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あるプレイヤーが名手であるかどうかというのは、それほど重要なことではないのかもしれません。私には、ワーデル・グレイとかチャーリー・クリスチャンらが、とび抜けて名手なのかどうか、正直言って分かりません。確かに、ソニー・スティットやオスカー・ピーターソンが名手であることに異存はないし、どちらも大好きなプレイヤーではあります。名人芸には、名人芸ならではのよさがあります。
しかし、役者が解釈によっていかようにでも演技の道があるのと同様に、個性というのは多様であります。グレイにしろクリスチャンにしろ、レスター・ヤングに触発された面が大きいと思いますが、触発すべき相手を選び、そこに自分なりの表現の場を見出すのも、個性であり、能力であり、思想であります。直接であれ間接的にであれ、レスターとの出会いを非常に大切にした結果であろうと思います。
ザナドゥというレコードのレーベルがあって、優れた作品を多数世に出しましたが、その中に「ワーデル・グレイ/ライヴ・イン・ハリウッド」というのがあります。録音があまりよくないのが欠点といえば欠点ですが、リズムセクションはともかく、グレイのソロは比較的よく取れています。この中に、パーカーのおなじみの「ドナ・リー」が入っていて、急速調でやっているんですが、このワーデル・グレイの素晴らしさ!これとかスタンダード・ナンバーの「ゲット・ハッピー」などを聴くと、自己表現の上で不必要な技術はあえて捨て去り、本当に自分が吹きたいように吹いた結果がこういう粋な演奏になっているんだなあと思います。グレイの対極に位置する、たとえばベン・ウェブスターとかでも、不必要な技術を捨て去っている点では、同じなのかなと思います。
ワーデル・グレイは決して「すごい」ミュージシャンではありませんが、唸らせるフレージングには独特のよさがあります。クリフォード・ブラウンなんかとやらせたら‥‥名演が生まれたでしょうに。
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