

伝・尊朝法親王筆 
キレイな字です。   

広い海原を、多くの島々の間を通り過ぎながら、舟に乗って漕ぎ出てしまったと、あの人にだけは告げてくれよ、海士の釣り舟よ。
「わたの原」は、海の原・大海の意味です。「わだのはら」とも書かれてるモノもあります。「人にはつげよ」は、「あの人だけには告げてくれよ」という強い願いがあります。

流罪の理由 Wikiより
承和元年(834年)、遣唐副使に任ぜられるが、承和5年(838年)に正使藤原常嗣の専断に憤慨しいさかいを起こし、病気と称して乗船を拒否(遣唐使は篁を残して同年6月渡海)する。さらに、「西道謡」という朝廷を批判する詩を作ったため、嵯峨上皇の怒りを買い、官位剥奪の上隠岐への配流に処された。のち承和7年(840年)2月許されて帰京・本位に復す。

命令拒否と朝廷批判ってことですね。
藤原常嗣は遣唐正使として、小野篁は遣唐副使として唐へ出発。難破して命辛々生還して、二度目の挑戦、再び難破。三度目、藤原常嗣は、遣唐副使・小野篁が乗船する予定であった第2船に乗り換えようとしたことから、篁と対立してしまったそうです。いきなり船を召し上げられ、破損したオンボロ船を渡されたんじゃ、頭に来ますね。まして、もう2度も難破してるし・・・。

篁が生きていた時代は、業平や紫式部よりも前の時代です。小野篁は、東宮学士になったほどの学識があります。東宮学士は、皇太子に儒教を教える先生です。漢学に通じ、かつ和歌に通じている天才でした。遣唐使はこの後、894年に菅原道真の建議により停止されます。そして、以後日本では独自の文化である国風文化が発達して、仮名文学なども出て来ます。沢山の女性文学も花開きます。篁の「ごね」は、大いに一役買ったわけですね。

15番「光孝天皇」

小倉百人一首 15番「光孝天皇」

イメージ 1
陽成院の次の天皇様は、光孝天皇。
お年を召されてから践祚なされたので、
在位は3年半ちょっとでした。
娘の綏子内親王は、陽成院の妃です。
あの「筑波嶺の〜〜」を、
送られた方ですよ。

イメージ 2まず出典と詞書きを見ていきましょう。

古今和歌集 春 上 21

仁和のみかと みこにおまし/\ける時に 人にわか
な たまひける御うた

  きみかため 春の野にいてゝ わかなつむ
  わか衣手に 雪はふりつゝ 

伝・二条為世 筆(吉田兼好(徒然草)の師匠だよ)

君のために、寒さの残る春の野原に出かけて、
食べると長生きできるという春の若菜を摘みましたよ。
摘んでいると衣の袖に、
次から次へと雪が降りかかってきました。

雪降る寒い早春、心温まるほのぼのした哥です。
「君」は、愛する人を当てはめたいですね。
若菜に添えて「和歌」を、贈ったんですよ。
愛する人の長生を願って。

この頃から、お正月明けに食べる
「春の七草」は、あったんですね。
「若菜摘み」とか「子(ね)の日の遊び」とか、言われていましたよ。
土佐日記でも、
  おぼつかな けふはねのひか あまならば
  うみまつをだに ひかましものを
と、あります。
「春の七草粥」は、大事にしたい行事です。毎年食べましょうね。

仁和の御門と呼ばれたように、この天皇様の勅願で、
仁和2年に仁和寺は建て始められました。
この天皇様、「天皇若くして聡明、好みて経史を読む。容止閑雅、
謙恭和潤、慈仁寛曠、九族を親愛す。性、風流多く、尤も人事に長ず」と、
良い方だったようですね。ドロドロしたところがありません。

らしさを伝える御製を、もう一首(古今347から)
仁和の御時、僧正遍昭に七十の賀たまひける時の御歌

  かくしつつ とにもかくにも 永らへて
  君が八千代に あふよしもがな

寵臣の遍昭が70歳という長生きのお祝いに、天皇自ら贈った哥です。
「とにもかくにも永らへて」生きていてくださいと・・・
臣下の誉れ、極まります。うれしい賀歌です。

最後に、「仁和寺にある法師」の、間抜けなお話(徒然草52段より)

仁和寺にある法師、年寄るまで石清水を拝まざりければ、心うく覚えて、ある時思ひ立ちて、たゞひとり、徒歩より詣でけり。極楽寺・高良などを拝みて、かばかりと心得て帰りにけり。
さて、かたへの人にあひて、「年比思ひつること、果し侍りぬ。聞きしにも過ぎて尊くこそおはしけれ。そも、参りたる人ごとに山へ登りしは、何事かありけん、ゆかしかりしかど、神へ参るこそ本意なれと思ひて、山までは見ず」とぞ言ひける。
少しのことにも、先達はあらまほしき事なり。

この法師、勘違いして山下の極楽寺・高良社へ行っただけで、
山上の「石清水」へは、行きそびれてしまいました。
案内者や手引きは、必要ですね〜〜。

今回は、脱線が多かった〜〜。
でも、二条為世と兼好法師と、師弟コンビで繋げました。

13番「陽成院」

小倉百人一首 13番「陽成院」

前回は、当代きっての色好み「元良親王」でしたが、
その父親「陽成院」が、今回の主役です。
当ブログの愛読者は、よくご存知ですよね???
大和物語に、登場しましたから・・・。

やっぱり元良親王の父親ですね。
陽成院は、大和物語では、14段「おほつふね」・15段「若狭の御」と、
次から次へと女性に手を付けて、その女性を忘れていったようです。

イメージ 3
陽成院の父は、清和天皇。
母は、伊勢物語で業平との恋物語に度々登場した、
藤原高子(たかいこ・二条后)です。
そう、業平に盗み出された、
あの姫様ですよ。

では、哥を見ていきましょう。出典と詞書(ことばがき)から。

後撰集 776
釣殿内親王につかはしける
    陽成院御製

  筑波嶺の 峯より落つる みなの河
  恋ぞ積もりて 淵となりける

恋文の相手は「釣殿内親王」、
陽成院の妃になる綏子(すいし)内親王へ宛てた哥です。

イメージ 1
後撰和歌集聞書注を見ると、
イメージ 2
「つくは山にある河なり」とあります。
筑波山は、2つに分かれ、
男体山と女体山があります。
この間を流れ落ちる男女川(みなのがは)が、
だんだん太い流れになり、
麓で深い淵になるように、
私の恋心はこんなにも想いが積もって深い淵になりました。

徐々に恋心がつのっていく様を哥にしたものです。
恋の成就が、天皇の妃になりました。
「釣殿」のことは、忘れていませんね。

陽成院は、筑波山へ行ったことはありません。
しかし万葉の時代から筑波嶺・筑波山を詠った哥はあります。
男体山と女体山は、
伊弉諾神(イザナギ)と伊邪那美(イザナミ)を祀り、
男女和合を願っています。
筑波は、「付く・着く」に通じます。

「峯より落つる みなの河」の、「み」の連続が、心地良く響きますね。
淡い恋から徐々に深くなる恋を、美しく詠っています。
どうぞ皆さんも、ますます連れ合いに、恋人に、
恋心を「積もりて淵と」してください。

20番「元良親王」

小倉百人一首 20番「元良親王」

今回は、元良親王です。ある調べ物をしていたら、この方に出会いました。
その調べ物とは、「志賀寺の上人の恋」というもので、
三島由紀夫が書いています。
この高僧の上人様の、64年の修行をフイにした美女がいました。
そんな美女を落としたのが、プレイボーイ「元良親王」なのです。

イメージ 1

その美女の名は「京極御息所・藤原褒子」。宇多上皇の御息所でした。
例によって、出典から見ていきましょう。

イメージ 2
後撰集 960
事いてきてのちに、京極御息所につかはしける
元良親王 

 わひぬれは 今はたおなし なにはなる
     みをつくしても あはんとそ思ふ

露骨ですね。「事いてきてのち」、
つまり「密通が世に知られてしまった後」と有ります。
知られてしまって、もう逢えないではあきらめがつかない。
ままよ!謹慎も何のその。破滅的恋ですね。

「澪漂(みおつくし)」と「身を尽くす」の掛詞で、
「身を滅ぼしても」逢いたいと、情熱を燃やしています。
ワイルドだね〜〜。こんなに愛されたいですか〜!?


貴女に逢えなくなって、こうして辛い思いをしているくらいなら、
いっそお会いして再び罰を受けようとも、今は同じこと、
難波潟の澪漂ではないが、身を尽くして逢いたいよ〜〜。
「今はたおなし」は、「今、はた(また)同じ」ですよ。

また、源氏物語(澪標)でも、
「堀江のわたりを御覧じて、『今 はた同じ難波なる』と、御心にもあらで、
うち誦じたまへるを・・・」と、引用されていますよ。
この当時から、この哥は人々に愛唱されていたんですね。

元良親王は、「兵部卿宮」と言う名で、大和物語に登場します。
まだ、私のブログ内の大和物語には登場していませんが、
色好みの宮として6話ぐらい出て来ますよ。
期待してください。90段以降。かなり先のことですが・・・。

また、今昔物語にも登場。ここでも色好みで、
世にある女の美麗なりと聞ゆるには・・常に文を遣るを以て業としける」
とありますから、片端から恋文を送っていたみたいです。

元良親王や志賀寺の上人と、男を狂わせる絶世の美女・京極御息所に、
私は興味が尽きません。

右下:百人一首 宮内庁書陵部 文安二年(1445)冬堯孝法印筆
志賀寺上人事は、太平記より

57番「紫式部」

小倉百人一首 57番「紫式部」

前回は和泉式部。
批判した人「紫式部」についてチョット書いたので、
今回は「紫式部」ですね。

紫式部は藤原宣孝に嫁ぎ、一女を産んだけど夫の死後、
再婚をしなかったと考えられています。
憶測はあるんですが・・・。(笑・尊卑分脈や道長との哥の贈答など)

イメージ 1
まず「出典」探しから。詞書は大事ですからね。
また、写本について少し考えます。

一つ目は、
新古今集(早大蔵) 巻十六 雑上 1499

はやくより わらはともたちに侍ける人の 
としころへて行あひたる 
ほのかにて 七月十日のころ 
月にきおひてかへり侍ければ
紫式部

めくりあひて みしやそれとも わかぬまに 
雲かくれにし 夜はの月影




わらはともたち=童友達
みしやそれとも=今めぐり逢って見たのは、それかどうかも
わかぬまに=分からない間に
夜半(よは)=夜中・夜更け





イメージ 2
二つ目は、
「紫式部集」(陽明文庫蔵)にもありました。

はやうより わらはともたちなりし人に としころ
へて 行あひたるか ほのかにて 十月十日の程に
月にきおひて かへりにけれは

めくりあひて 見しやそれとも わかぬまに 
雲かくれにし よはの月かな

注目したいのは、「月影・月かげ」と「月かな」です。
2タイプ有るみたいです。
たいていの小倉百人一首は、

めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に
     雲がくれにし 夜半(よは)の月かな

と、「月かな」タイプですね。

イメージ 3
しかし、私の持っている影印「百人一首 冬堯孝法印筆」は、
古い写本の部類(文安二年・1445)で、
「月かげ」なんですよ。新古今集と同じですね。
写本の系統などで、違ってくることがあるんですよ。

写真は、和泉式部と紫式部の所が、
書き損じて「グシャグシャ」になっていますね。
書写の際、目が飛んで間違えてしまったんです。
消しゴムが有りませんから。(笑い)

と言うことで、
百人一首の紫式部の本哥は2タイプ有る。
詞書も「七月十日」と「十月十日」の2タイプ有るとの、
蘊蓄でした。
3つの写本から考えました。




さて、哥の意味は、
「幼友達に久しぶりに逢ったが、チョットしか時間がとれず、
七月十日(十月十日)頃、月と競うように帰ったので・・・

めぐり逢って、かつて見た月とも、分からない間に、
雲隠れしてしまった、夜半の月のように。
もっともっとお話がしたかったのに・・・」

いつの時代も、女性達はおしゃべりがしたいんです。
男性達は、この事を知らないといけませんよ。
「よくもあんなにしゃべることがあるもんだ!」なんて、
言っては成りませぬぞ。言うと怖い目に遭います、ホント。

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