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伊勢物語(第122段)仁勢物語(第122段)
参考2
大和物語169
むかし、うとねりなりける人、おほうわのみてくら使に、やまとの国にくたりけり。井手といふわたりに、きよけなる人の家より、女共わらはへ出きて、此いく人を見る。きたなけなき女、いとおかしけなる子をいたきて、かとのもとにたてり。此ちこのかほのいとおかしけなりけれは、めをとゝめて、「そのこ、こちゐてこ」といひけれは、この女よりきたり。ちかく見るに、いとおかしけなりけれは、「ゆめことおとこし給ふな。我にあひ給へ。おほきになり給はんほとに、まいりこん」といひて、「これをかたみにし給へ」とて、おひをときて、とらせけり。さて、この子のしたりけるおひをときとりて、もたりけるふみにひきゆひてもたせていぬ。この子とし六七はかりに有けり。この男いろこのみなりける人なれは、いふになん有ける。これを、此子は忘れすおもひもたりけり。男は、はやう忘れにけり。かくて、七八年はかり有て、又おなしつかひにさゝれて、やまとへいくとて、井手のわたりにやとりてゐてみれは、まへに井なむ有ける。それに水くむ女ともあるかいふやう・・(途切れ)・・
催馬楽
山城の 狛のわたりの 瓜つくり なよや らいしなや さいしなや
瓜つくり 瓜つくり はれ
瓜つくり 我を欲しと言う いかにせん なよや らいしなや さいしなや
いかにせん いかにせん はれ
いかにせん なりやしなまし 瓜たつまでにや らいしなや さいしなや
瓜たつ間(ま) 瓜たつまでに
山城の狛の瓜つくりが、私を嫁に欲しいと言っている。どうしよう。
瓜が熟れるまで待って、私が熟れるまで・・・。
源氏物語 紅葉賀
この内侍(源典侍)、琵琶をいとをかしう弾きゐたり。御前などにても、男方の御遊びに交じりなどして、ことにまさる人なき上手なれば、もの恨めしうおぼえける折から、いとあはれに
聞こゆ。「瓜作りになりやしなまし」と、声はいとをかしうて歌ふぞ、すこし心づきなき。
伊勢物語は、井手の玉水で互いに愛を誓い合ったのに約束を破るなんて・・・。
大和物語の169段を合わせて読むと興味深い。可愛い子を見つけて、大きくなったらいただこうと約束したのに、忘れた「好き男」。大和物語の途切れに、伊勢物語の哥を入れると、女の子が約束を忘れた男へ向けた「なじり」の哥になる。
仁勢物語は、嫁にと約束した女を、熟れるまで待っていたが、約束を破って返事もしない。
催馬楽や源氏物語なども踏まえて読むと興味深い。源典侍の「熟れすぎの滑稽さ」と、仁勢の「瓜を握り」に大笑いです。
男女間の約束ほど、当てにならない!
信じる者は大馬鹿です。
信じないで、しかし、互いに必死に努力しましょう!
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伊勢・仁勢物語
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伊勢物語(第121段)仁勢物語(第121段)
天福本 伊勢物語(影印本・武蔵野書院)
参考1(第121段)
梅壺=禁中の殿舎の名、凝花舎、南面の中庭に紅梅・白梅がある(伊)
まかりいつる=退出するところ(伊)
見て=ここでは見てすぐに哥で呼びかけた(伊)
花をぬふてふかさ=花を縫ふてふ笠、鴬が梅の花を縫って作るという花の笠(伊)
も哉=もがな、あってほしい(伊)
ぬるめる人=濡れている人(伊)
きせてかへさん=花笠をかぶらせてお帰ししたい(伊)
かさはいな=笠は否、笠は結構です(伊)
おもひをつけよ=思ひを告げよ、思いの火を付けよ、掛けている(伊)
ほしてかへさむ=(思いの火で乾かして)干して返へさむ←→着せて帰へさん(伊)
馬とり=馬の口取り(仁)
鼻捻=はなねじ、馬を制御する用具、50cmくらいの棒、
これで馬の鼻先をはさんで制御する、武器(短棍)にもなった(仁)
棒もかな=棒が有ったらなー(仁)
きせて=着せて、一発くらわせる、棒で懲らしめをする(仁)
腹ゐん=腹が癒える(仁)
鼻をねつてふ=鼻捻ってふ、鼻捻と言う(仁)
棒はいな=棒は否(仁)
参考2
伊勢物語は、即興の哥の遣り取り。「雅び」が何とも言えない。
現代では、「お嬢さん、この傘をお持ちください」と言って、自分は濡れて帰る・・かな!?。
仁勢物語は、梅干しが濡れたら、台無しです。
「旦那さん、お仕置きのお尻ペンペンは嫌よ!明日までに乾かして返します。」
関連の哥 古今和歌集 1081
あをやぎを かたいとによりて 鶯の ぬふてふ笠は 梅の花がさ
昔、知らないお嬢さんに、
傘を貸してそのままでした。残念
東京は朝、濡れない程度の小雨でした。
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伊勢物語(第120段)仁勢物語(第120段)
伊勢物語(第120段)
昔おとこ女のまた世へすとおほえ
たるか人の御もとにしのひて
ものきこえてのちほとへて
近江なるつくまのまつりとくせなん
つれなき人のなへのかす見む
仁勢物語(第120段)
をかし女のまたよへすとおほしてつれなきかもと
にて振舞するとて
近江なる 堅田の鮒をとく 烹(に)なむ
つれなき人の 鍋の尻見む
参考1(第120段)
世へす=男女関係を知らない(伊)
おほえたるか=思われた人が・・・なんと(伊)
御もとに=言い方が高貴な人を思わせる(伊)
しのひてものきこえて=こっそりといい関係をもった後に(伊)
近江なるつくまのまつり=近江にある筑摩神社の祭「鍋冠まつり」(伊)
つれなき人のなへのかす見む=そっけない女性が知った男の数を示す鍋の数を見てみたい(伊)
またよへす=まだ世(男女間の世)経ず、まだ男を知らない(仁)
つれなきかもとにて振舞する=素っ気ないあの人の前で、もてなしをする(仁)
振舞=「ふるまい・行動・挙動」、「もてなし・接待・饗応」ここは後者(仁)
かもとにて=彼(か)もとにて、あの人の前では、岩波版では「顔にて」(仁)
つれなき=連れ無し、思うにまかせない、意のままにならない(仁)
堅田の鮒=琵琶湖南西岸大津市の鮒は有名、鮒寿司、堅田の鮒包み焼き、煮付けなど(仁)
鍋の尻見む=「鍋尻を焼く」は夫婦となって世帯を営むこと→所帯の様子を窺うこと(仁)
参考2
伊勢物語は、あの素っ気ない女の過去を、知った男の数だけ鍋をかぶる祭りで、つきとめてみたい。
仁勢物語は、あの人と所帯を持ったら・・と、堅田の鮒を煮ながら様子を窺う?
日本三大奇祭のひとつ、筑摩神社の「鍋冠まつり」
女が、経験した男の数だけ鍋をかぶって歩くという風習があったと言われる。
古代から皇室に鮒鮨などの食糧を貢納していた筑摩御厨(みくりや)が置かれ、一千年の歴史を持つ筑摩という地域に建っています。「鍋冠まつり」は5月3日の神社例祭の日におこなわれ、色鮮やかな狩衣姿に張子の鍋をかぶった数え年8つの少女たちが渡御し、本殿に参進します。
鍋冠まつり パートⅡ(1分30秒あたりから)
女の過去など詮索しても仕方ないんじゃ無いのかな??
もっとおおらかに、今の心が大切ですよ!!
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伊勢物語(第119段)仁勢物語(第119段)
伊勢物語(第119段)
むかし女のあたなるおとこのかたみ
とてをきたる物ともを見て
かたみこそ今はあたなれこれなく
は
わするゝ時もあらましものを
仁勢物語(第119段)
をかし女はあざもつ男はそうたもてりはやく
うち捨たりけるをみて
勝こそは いまはあたなれ 是なくは
そうたはよもに あらまし物を
参考1(第119段)
あたなるおとこ=徒・不実なる男、浮気っぽい男(伊)
かたみ=形見、不在の間に思い出すために記念品の形見の品(伊)
をきたる物とも=置きたる物ども(伊)
あたなれ=仇なれ、苦しみの元になっている形見の品(伊)
あらましものを=あるであろうに(伊)
あざ=「うんすんかるた」の「青の一」は、「あざ」と呼びます(仁)
そうた=「うんすんかるた」「江戸初期のカルタ」等の「ソウタ」、
10に当たる札は、「ソウタ(sota)」と呼ばれていました(仁)
勝こそは いまはあたなれ=勝つことはもう絶望になったわ〜(仁)
そうたはよもに あらまし物を=ソウタは周りにはもう無いでしょうに(仁)
参考2
伊勢物語は、男の形見の品なんて無い方がサバサバします。
仁勢物語は、カルタ遊び、負けて悔しい可笑し女。
「うんすんかるた」は「うんともすんとも」の語源、仁勢65段でも登場。
現代の「七並べ」に似た遊び。
江戸カルタ概説
思い出の品を見て、ウジウジと昔の事を思い出す
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伊勢物語(第118段)仁勢物語(第118段)
参考1(第118段)
ひさしくをともせて=久しく音もせで、長い間女のもとに来もせず(伊)
まいりこむ=(男)参上したい(伊)
玉かつら=玉は美称、葛・つる草の総称、「絶えぬ・来る」の枕(伊)
うれしけもなし=嬉しげもなし、ちっとも嬉しくありません(伊)
おこる心もなし=病が起きる気配がない、怒る心が無くなって(仁)
太刀かつぎ=左の肩の中程の所(仁)
やい火=やいと・灸、焼処(やきと)の転(仁)
たべぬくすり=飲まなくなった薬(仁)
痃癖=けんびき、首から肩にかけて筋肉がひきつって痛むこと、肩凝り(仁)
参考2
伊勢物語は、忘れた頃に来たいなんて、ちっとも嬉しくありません。
男の身勝手に飽き/\です。
仁勢物語は、お灸を肩にすえたら絶好調。
50肩で左手が上がらないのだ。
電車のつり革が、左手で掴めない。とほほ・・・。
_______φ(.. ) 誰かお灸をすえて・軽鴨の介
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