よっしー本店

ブログ名を再度変更しました。

司法・冤罪等

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索
 私はかねがね郷原信郎氏のものの考え方というかスタンスの置き方がとても新しいと感じていて、今日もそういうことがあったので舌を巻いているところです。
 
 「全面的可視化」か「一部可視化」かという議論で、後者だったらまったく意味がないと私を含めた多くの人が考えてきました。郷原氏ご自身もそういう発言をされたことがあります。
 
 しかし、郷原氏が只者でないと感じる点は、さいきんのツイートに書かれた次の内容です。
「『一部可視化』は、一度録画した画像はすべて記録として残り開示される、というのが大前提だと思います。やり直しが可能であれば意味はありません。」
 私の素人考えでは、彼が万が一にも一部可視化の方向で決着がついてしまった場合の事を考えて、実に効果的な条件を布石として提示したように思えます。もちろん、全面的可視化のほうがよいに決まっているとは思いますが、一部可視化であっても画像および録音がすべて記録として残されるならば、やり直しがきかないということになります。特捜部の描いている絵のとおりにはいきにくくなりましょう。たとえば、これまでは検察側の一方的な「権限」に裏打ちされた中で筋書きを強引に作ってきたけれども、これからは供述で何が飛び出すかわからない。調書が証拠採用されるとも、証拠として申請できる代物になるかどうかさえも分かりません。取調べをそういう対等とまではいかなくても、一方的な力関係が許されない緊張関係の中でやらされるとなると、検察側にとっては相当なプレッシャーとなるでしょう。予算的な面や関係者のプライバシー保護を口実に一部可視化で押し切ろうという意見が法務省や検察当局のなかで仮に多勢であったとしても、一部可視化を検察だけの武器にはさせないという強い意思が伝わってきます。
 
 郷原氏の柔軟だけれども非妥協的なスタンスのおき方には学ぶことが多いと感じています。 
 石川知裕さんら3人の初公判に関して、元検察官で名城大学の教授の郷原信郎氏が緊急インタビューに答えています
 
 まず問題点の一つとして、検察側が冒頭陳述の中で、四億円の「期ズレ」報告が虚偽の報告にあたり政治資金規正法違反として起訴された刑事裁判であるのに、その動機となっているなどという理由から、直接には本件と関係のない水谷建設からの5000万円の裏献金という眉唾物の話を持ち出し、大きくアピールしている点。もし、それが事実であるならば、なぜそれを政治資金収支報告書への不記載として政治資金規正法違反で起訴しなかったのかという話になり、結局特捜部自身でも確信の持てない話を繰り広げて、裁判官に、あるいはマスメディアを通して国民一般に予断を植えつけようとしているといえます。
 
 次に、石川氏が録音した再聴取の内容について、再逮捕の可能性まで言及して石川氏をコントロールしようとしていることに代表されるとおり、紛れもなく脅迫であるとして厳しく批判。一方で、この録音記録には聴取にあたった検事自身の本音が見え隠れしており、これらの方針が上層部の意志に基づくものであることを暗示しているほか、特捜部の暴走を自ら認める内容にもなっていると指摘しています。
 
 また、再聴取自体、起訴後に行われていることがそもそも被告の防御権を著しく侵害する行為であり、違法であるとの認識を示しました。のみならず、産経新聞によれば、当局は法律上は何ら問題はないとの見解であると報道されており、誰の発言であるか明らかにしてほしい、と語っていました。
 
 これらについて、マスメディアは無視しており、若い記者などは疑問を持っているものも多い点、検察組織と似ているといえます。

過激さは憎しみを伴う

 私は「コンプライアンス」を「遵法精神」と解釈することに郷原氏が否定的であることに、全く同意するものであります。法律は護らなければならない、という前に、法令が定められた背景や目標とするものを明らかにする中で、常に法令の前に頭を垂れるのではなく、法令と向き合い法令を使いこなすことが求められており、そうでないと従来の硬直した考え方では日本の未来が危ういと郷原氏は語っています。法令だけでなく全ての権威あるものに対する基本姿勢であります。
 
 さて、検察審査会の「起訴議決」が2度続けられると強制起訴されるという検察審査会法の定めが、甲山事件の反省もないままに、単なる「遵法」意識で行われているとしたら、これは誤った法の運用であるといえます。また、いったん法令が施行されたからといって、その法案に仮に賛成した国会議員であっても、間違いがあると気がついた時点で、その法律の停廃止や凍結を主張し始めたからといって、それが無責任な態度であるとはいえない。むしろ、国民に対して最後まで誠意と責任をもった対応であると思います。いまだ「一貫して」という言葉を賞賛の形容詞として認識している人たちは、敢えて言うなら「思考停止」中だといえます。
 
 ところで、私自身過激な発言が多いけれども、それでよしと思っているわけではありません。そんな自分を否定するもう一人の自分がいます。ことに、冤罪事件がおこる背景が独善的調書の作成にあることが日本国民の間に知れ渡ったてからは、検事や警察が行う取調べを全面的に可視化せよという意見が広まりつつあります。ここで「全面的」というのは、①特捜部も一般検察も②被疑者に対しても、証人に対しても③取調べの様子を一部始終なのか重要部分だけなのか、という3種類の分け方が可能ですが、一般には③の意味に解釈されています。民主党の可視化法案のプロジェクトチームが今回実現しようとしているのは、①については特捜部だけを先行してというもので、郷原氏の特捜部に限ってという言い方と温度差があります。一方、②については証人の取調べまで可視化すべしということで一致しています。
 
 この①で、郷原氏の展開する論理は非常にユニークだが説得力を伴ったものです。しかし、一部の冤罪事件をショッキングなものとして受け取った人たちのなかには、検察との激しい論戦を期待した向きには郷原氏の提案は少々刺激不足として肩透かしを食わされたと失望する人たちもいて、「隠れ検察」呼ばわりする輩も登場したようですが、このような過激さは憎しみ以外の何者も生まないと思います。
むしろ、私には郷原氏の特捜部に関する解釈は非常に合理的かつ斬新で、大人の提案として大いに歓迎します。
 郷原信郎氏の「検察が危ない」を読んでみると、郷原氏の特捜検察に対する批判が、批判で終わらずに、実体験に基づいたかなり精緻な分析を行っておられることが分かります。その結果、提案している特捜検察の改造案にしろ、立場を超えてあらゆる関係者に説得力を持つ理詰めの内容となっています。主にネット界――もちろん私のこの浅薄なブログがいい例でありますが――にありがちな極端で非現実的なアジテーション風検察批判論とは一線を画す、否、ずっと先を走っているようで、郷原信郎氏の懐の深さを見せつけられます。
 
 郷原氏は、特捜検察をそれ以外の刑事司法に携わる検察と区別します。氏の言葉を借りるなら、「殺人、窃盗等の伝統的犯罪の場合、検察の役割は、犯罪者という社会からの逸脱者の行為を事後的に処理することであり、検察の判断が社会的、経済的に大きな影響を与えることは、ほとんどなかった」といえます。ところが、後述するように特捜検察が果たしてきた機能は、それとは大きく異なります。以下、同書からの引用です。


 社会が複雑化・多様化するに伴い、社会内の現象を単純化することは困難になってきた。その中でおこなわれる行為に対しては、従来の伝統的犯罪だけではなく、経済事犯に対しては独占禁止法・金融商品取引法などの経済法令を、政治家をめぐる事件に対しては政治資金規正法などを適用して摘発することが重要な手段になっている。実際に、最近では、特捜検察がそれらの法令の罰則を適用して摘発をおこなうケースが多くなっている。
そのような摘発の場合、贈収賄のような犯罪性、反社会性が明白な事件とは異なり、単に法に違反するというだけでは処罰の必要性が根拠付けられない。
法の趣旨・目的に基づいて、その行為が、いかに重大・悪質であるかについて十分な根拠と説明が示される必要がある。そこには、法と関連付けた一定の社会的価値判断が求められるのである。
そこでは「検察部内で完結した判断」だけで適切な判断をおこなうことは困難である。むしろ、さまざまな法令について趣旨・目的に基づく合理的な解釈と、関連する社会、経済、政治の実態についての十分な理解に基づいて、罰則適用を行っていくことが求められる。
そして、メディア側は検察の判断に一方的に追従するのではなく、捜査・処分の妥当性やその社会的、経済的、政治的影響等について、チェック・批判機能を果たさなければならない。さまざまな情報を有しているメディアには検察の判断の適正さ、健全さを担保していくことが求められる。
先に述べたように、最近の特捜検察の捜査・処分に関する問題、その背景にある組織の歪みの多くは、「社会的機能」を果たすべき事件の摘発についての特捜警察の捜査・処分が、「伝統的機能」を前提とする検察の組織、システムの下で行われているために生じている。(引用、終わり)


文中、「伝統的機能」とは、従来、検察がおこなってきた、殺人、窃盗などの犯罪性、処罰の必要性が明白な伝統的な犯罪について、証拠を収集・評価して事実を認定し、その情状に応じた処罰を求めるという役割を表しています。一方、「社会的機能」とは、特捜検察の扱う事件が政治家、高級官僚、経済人、企業人など社会の中心部で活躍する人間を摘発の対象としており、社会生活や経済活動に対しても重大な影響を与えることを重要視して、今後特捜検察の組織やシステムに必要とされる機能のことをさしています。
 
さて、このような特捜検察の現行システムの限界を歴史的に見ていくと、戦後の経済の混乱から立ち直り、やがて経済復興を遂げていく中で、特捜警察は日本の経済や政治の社会における「悪党退治」の役割をひとつのアイデンティティーとしながら存在しました。
1976年のロッキード事件は、総理大臣の逮捕というショッキングな事実が東京地検特捜部の存在を国民に強烈に意識づけ、「巨悪との対決」が検察のキャッチフレーズにもなりました。
1988年に発覚したリクルート事件は、リクルート社から関連会社の未公開株が政財官界の80人近くにばら撒かれ、多くが多額の利益を得ていたために一大スキャンダルに発展した事件です。これは、贈収賄罪という伝統的な罪名で国会議員2名を含む12名が起訴されましたが、それまでの政界の汚職事件とは異なり、未公開株の譲渡というケースであり、これを賄賂と認定することは、少なくともひとつの価値判断をともなっておりました。贈収賄罪という罪名にこだわった検察当局の判断は無理がなかったのかどうか。
 
このような贈収賄中心の特捜検察による政界捜査が大きな限界に直面したのが、1992年の東京佐川急便事件である、と氏は指摘します。
「この事件では、東京佐川急便から多数の政治家に巨額の金が流れたことが報道された。社長の渡辺広康氏が特別背任罪で逮捕されたことで、多数の政治家を巻き込む大規模な疑獄事件に発展するかのように騒がれたが、結局、政治家の贈収賄事件の摘発はまったくなかった」からです。この事件で贈収賄による摘発をめざした特捜検察は、政治資金規正法による二つの事件の摘発にとどまりましたが、日本の経済全体が急激な悪化の一途をたどっていた時代で、社会には国民の不満がたまっていました。そんな折、検察庁の看板にペンキが投げつけられるという事件が起こります。東京佐川急便側から5億円のヤミ献金を受領したことが報道され、議員辞職に追い込まれた自民党元副総裁の金丸信氏に対して、特捜部が政治資金規正法に基づき略式命令で罰金20万円という「軽い」処分で済ませたことに対する怒りの表現でした。
 
しかし、政治資金規正法は政治団体や政党の会計責任者に政治資金の処理に関する重い義務を課すことを中心とした法律であって、ヤミ献金にしても受領することが犯罪なのではなく、受領しながら政治資金収支報告書に記載しないことが行為が罰則の対象とされているため、検察の対応は当をえたものでありました。しかしながら、司法クラブを中心に検察の捜査の動きを追うマスコミは、「巨悪と対峙し、対決する検察」という固定的なイメージで取材・報道を行っていました。
 
この事件は、脱税事件として突然、金丸氏が逮捕されるという予想外の展開を見せ、またこののちに手がけることになるゼネコン汚職事件などでも特捜検察が「伝統的機能」でものごとに対応していくためにひずみを生じさせる様子が克明に書かれております。
また、氏は特捜検察の職場環境や労働条件が停滞を招いているとの指摘もされております。
 
書の紹介が非常に長くなりましたが、この書を通じて学ぶべきことがたくさんあると思います。私が感じたのは以下のことでした。
ひとつは、小沢一郎氏の「政治とカネ」という報道は、「巨悪」を退治するという固定的なイメージに根ざしたものであって、その前提は誤解に基づくものであるが、振り上げた拳骨と一緒で行き場を失っていること。
ふたつめに、そうは言いながらも民主党政権ならずとも歴代の自民党首脳も特捜検察とメディアによって不本意な攻撃に晒されていたのが実態であって、国民の「期待」とは裏腹に特捜検察による政治的介入が不当に被害をひろげてきた事実を率直に受け止め、それらの復権とこのような劇場型国会に対する議員、メディアおよび国民レベルでの総括が必要であるということ。
マスメディアが固定化したイメージにとらわれて偏見を量産している一方で、ネット派に多い悪徳ペンタゴン論支持者も同様のシンボライズに陥る危険を自覚しておく必要があること。
さしあたって特捜検察とアメリカCIAとの関係に言及した表現は同書には出てこず、両者を切り離して考える視点が郷原信郎氏の考え方の基本と思われること。
一般検察にも取調べの全面的可視化を期待する向きが多いため、特捜検察と区別することに異論も存在すると思われるが、郷原氏が両者を区別していた理由は、可視化を前提とした量的な議論ではなく、特捜検察のこれまでの組織・手法・考え方が現在の社会情勢との間に抜き差しならぬズレを生じており、結果的に議員の基本的人権や選挙民の主権という憲法上の問題も孕んでいるというべきこと。
 等々、私自身の現状認識に誤りがあったと反省しております。
 遅ればせながら、新年明けましておめでとうございます。
 
 郷原信郎氏の「検察が危ない」(ベスト新書)は、特捜検察の特徴を冷静に捉え、陸山会土地取得をめぐる政治資金問題の誤りを指摘した書です。氏は、まず石川知裕衆議院議員を通常国会が始まる3日前に逮捕したことに対し、過去の現職国会議員の逮捕と比較して「常軌を逸し」たやり方であると痛烈に批判しています。なぜなら、「政治資金規正法違反が成立するのかどうかも疑問であり、違反が成立するとしても罰則を適用すべき重大な事件とは考えられない」からです。この指摘の事実関係は、同書をお読みいただくとして、それとは別に私がこの本を読んで感じたことを書こうと思います。
 
 以下、同書からの引用――。


 石川氏の逮捕・拘留事実は、陸山会の平成16年(2004年)分における政治資金収支報告書の「収入総額」を4億円、「支出総額」を35200万円それぞれ過小に記入した虚偽記入の事実だった。
 憲法で国会会期中の国会議員の身柄拘束について、議員の釈放要求が認められている趣旨から考えれば、現職の国会議員を会期の直前に逮捕し、引き続き勾留して身柄拘束を続けるのであれば、その犯罪事実の内容を具体的に特定するのが当然だろう。
 ところが、石川氏の逮捕・勾留事実は、全体として収入総額・支出総額が過小だったという虚偽記入の事実である。だが、政治資金収支報告書にどのような事項を記載しなかったことが違反とされているのか、どのような記載をすべきであったのかは、逮捕の容疑事実で特定されなかった。要するに、逮捕される理由となった具体的な犯罪、不正行為の内容は明らかにされなかったのだ。(郷原信郎著「検察が危ない」より引用)


 このあたりが、私たち素人では逆立ちしても出てこない論理の筋道であると思います。
 
 なるほど、言われてみればこれは大変なことでありました。この一点、それは検察が明らかにしなかったことだけではなく、マスメディアがそのことをほとんど批判しなかったことや、国会にいたっては与党民主党までがマスメディアの「政治とカネ」のイメージ報道を無批判に受け入れる有様であったという事実も含めてですが、この一点だけを以ってしても、こんな基本的人権の根幹に関わることが認識されないということは、とてもアブナイ事態ではないでしょうか。それは確かに検察も危ないのですが、それを受容している私たち自身がアブナイといえます。冤罪をまだ他人事にしてしまっているからです。自分に火の粉が回ってきてからでは遅すぎです。
 
 この本の終わり近くに、「特捜検察の捜査では『ストーリーの単純化・固定化』の傾向が強い」との指摘がありますが、これこそが検察に限らず日本の社会全体にいえることではないでしょうか。かつての私は小沢一郎氏や鈴木宗男氏、亀井静香氏などに悪いイメージを持っていました。直接会って話したわけでもないのにメディアが伝える単純化・固定化されたイメージを無批判に受け入れ、彼らがどのような政治信条を持っているのかすら知らないままに「悪役」のイメージだけが根を下ろしていました。また、今でも私は漠然と自民党は財界やアメリカ資本と結びついた勢力であるという決め付け方をしてしまっています。
 
 社民党前国会議員の保坂展人氏などは自民党に過度の期待もしていないけれども議員各個人には可能性を捨てていません。郷原氏もまたりで、検察が基本的人権を侵害しているということだけを事実を元に批判しているのであって、小沢一郎氏個人を応援しているわけではないし、米資本をどうのこうのと紋切り型の批判をしているわけでもありません。彼らのそういう姿勢こそ学ばねばならないと思っています。
 
 自分の立ち位置をしっかりさせて、物事の道理をできるだけ正確につかむこと、それが私たちに必要なことです。ともすれば感情過多になって、一足飛びに菅政権と米資本の癒着や小沢政権への期待感というところまで結論が走ってしまいがちですが、事実関係の確認と仮説や個人的な思い入れとは区別して、段階的に話し合う懐の深さが今求められているような気がします。それがなくては冤罪問題や小沢氏への不当な圧力という本質まで話が及ぶ前に、国民を敵と味方に分けてしまうという愚を犯しかねないし、自己を正当化するだけで、一般的な世論を味方にすることは不可能に近いとはいえないでしょうか。

.
よっしー本店
よっしー本店
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
検索 検索

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト≪さとふる≫
実質2000円で好きなお礼品を選べる
毎日人気ランキング更新中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事