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 モハメド・アリのボクシング・スタイルは、多くの黒人にとってテキストとなっていった。しかし、白人の中にアリ・スタイルを見出すことはあまりなかった。これは、モハメド・アリの存在そのものが黒人社会にとって解放の原点とも言うべき希望に満ちていたからではないか、そしてアリ自身がシュガー・レイ・ロビンソンの姿に学んだと同じように多くの貧困な少年たちに、一条の光として差し込んでいたのだと思うとき、アリの肉体を通して表現されたものは黒人たちに解放の暗号として伝わっていった。白人たちは、これに対抗するには、ロッキー・マルシアノまで遡る以外になかった。
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 プロボクシング世界ヘビー級元王者にラリー・ホームズという名選手がいます。ちょうど、モハメド・アリとマイク・タイソンという両雄の間に挟まれて日本ではどちらかというと影が薄い存在ですが、世界ヘビー級王座を17度も防衛した名チャンピオンであります。
 ラリー・ホームズが人気の点であまりぱっとしなかったのには理由があります。それは、アリにとってのフレージャーやフォアマン、タイソンにとってのラドックやホリフィールドのようなライバルが存在しなかったために好カードが組みにくかったという事情があります。というのは、好カードは実力が伯仲していることもさることながら、ボクシングスタイルが対照的などの条件を満たしていないと成立しません。ホームズの活躍した時代はほとんどの黒人選手がアリのスタイルを踏襲していました。遅咲きであったため同世代のなかでもっとも年長であったホームズはもとより、トニー・タッカー、グレグ・ペイジ、タイレル・ビックスほかの強豪たちがアリのスタイルを基本にしていたためです。
 ところでアリが黒人層に与えた影響力は大きく、そのボクシング・スタイルも解放の象徴としての側面があり単なるボクシング界の流行に留まりませんでした。それは、黒人の誇りであり、黒人の財産であり、黒人の言語ですらあったといえます。黒人たちが人生を諦めずに自信を取り戻していく源流となっていたのです。ちょうど、チャーリー・パーカーがジャズのスタイルを塗り替えたようにアリはボクシングのスタイルを通じて黒人の若者たちに勇気を与えていったのだと思います。
 一方、白人の保守層は映画「ロッキー」の主人公のモデルにもなったロッキー・マルシアノ以来の白人チャンピオンの登場を待ち焦がれていたようであります。そればかりか、アリに対する反感からロッキー・マルシアーノのスタイルにこだわりがあるのでしょう。白人選手ではアリスタイルの選手というのは登場しなかったように思います。
 かくして、人種間に横たわる軋轢すらもプロモーターにとってはおいしいハナシと映り、さらに煽られるという社会構造の中で試合が組まれていきます。いうまでもなく、資本の大部分はいまだ白人が握っており、アメリカの社会を動かしているのは白人層です。力を持っているのは白人なのに、ボクシング界の代表格とも言うべきヘビー級がモハメド・アリの流れを引いた連中にわがもの顔をされていることを我慢できないという人たちもいるのです。事実、モハメド・アリの手元には、「お前を殺してやる」という手紙が来ていたといいます。
 さて、ハナシをラリー・ホームズに戻しましょう。黒人としてのラリー・ホームズの誇りを私は世界王者防衛戦となったジェリー・クーニー戦に見ます。ミュンヘン五輪代表を賭けて戦ったデュアン・ボビックやそれに続くジェリー・クーニーはジェリー・クォーリー以来のホワイトホープとしてアメリカの白人社会の保守層に大いに期待された逸材でした。そういう意味で、この試合はラリー・ホームズにとっては好カード中の好カードで、生涯を通じて二度と廻ってこないかもしれない重要な試合でありました。
 ところで、ミュンヘン五輪代表を決めるデュアン・ボビック戦では、ホームズが1回ダウンを喫したうえにクリンチに対する反則を取られ、ボビックに失格敗けします。ここでの忌まわしい記憶が、ジェリー・クーニーのときに蘇えってきたのではないかと思います。ですから、明らかに狙って打ったとしか思えないクーニーのロー・ブローに対しても敢えて仕返しもせず、怒りを密かに石炭の燃えるがごとく、闘いのエネルギーとして還元していったのです。
 もっとも、ラリー自身が個人的にボビックやクーニーを白人という理由で恨んでいたかどうかは知る由もありません。ただ、白人というだけで破格のギャラが入ってくるという社会構造を考えたとき、対戦相手がホワイトホープであるということは白人全体を敵に回しているということにほかならず相当なプレッシャーであったのも事実だと思います。しかし、ラリーは生涯最高といえる素晴らしい試合をしてみせました。しかも、この試合ではラリー・ホームズがことさらアリ・スタイルに徹したことにより、パワーにものをいわせるマルシアーノ以来のスタイルで戦うクーニーとの一戦は、まさに黒人としての誇りをかけた闘いとして注目されたわけでありました。結果はホームズの圧勝でした。
 その後デュアン、ボビックはプロ入りして王座を狙っていましたが、ケン・ノートンにいいように打たれてナックアウトで敗れ去り、ジェリー・クーニーもマイケル・スピンクスやジョージ・フォアマンに敗れ、ついにチャンピオンになることはありませんでした。また、ボクシングの公認団体が増えたことや格闘技の種類が増えてきたこともあり、マイク・タイソンの時代が過ぎてしまってみると、プロボクシング・ヘビー級自体のステイタスが下がっていったのでした。

ラリー・ホームズ対ジェリー・クーニー戦 → http://www.youtube.com/watch?v=vN56soZKg64 http://www.youtube.com/watch?v=U52bFqwtuUA&feature=related http://www.youtube.com/watch?v=2BnqUX8ILpo&feature=related http://www.youtube.com/watch?v=FNIbNvo0rIw&NR=1 http://www.youtube.com/watch?v=0IsB4dSLrWU&feature=related http://www.youtube.com/watch?v=0IsB4dSLrWU&NR=1


ミュンヘン五輪ボクシング・ヘビー級USA代表者決定戦(デュアン・ボビック対ラリー・ホームズ)
http://www.youtube.com/watch?v=nQ02-9XUs5w&feature=PlayList&p=6AA6788B8F22ED60&playnext=1&index=58 

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 モハメド・アリを苦しめたボクサーといえば、ジョー・フレイジャー、ケン・ノートン、ジミー・ヤング、ラリー・ホームズらが思い浮かびますが、アリにはじめてアイ・カットを経験させたボブ・フォスターも優れたボクサーでした。
 ボブ・フォスターといえばライト・ヘビー級の名チャンプ。190cm近い長身と長いリーチを持ちながらインファイトをも辞さず、ディック・タイガー戦、ビセンテ・ロンドン戦などでは激しいインファイトのすえ、伝家の宝刀の左フック一発で勝負を決めました。
 しかし、アリとの一戦では7ラウンドのダウンから立ち上がったボブのフリッカー・ジャブとワンツーがビシビシ決まり、ハンドスピードではボブの方が一瞬、上回っていたように思えます。それでも、最終的には総合力で上回るアリのKO勝ち。特に3度目のダウンを奪った右クロスはリストンを1ラウンドでノックアウトしたのと同じパンチ、ハンドスピードよりも手首のスナップにより破壊力を持たせたブロウだからぱっと見た目にはそんなに勢いのあるパンチには見えませんがまさに蜂の一刺し、毒が回ってリストンもフォスターも立てませんでした。

 アリ VS フォスター http://www.kiraku.tv/category/51239/movie/1/drKBDoJREds 

 一方、フレイジャーとフォスターの一戦も忘れられません。どちらも左フックに一発の威力を持つファイター。しかし、スモーキング・ジョーの左はロング・フック。一方、ボブの左はショート・フック。自分の距離をとったほうが有利。また、フォスターは半身の構えでガードが甘い。試合は追い足に勝るフレイジャーが自分の距離をキープし、2ラウンドKO勝ち。この試合は、こののち両者のスタイルがどちらもベストの状態でリングに上がればこうなるという例えにも使われました。マービン・ハグラー対トーマス・ハーンズの試合ではまさにこの例えのとおりに。
 しかし、ライト・ヘビー級王座を14回も防衛したボブ・フォスターは、後にヘビー級王者となったマイケル・スピンクスやマイケル・モーラー以上に完成されたボクサーであったように思います。しかし、ガードを下げて戦うリスクに加えフットワークがないという欠点をアリやフレイジャーが見逃すわけがなかったし、まして半身で戦うスタイルでカバーされていたのは、ボブの距離で戦えていたときであって、フレージャーの左が飛んでくる方向にダッキングする癖が命取りになったともいえます。

 ヘビー級、それもモハメド・アリや“スモーキング”ジョーにジャブと左のショートフックだけで本気で勝てると思っていたのでしょうか。いや、彼はアリの右クロスやジョーの左ロング・フックという芸術品を「体験」してみたかったのではないでしょうか。

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 トーマス・ハーンズ(トミー・ハーンズ)という、ウェルター級からライト・ヘビー級までの5階級を制覇したスラッガーがいます。同じ時代に活躍したスラッガーといえば、ホセ・クエバス、ジョン・ムガビ、アルフォンソ・サモラなどがいて、いずれも9割にも及ぶKO率と無敗街道を驀進している怪物ぶりがイメージとして定着し、対戦相手を震え上がらせておりました。しかし、これら1970〜80年代のモンスターたちに共通していたのは、無敗対決や怪物対決というドル箱試合にのぼりつめ、初のKO負けを喫してしまい、以後精彩を欠いたままボクシング界から姿を消すというストーリーです。無敗のスラッガーにとって初黒星、しかもKO負けという結果はそれほどショッキングで、立ち直ることが難しいこととして受けとめられていました。
 トミー・ハーンズは、ホセ・クエバスとの怪物対決を2RKO勝ちでものにしてウェルター級チャンプとなってからも連勝街道を突っ走っておりました。しかしウェルター級には、当時ポスト・アリとして人気を集めていたライバル・チャンプがいました。その名も“シュガー”レイ・レナード。こちらはロベルト・デュランに一敗を喫したもののリターンマッチで雪辱を果たし、王座に返り咲いておりました。“シュガー”レイ・レナードとトミー・ハーンズ、このふたりはデビュー当時から比較され、また対戦が期待されておりましたが、「人気のレナード、実力のハーンズ」と評されたようにほとんどのファンがレナード贔屓で、かくいう私も当時はアリ以上に洗練されたレナードの方を応援したものです。ちなみに黒人層に(本当はアフリカ系アメリカ人層というべきでしょうが)人気があったのは、同じ黒人であっても世界的に人気を博しているレナードの方ではなく、“ヒットマン(殺し屋)”として売り出していたハーンズの方だったそうです。ともあれWBA,WBC両団体の統一王座決定戦で両者は初めて対戦し、14RTKOでハーンズが逆転負けを喫してしまいます。
 ところが、ここからがトミー・ハーンズの偉大なところなのです。確かにレナード戦での敗北は完璧に打ちのめされた末でのレフェリー・ストップという、ショッキングな結果でしたし、ハーンズ自身も相当なやみ、苦しんだと述懐しています。しかし、その後の彼の生き方・考え方の礎はこの時期に確立されたように思えます。その後、1階級上げてW・ベニテスからJ・ミドル級のタイトルを奪ったのち、レナードを苦しめたR・デュランとJ・ミドル級のタイトル統一選に挑みますが、2RKO勝ちでこの怪物対決をものにし、“ヒットマン”復活を証明します。そののち、ミドル級でM・ハグラーやI・バークレイなどにもKO負けを喫しますが、その都度次の試合ではかならず強敵を相手にKO勝ちをおさめ、“ヒットマン”復活を証明してみせるのです。まるでKO負けを全く意に介していないかのように‥。
 このころのハーンズには敗北も自分の財産として受け入れることができていて、このような負けを引きずらないボクサー・イメージは、R・デュランなどとともに新しい人物像として定着していきました。

 一方、ハーンズに黒星を喫したデュランですが、こちらにも偉大さを示す逸話があります。ライト級時代のライバルといえば、エステバン・デ・ヘスス。戦跡はデュランの2勝1敗です。1勝1敗で迎えた第3戦はお互いに闘争心をあらわにして、軽量のときにベア・ナックルで一発ずつド突き合ったといいます。
 後年、エイズに感染したヘススを見舞ったデュランは絶望しているヘススの頬にキスをしたそうで、これにはヘススも驚き、感動したという話です。きっとエステバン・デ・ヘススにはこの日のロベルト・デュランがイエス・キリストに見えたことでしょう。

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 私に生き方のヒントを教えてくれた人々のひとりに、モハメド・アリがいる。というよりも、最近になって、アリの生き方が見えてきたというべきか。

 モハメド・アリは、全てを疑うことから真実を見出そうとする。あらゆる常識を疑い、わが身を以て確認してきた。だから、蝶のように舞いながら文字どおり蜂の一刺しのようなクロスカウンターで、荒れ狂うクマのように怖れられたソニー・リストンを倒すことができた。そしてまた、ディープ・ア・ドープというロープ際のディフェンスで、象をも倒すと形容されたジョージ・フォアマンのパンチを殺してみせた。自分の理論の正確さを実証して見せたのだ。彼は演出のくだらなさを知っていたのだ。

 アリは白人を白人だからという理由で憎んでいたのではない。差別を憎んでいたのだ。だから、差別構造の中にどっぷり浸かっている黒人と、自分の足元を見つめようとせず差別の構造に切り込まない偽善的な白人とを、同じように憎んだ。

 彼は、若年性パーキンソン病に侵された。ベトナム戦争への徴兵拒否以来、彼は本気で笑ったことがなかったのかもしれない。原因が特定されていない病気であることは、当事者である私にとって耳慣れた情報だ。しかし、私には体験的な確信がある。強度のストレスが長い期間、笑いを奪ったときにこの病気はやってくるのだ。

 モハメド・アリを尊敬しているとか、彼のことを偉いとか、そんなくだらないことを1万回言ったところで一体何が前進するだろう。尊敬? なんだい、それ。俺は自分のことを尊敬しているさ。そして、あらゆる人を尊敬できるようになれば、もっと素晴らしいと思っているさ。でも、大事なことは尊敬したりされたりすることじゃない。大事なのは、ある人の存在と出会いに感謝することだ。アリは私に多くの気づきを提供してくれた。もちろん、感謝しているし、人間に対する愛を感じているよ。

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 若い頃は、生き方が明快でストイックなものに惹かれたものでした。中学生のとき読んだ司馬遼太郎氏の「燃えよ剣」。土方歳三や沖田総司、永倉新八、斉藤一たち新選組に生きた人々の禁欲的な、そしてストレートな生き方が、栗塚旭、島田順司らの名演技もあって、ただ安穏と暮らしていた私にとって「生きかた」を問い直す最初のきっかけとなりました。
そんな折、高校生時代にたまたまテレビで見た対チャチャイ戦の大場政夫のファイトは衝撃でした。それは彼がまもなく愛車のシボレー・コルベットとともに23歳の命を散らせたことにより、より深く胸に刻まれることになったのです。これらの青春群像が次世代ともいうべき私たちに残したものは大きかった、‥‥自分の息子が当時の大場と同じくらいの齢になるほど年月を経てみて、振り返るとそういう思いに駆られます。
 大場自身は、当時世界ウェルター級の統一王者であったホセ・ナポレスを尊敬していたようで、「ナポレスのジャブは芸術品だ」と語っていました。後年、ナポレスの試合をビデオで見たときに、あまりにも大場と異なるボクシング・スタイルが意外でありましたが、試合の組み立て方こそ違うもののナポレスのクールなファイトの中にボクシングに対する共通したハートを見ていたのかもしれません。
 当時のメディアの大半は、学生による反体制運動と進学したくてもできなかった勤労青年とを対極に位置づけ、批判的キャンペーンを展開していましたが、大場の生きかたがそれがために利用されるという報道演出により、以来「権利の主張はわがままである」という世論が誘導的に形成されたような気がします。メディアは一部の例外を除いて、世論の恣意的な誘導を図りながら、他方、自ら導いた世論そのものに振り回されるという、とにかくケッタイな存在であります。
 大場政夫の政治的関心がどの辺にあったのかは知る由もなく、興行の性格上保守勢力になびくであろうことが推察されるのみで、またそれ以上の関心もありません。ナポレスのジャブは大場にとっては「芸術」であったかもしれませんが、大場自身の鋭利で執拗なジャブに私は「思想」を見ます。狙った獲物は決して逃さない、言葉にすればたったそれだけの表現に終始するものがファイトの中でほとばしった瞬間、それは私にとって「思想」以外ではありえないのであります。
 また、新選組に憧れた私が今は基本的人権を説いているように、人間は日々変わりうるものであります。変わることが進歩なのか後退なのかは、その人自身にしか分からぬことですが、私自身の拙い経験を振り返れば、今まで進歩以外の変化は存在しなかったように思います。

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