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バロンドールが発表され、メッシが大方の予想通りに、世界ナンバーワンの選手に輝いた。
MVPに輝いたメッシの攻撃力は、それはそれは驚異的だった。
1月、コンチネンタルカップに出場したオレたちは、1回戦でハイバリー・ガンナーズと対戦した。 ホームの初戦、メッシを警戒する相手の裏を突き、左サイドからの攻撃が機能する。
シモンがサニャの背後を取って、クロスを入れたところを、オレがヘディングで合わせて先制。2点目となる追加点も、全く同じ形で奪った。
その後も相手を圧倒し続けたが、そのまま2−0で試合は終了。
終了間際にシュートチャンスを得たシャビは「ホームなんだから、もうワンプレーやらせろよ!」と、珍しく審判に文句を言っていた。惜しくもバロンドールを逃して、得点力アップが必要だと感じたからだろうか(笑)。
アウェーでの第2戦の前に、なかなか連携が合わないオレとイニエスタが監督室に呼ばれた。
イニエスタ「なんか、合わないんだよね。タイミングが」
中山「もう少しタメてから飛び出したらいいのかな?」
そんな話を真面目にしていたとき、監督がポツリと。
「おまえら、無人島にでも行って一緒に生活して来い!!」
一瞬、呆然としたけど、すぐに冗談と分かったオレたちは爆笑した。それ以来、ちょっとだけイニエスタとの連携が良くなった。
そして、ハイバリーガンナーズとの2戦目、シモンからのパスを受けたボージャンが先制点を挙げる。さらにシャビのCKにピケが合わせて、2−0。
連勝で決勝に駒を進めた。
決勝の相手はマンチェスター・U。
監督はシャビをアンカーに置く超攻撃的布陣を採用した。攻め続けたが、ファンデルサールが好セーブを連発。嫌な流れのままPK戦にもつれた。
両チーム3人目まではしっかりと決める。しかし、4人目。シモンが決めたのに対し、ナニが外してくれた。5人目、イニエスタが決めれば勝利というところだったが、まさかの失敗。
それでも6人目で自らPKを決めたビクトール・バルデスが決め、直後にフレッチャーのシュートを弾き勝負あり。
さらにコンチネンタル・スーパー・カップでは、インテルと対戦した。この試合、オレはシーズンベストとも言えるプレーができた。
前半は16分、34分、後半も4分、18分、45分にゴール。計5点を一人で挙げた。さらにボージャンとメッシのゴールもアシストし、全7得点に絡んでみせた。
この活躍で「ギネス男が本領発揮!!」とスペインでも話題になった。特に最後のゴールは、ハーフウェーライン付近から単独のドリブル突破を見せたため、大きな話題に…。
メッシも「この調子なら、来年はゴンがバロンドールだね」と笑っていた。
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ゴンの大冒険
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折り返しとなったリーグ戦では、前節も対戦したジャッロ・ロッソ・ローマとの対戦を迎えた。
前回の対戦ではコンティが中盤で見せる高い守備力に苦しみながらも、なんとか1点を奪って勝利したが、今回の試合でオレたちは力の差を見せつけた。
布陣は4−3−3。GKビトール・バルデス、DFベレッチ、ピケ、プジョル、アビダル。MFはアンカーにヤヤ・トゥーレが入り、その前にシャビとシモンがセンターハーフに入る。3トップは右ウイングがメッシ、左ウイングがボージャン。そして、センターフォワードにオレが入った。
「前節ゴールを決めたゴン、おまえには徹底マークが予想される。
メッシ、ボージャンと点を取れる選手を近くに置くから、おまえはおとりになれ」
この試合前の監督の指示は実に的確だった。
8分、縦パスを受けると、相手センターバックが2人で挟みこんできた。試合前の指示がなければ、強引にでも前を向こうとしたかもしれない。あの指示があったから、オレはボールをしっかり落ち着かせることに集中し、ボールをキープすることに集中していた。DFの間に体を入れると、すかさずにスペースに走り込んで来るメッシが見えた。そこにパスを出すと、メッシは楽々とゴールネットを揺らした。
先制点によって、相手には迷いが生まれた。
18分、ボージャンからのパスを受けたとき、相手が寄せきれていないことが分かった。
反転して自らシュートを決める。
その後も気落ちした相手に対し、オレとメッシの連携で2点を加えた。
1月にバロンドールを受賞することが確実視されているメッシがハットトリックの活躍を見せ、4−1で勝利。
この結果、順位も2位に浮上した。
だが、オレたちは何より、監督が先週のショックから立ち直っていることにホッとしていた(笑)。
続いて行なわれたEPCカップでは、まさに敵なし状態。
初戦のFCプロビンチャ戦は5−0で勝利。
前半で先制点を含む2点を挙げたオレは、後半開始前に「温存する」と告げられて、ベンチに下げられた。
準決勝のカルデロン・マドリード戦は3−0。オレは1得点1アシスト。
そして決勝ではイタリア人選抜との試合だった。
初戦を6−0、準決勝を2−0で勝ち上がってきた強敵である。
準決勝を分析した監督からは「かなりラフなチームだ」と言われていた。
実際に35分、ゴール前へ侵入しようとしたメッシが倒される。
イヤな感じで着地したのが見えたが、結局、起き上がれないまま交代を強いられてしまった。
絶好調のメッシがいなくなったが、動揺している暇はない。
なんとか相手の攻撃をしのいで、前半を0−0で折り返した。
後半の開始早々、絶好のチャンスが訪れる。
ボージャンのクロスが入った瞬間、オレはフリーになっていた。これを決めて先制。
さらに、その直後にもメッシに代わって右サイドに入ったシモンのクロスをボレーでたたき込み、2−0で勝利。
幸いメッシは軽傷だったようで、ベンチで喜んでいる姿が見えた。
2点を失ったカテナチオの国のチームは、戦意喪失していた。
そのまま2−0で勝利。
大量得点を取れたこともそうだが、何より3試合を無失点で終えたことが大きかった。それだけ相手に攻める機会を与えなかったということだからだ。
試合が待ち遠しい。
ジュビロの黄金期と呼ばれる時期と同じような感覚を、再びバルセロナで味わっている。
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グループステージ最終戦の相手、M大阪は連敗を喫し、すでに敗退が決まっていた。
だが、森島寛晃、名波浩というともに戦ったことのある日本人選手を擁するだけに、
オレの気持ちは高まっていた。
試合前、少しだけ名波、森島と話すことができた。
中山「ナナ、何してるんだよ!? バルサに来るんじゃなかったのかよ!」
名波「いやいや、能活さんを置いていけないしょ! バルセロナはどうですか? 良いパス、来まくりでしょ? ちゃんと決められてる?」
中山「いやぁ、この大会から、ようやくスタメンに復帰できた…ってとこかなぁ。 それにしても、豪華なチームだねぇ」
森島「いやいや、そんなことないですよ」 中山「モリシが選手兼監督をやっているんだって?」 森島「そうなんですよ。いかに僕がごっつぁんゴールを取るかっていうコンセプトのチームです(笑)」 中山「今日はお手柔らかに頼むよ」 名波「いやいや、ゴンさんのチームに負けるわけにはいかないでしょう。 もう敗退も決まっているけど、最後に意地を見せますよ」
森島「この試合を最後に、僕の監督としての任期も終わるんでね。 有終の美を飾りますよ」
こういう試合はチームとして、モチベーションを保つのが難しい。
オレらには、決勝を前にケガをしたくないという気持ちもあった。
敗退が決まった相手も、モチベーションが低ければいいのだが、
どうやら、この日を最後に監督業を終えるモリシは、相当、気合いを入れているようだった。
そしてキックオフ。
開始早々の7分、選手兼監督のモリシが、決定的な仕事をする。
ヤヤ・トゥーレをスルリと交わすと、1トップのルーニーにパス。
ルーニーが強烈なシュートを叩き込み、M大阪に先制された。
だが、この大会、常に先制されてきた俺たちは動じなかった。
90分間が終わったときに、相手よりゴールがひとつ多ければ良い。
あとは、しっかりとボールを回して、チャンスを決めきるだけだ。
39分、ボージャンからのパスを、しっかりとゴールに流し込んだ。
オレとボージャンのコンビは、年齢差もあって、かなりの注目を浴びている。
実際に親子ほど年の差は離れているが、連携面には自信があった。 同点に追いついて迎えたハーフタイム、なにやら監督が興奮している。
本来は消化試合であるはずなのに、やたらと「勝て」とプレッシャーをかけてきた。
その期待に応えるべく、バルセロナはゴールに迫った。
ところが、オレがメッシとのワンツーから放ったシュートは、少しタイミングが早かったか、
力なくGKの腕の中に収まる。
時間がどんどん過ぎる中で、監督はメッシを中央に置く布陣に変更するように求めてきた。
オレとボージャンがシャドーに入ったが、このシステムは機能したとは言いがたい。
結局、
1−1のままで試合は終了した。
試合後、森島が「最後に、意地を見せたでしょ」と話しかけてきた。
「また、いつか戦おう」と約束してロッカールームに戻ったら、
監督がまるで敗れたかのように消沈していた。
会長に聞いたところ、どうやら勝利すれば02年にモリシが着用したユニフォームをもらうという
約束を取り付けていたらしい。
勝てなかったから、その話が立ち消えになり、落ち込んでいるそうだ。
…。
…。
…。
そんなの知るかよ(笑)。
そんな監督の事情はともかく、オレたちは無事に決勝へ進出した。
対戦相手は初戦で戦ったAZアルクマール。
30分にCKからシャビ→プジョルのゴールで先制すると、余裕の試合運びだった。
後半にオレとボージャンが1点ずつを決めて3−1。
4試合全勝とはいかなったが、しっかりとタイトルを獲得できた。
優勝後も監督は尋常じゃなく凹んでいたけれど、俺たちは確かな手応えを感じていた。
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リーグ戦の3節は、敵地でジャッロ・ロッソ・ローマとの対戦を迎えた。
キングスクラブカップ、ナショナルスーパーカップを獲得した勢いで、今季のリーグ初勝利を挙げたいところだ。
バルセロナはいつもの4−3−3でスタート。
オレはセンターフォワードとしてスタメンに復帰した。右ウイングにボージャン、左にシモンが入る。
ボージャンの突破力をサイドで生かしたいというのが、監督の狙いだという。
ようやく連携の向上してきたバルセロナだったが、この試合では前線に思うようにボールを運べなかった。
中盤のコンティが驚異的なボール回収力を見せる。そこからのカウンターが厄介だった。
コンティ、トッティ、バティと流れるようにボールをつなげられるが、幸いにもバティのトラップが大きくなり、 出足良くビクトール・バルデスがセービングを見せる。
膠着した試合だったが、後半35分、相手DFがもたついたところを逃さずに、
オレがボールを奪って、先制点を奪う。
結局、これが決勝点になり、1−0で今季初勝利を挙げた。
それでも、順位は4位と、まだまだ納得できる位置ではない。
2週目からは過去にタイトルを獲得したチームのみが参戦できるWT4に参戦した。
4チームがリーグ戦を行ない、上位2チームが決勝戦を行なうレギュレーションだ。
開幕戦では、オランダの強豪AZアルクマールと対戦する。
FKからメンデスにゴールを許す苦しい立ち上がりとなったが、ボージャンのゴールで同点に追いつく。
さらに後半に入ると途中出場したイニエスタが倒されて得たFKをシャビが直接決めて2−1。 逆転勝利し、首位に立った。
2戦目は、無敗でポルトガルリーグを制したポルト。
17分に、ビクトール・バルデスが中途半端に飛び出したところを、
ファルカオ→フッキとつながれ、無人のゴールに流し込まれた。
1点取られても、それ以上のゴールを取り返せば良い。
チームは落ち着いていた。
36分、エリア内でボージャンからパスを受けたオレのシュートが決まり同点に追いつく。
後半にもボージャンからのパスを左足で蹴り込み、逆転した。
2点を取ったオレのマークは厳しくなる。
終了間際には、3人のDFをひきつけておき、右足アウトサイドでメッシにパス。
フリーのメッシがしっかりと決めて。3−1と逆転勝利を挙げた。
この時点で2勝。
次に直接対決をする2位と3位が1勝1敗だったため、オレたちの決勝進出は決まっていた。
第3戦の相手は、2敗を喫しているチームであり、消化試合だ。
しかし、その試合をオレは待ち望んでいた。
対戦相手のチーム名は、M大阪だった。
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準決勝の相手は、ロッテルダム1908。
スタメンはコンディションが回復したピケがエジミウソンに代わり先発に戻った以外に変化はない。
この試合も、1トップのボージャンはキレていた。メッシからのパスを受けて先制点を叩き込み、
鋭いドリブルからのシュートでCKを獲得。そのCKからベレッチが追加点を挙げる。
オレの出場は、またも後半20分過ぎ。
メッシが個人技から得点を挙げて3−0とした直後だった。 これだけの大差がついていれば、勝利は間違いない。
さらに勢いを付かせるために必要なもの、それは気持ちのこもったプレーだ。
ロスタイム、シャビが絶妙なループパスをゴール前に送った。
相手のGKが一瞬判断を迷ったその隙に、スライディングでボールを流し込む。 決してきれいなゴールではない。だが、自分らしいゴールだ。 4−0という結果に、ホームのサポーターたちも満足気だった。 決勝戦、相手はジーコを擁するコインブラ・フリウリだ。
バルセロナの先発は、準決勝と同じ。
この大舞台で、若いボージャンが緊張しているのが手に取るように分かった。
ボールをまたぐ得意のフェイントから、DFをかわしてゴール前に進入するまではいい。 だが、シュートが遅れてGKに防がれてしまう。 「落ち着け!」
ベンチからそう声を掛けると、ボージャンは親指を立てて笑い返してきた。
そして38分、ボージャンがドリブル突破から先制点を挙げて先制する。
直後にもボージャンは、最終ラインのセンシーニからボールを奪いシュートに持ち込んだ。 シュートは枠を外れたが、本当に素晴らしい才能を持った選手とポジションを争っていると痛感した。 そして後半15分、オレに声がかかる。シモンとタッチを交わし、グラウンドに入る。
今日はボージャンと2トップになるように指示を受けた。
ピッチに入ってすぐ、前方へダッシュをした。その動きにDFがつられる。
ボージャンがフリーになった。アビダルからのパスを受けて、フリーでシュート。
これはGKの好守に防がれたが、そのCKからヤヤ・トゥーレが豪快に決めて2−0。
試合終了間際にも、オレのパスからメッシがゴールを挙げて、終わってみれば完勝だった。
オレが加入して初のタイトル獲得だ。
みんなが「助かったよ!」と言ってくれた。
派手な活躍ができたわけではない。でも、チームメイトたちは分かってくれていた。
その証拠に、オレはキャプテンのプジョルと一緒に最前列で、トロフィーを持たせてもらったんだ。 でも、ここでハシャギすぎるわけにはいかない。
この大会を制したことで、出場権を得られるナショナル・スーパーカップが控えているからだ。
ナショナルスーパーカップの対戦相手はASメジャール・アン。
試合前、アクシデントがチームを襲った。
どうやらプジョルが食中毒で、コンディションが最悪だという。
だが、「キャプテンを欠くわけにはいかない」との監督の判断から、スタメンは変わらなかった。
8分、相手DFからボールを奪ったボージャンが独走して先制点を挙げる。
22分にはベレッチのシュートをGKが弾いたところを再びボージャンが決めて、2−0とした。
ハーフタイム、監督が驚きの指示を出した。
「プジョルに代わって、ゴン、いくぞ!」
ウソだろ?
高校時代は県選抜にエースストライカーの武田修宏がいたから、センターバックを務めていた。
でも、大学以降はやっていないセンターバックを、この舞台でやらせる気か?
だが、そうではなかった。布陣を3−4−3に変更したのだ。
両サイドバックのアビダルとベレッチが少し中に絞った、超攻撃的な布陣になった。
過去3試合で、みんなもオレを信頼してくれている。
プジョルが「頼むぞ」とオレにキャプテンマークを渡してきた。
しっかりと巻き、ピッチに立ち、後半のキックオフの笛を聞いた。
みんなが「走るぞ!」と言い合い、チームのスタミナが上昇しているのを感じる。
後半は一方的な展開になった。
ボージャンが試合を決める3点目を決め、
最後はオレも、決して得意ではないドリブル突破から駄目押しの4点目を挙げることができた。
密かに技術の練習を続けてきた成果が出たってものだ(笑)。
表彰式の前、プジョルにキャプテンマークを返そうとしたら、
「腹が痛いから、おまえが受け取れ」と言う。
その言葉に甘え、一番目立つ役を引き受けた。
明日の新聞、一面はいただきだ(笑)。
キングスカップに続き、ナショナルスーパーカップも獲得できた。
「強いバルセロナが戻ってきた!!」
「オレたちがチャンピオンだ!!」
サポーターの歌声が、どこまでも、どこまでも心地の良い夜だった。
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