よっしー本店

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 私事でr恐縮ですが、もう18年たとうとしています。私が職場の上司から、パワー・ハラスメントを受けて、実につらい日々を送っていた時期がありました。死ぬよりほかに脱出の方法がわからずにいたところを、妻をはじめいろんな人たちに支えていただき、何とか職場復帰を果たし、それから6年という長い時間をかけてやっと精神を安定させることができました。その傷心の日々に、私を励ましてくれたレコー ドを私は一生忘れないでしょう。それはジョン・コルトレーンでもなければエリック・ドルフィーイメージ 1でもありません。それは、デューク・エリントン、ジェリー・ロール・モートン、ファッツ・ウォーラー、カウント・ベイシー、ルイ・アームストロング、ビックス・バイダーベック、チャーリー・クリスチャン、ベッシー・スミス‥‥そして、レスター・ヤングでありました。とりわけ、エリントンとモートン、そしてレスターは毎日のように聞きました。彼らのユーモア精神にあふれた音楽は笑いを誘うというよりも、ただただ有難くてむしろ涙を誘ったものです。
 さて、「レスター・ヤング・アンド・カンサス・シティ・シックス」というこのアルバムは、「はるかなるニュー・オリンズ」という、サッチモやビックスの名演でも知られるデキシーのスタンダード・ナンバーで始まりますが、私はそのころまでレスターがクラリネットを吹くということを知らず、このテーマ部分も誰かほかの人が吹いているか、それともレスターのテナーが高音を出していてそれがまるでクラリネットのように聞こえてしまうのか、そのいずれかとばかり思っていました。
 チャーリー・クリスチャンに先立つ電気ギターの先駆者として知られるエディー・ダーハムは、「黄金時代のカウント・ベイシー」でも聴くことができましたが、あれ? この人、トロンボーンも吹くんだったってけ? え?フレディー・グリーンがボーカルやってんの?‥‥的なサプライズの要素も含んだ、平時(?)に聴いてもゴキゲンなアルバムであることに間違いありません。
 
 テナー・サックス奏者といえば、ひところはコルトレーンという返事が返ってきていたものですが、「コルトレーンは死の床にあっても音楽のことを考えていた」なんていう逸話がコルトレーンの専売特許であるかのように論じられていたのだから、あれは一種の共同幻想だったのかなと思ってしまいます。
 さてさて、本日はソニー・ロリンズがMJQと共演したプレスティッジ盤とレスター・ヤングの数あるアルバムから私の愛聴すイメージ 1るコモドア盤をご紹介します。50年代に入るや俄然勢いを増してきて、ワーデル・グレイやデクスター・ゴードンらビバップの先輩らに冷や汗をかかせたソニー・ロリンズは、まさに「異彩を放っていた」という表現がぴったりの新しい個性を持って出現してきました。よく、コールマン・ホーキンスが引き合いに出されますが、二人の共通点は音が大きく豪快であるという点ぐらいで、ロリンズの個性を語るときに欠かせない人物といえばやっぱりチャーリー・パーカーということになります。さらに、この当時のソニー・ロリンズにはアーティキュレーションに非常な特徴があり、「まだ荒削りではあるが」とバッサリ批評する気にはなれないのです。すなわち、ウラのアタックを強調したフレージングと微妙にフラットしたピッチとは未熟ゆえだったわけではなく、意識してなされたものであったといいたいのであります。
 そしてもうひとつの特徴は、彼はバトル演奏というのをあまり得意としなかったという点です。ブラウニーともコルトレーンとも彼本来のアドリブはできていないような気がします。例外的に「ソニー・サイド・アップ」や「ブリリアント・コーナーズ」でのスティットやアーニー・ヘンリーとの共演は成功しています。
 レスター・ヤングの話は別の機会にしましょう。

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