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原発

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父親の独り言

 今年になって長男がアルバイト先の量販店に正式採用されることになり、この春から親元を離れ他県へと旅立っていきました。次男坊も大学で福祉を学ぼうと他県へ旅立っていきました。一時に二人とも出て行く結果になり、多少さびしさを禁じえませんが、こちらは夫婦二人で案外仲良くやっているので、安心して頑張ってほしいと思います。
 
 それにしても、私たちの世代は子どもたちに何を残そうとしているのか、それを考えると暗い気持ちでいっぱいになります。なによりも、福島でおきた原発事故、それについて真実が隠されてきたこと、そしてもっぱら内部被爆によって数多くの人々が犠牲を強いられるであろうこと、もちろんそのなかには私たちも息子たちも入るのでありますが、子どもたちの生きる道さえ閉ざそうとする私たち親の世代の無責任さに呆然となります。いったい何が欠けていたのでしょうか。
 
 「頑張れ、日本!」の合言葉がガレキの国内拡散=被害の拡大・情報の隠蔽へとキャンペーンとして使われ、国民の素朴でありたいという志向を逆手に取ったような国策が通用するのを見るにつけ、これからは「素朴」とか「素直」というのが美徳とはかぎらないと思ってしまいます。
 
 私たちが子どもや孫たちにそれを求めるのは、間違っていると思うのです。それは教育ではなく、管理や統制の類ではないかと思います。教育というのは上意下達のためにあるのではなく、能力の向上により自他ともに幸福追求の選択肢が増えることを目的とするものだ思います。つまり、単に「素朴」や「素直」であることよりも、自分は「自分の意見を主張することができる」とか「自分の誤りに気づいたときは主張を修正することができる」という自己肯定感や自己信頼感に裏付けられた合意形成の力であると考えています。せめて子どもや孫たちの世代には、行き過ぎない限りにおいて自己防衛の力も兼ね備え、自らの力で信頼できる社会を築けるようになってほしいと思うからです。
 
 残念ながら、私にはそういう能力はあまり育ちませんでした。せめて可能な限り、人に優しくなれればと思います。それなら、能力よりも努力しだいで可能な気がします。人に優しく、人間に優しく‥‥老後の目標です。

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