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日本経済新聞Web刊(2011.11.4.)より引用(但しリンク設定:筆者)
 米有力シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)が有識者や経済人に呼びかけ発足した東日本大震災の復興支援プロジェクト「復興と未来のための日米パートナーシップ」の最終報告書が3日、まとまった。環太平洋経済連携協定(TPP)参加を含む自由貿易推進が復興と長期的な成長の核になると強調。法人減税や規制緩和を通じた民間企業主導の復興を提言した。
 報告書を発表したアダムス元財務次官は「TPPへの参加は全く正しい選択だ。貿易の門戸を広げることで日本は依然として大きな便宜を受ける」と強調。プロジェクトに協力した米国務省のキャンベル次官補(東アジア・太平洋担当)も「日本政府の重要な決断に向けて協力していきたい」とTPP参加に強い期待感を示した。(以上、引用終わり)
 
 これに対して、慶應義塾大学経済学部の金子勝教授は、「ナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』惨事便乗型資本主義そのものです。『ショック・ドクトリン』とは、戦争・大災害などのショックを受けて人々が考えるゆとりを失っている時に、民営化・規制緩和など新自由主義の政策を押し付け、米企業が利益を得る手法を言います。チリのクーデター、イラク戦争、ハリケーンカトリーナなどが典型例。TPPはまさにこの手法なのです。」と指摘している。
 
20041019日衆議院の予算委員会で民主党の小泉俊明議員が「年次改革要望書」(「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく要望書」)のことで質問に立っている。当時は同議員もこの「公文書」の存在に胡散臭さは嗅ぎ取っておられるものの、もっぱらアメリカの文書公開に関する常識と日本の外務省の対応とを比較して後者の消極姿勢を批判するにとどまっていたようだ。
 
たとえば、この時点でマスメディアが社説に関連記事を書くなどしてよい内容であったと思う。しかし、大手メディアは年次改革要望書については最後まで報道に消極的であった。平素から国益に関する批判精神の旺盛なマスメディアの「沈黙」が今になって思えば十分「変」ではあったが、当時、私を含めた国民の多くはさほど気に留めなかった。
 
そののち、「かんぽの宿」のオリックス不動産への売却をめぐる疑惑や裁判員制度の導入をめぐる国会での論戦に関してもメディアは報道に消極的であった。これはおかしい。報道のあり方を倫理的に批判するつもりがなくても、このようなオイシイ記事にテレビも新聞も申し合わせたように無関心なのはなぜであろうか。スポンサーに配慮しなければならないような記事でもないはずだ。そう考えた人たちは、インターネットを通じて考えを確認しあった。
 
 これらに共通したキーワードがあった。それはアメリカ資本であった。特に、司法制度改革に対するアメリカ資本の関心は異常に高く、それはもう「介入」と呼んでよいレベルであった(司法制度改革審議会に対する米国政府の意見表明。米国は日本の法曹界をあらたな労働市場と見做し、そこに参入しやすいように制度の変革を強い調子で求めている。
 
これらが目的を一にした直線上にあることは疑いなく、TPPがいかなる目論見を持って進められているか、もはや明らかである。そして、小沢一郎氏に対する圧力も、同根である可能性がある。それは、米国から何らかのサジェッションがあったかどうかということではなく、たとえば沖縄の基地問題でグアムに移転するという計画があったにもかかわらず、しかるべき交渉相手からはっきりと求められもしないのにそれ以上の約束をしてしまったと推測されるのと同様の、日本の政府要人と官僚とが米国からの圧力を口実にして自己保身を図るという類の日本の組織にありがちな力学に基づくものであったかもしれない。
 
アメリカという国は、少し睨みを効かせれば頼みもしないことまでしようとする日本人の奴隷根性を知り抜いているのだ。そして、その奴隷根性が近隣諸国への差別意識に支えられていることも‥‥。

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