よっしー本店

ブログ名を再度変更しました。

パーキンソン病

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全1ページ

[1]

 東日本大震災に端を発した社会不安が日本全土を襲い、それまでの多様な価値観が危機管理体制下に置かれ、マスメディアから各個人に至るまでの情報発信源が、それぞれの立ち位置を再確認あるいは再構築するという作業に追われていたなかで、私は言いようのない不安に襲われていました。それは日ごろから私の中に潜在的にあった不安が増幅され、未曾有の災害という現実の前に、もはやなすすべもなく運命をどこかにゆだねざるを得ないような気がしたからです。
 
 私の中に潜在的にあった不安――それはパーキンソン病という、私を39歳のときに襲った病気のことです。この病気の特徴を表現することには限界を感じます。それほど個人差が大きく、画一的な判断が難しいといえ、医師にすら誤解されている現実があります。たとえばPD(パーキンソン病)患者の特徴としてよくあげられる、表情が硬く鬱状態を伴うという解釈も、顔の筋肉が硬直していることに由来しているという、PD患者であれば誰でも分かる理屈に気がついてない人は神経内科の医師のなかにも相当おられます。医師は専門家の立場から、いわゆる「上から目線」で患者に接する方が多く、そのことが災いして患者側の発信する有用な情報までも素通りさせてしまう場合が少なくありません。今の例はほんの一例に過ぎません。ほかにも手の震えがないという理由でPD患者ではないと判定する医師もいたりします。私はPD患者で運営するサイトに以前、投稿していたときに、医師と患者との認識の乖離という実態に気づかされました。
 
 病状としては、突き詰めれば自分の意思と筋肉の動きとが連続していないことを感じます。そのため、身体の機能が著しく低下します。たとえば、全身が動かなくなることがあります。朝、目が覚めて身体が動かず、意識はあるけれども起き上がることが出来ないという体験を、ほとんど毎朝のようにしていました。そうして私は、自分がこのような難病の患者であることを思い知らされながら一日の始まりを迎えるのが常でした。しかし私は、DBSという手術を受け、相当程度、身体の機能を回復することが出来ました。周囲から見ればまるで治ったかのようにも見えているようです。しかし、四六時中、後頭部に緊張が走り、それ自体苦しいことであるうえに、集中力が散漫になることから自分の行動に自信が持てなくなります。
 
 本日のブログ記事はパーキンソン病そのものについて理解していただく主旨ではありません。PDをはじめ病気や障がいをお持ちのかたが抱える社会不安ということがテーマです。人間というものは弱い存在です。その弱い存在が自分の可能性を引き出すには、数多くの取捨選択をしていかねばなりません。繰り返しますが、人間とはまことに弱い存在です。取捨選択がスムーズに行くかどうかも、そのひと個人の環境や身体等の条件によって制限を受ける場合も少なくありません。それは、今回の災害で直接に被害に遭われた方はもちろんのことですが、私のように遠く離れた九州に住むものにとっても社会不安という形で影を落としています。
 
 私には、「東日本を救え」という価値観が急速に進むなかで、正直申し上げて戸惑いと不安が頭をよぎりました。自分に何ができるのだという問いかけが私を苦しめました。自分にできることというのが見えなかったのです。どこのだれにどうつながればよいのか、分かりませんでした。自分の弱い立場を考えたときに、ためらいがありました。危機管理というのは一刻一秒を争う、そのような現場で自分に出来ることなどあるのか、足手まといになるだけではないのかという思いでいっぱいでした。
 
 しかし、それならば、そういう人同士でつながりあい励ましあえばよいことにようやく気がついたのです。私はPD患者です。だからこそ、PD患者のことや気持ちは分かります。それを弱みとして認識するのではなく、強みとして引き出していくこと、それが私に与えられた役割であったのです。

 私は若年性パーキンソン病患者であり、また趣味でサキソフォンをやっています。楽器は発病前からやっていて、病気の進行に伴い一時期はやめていましたが、DBSの手術が幸いにも功を奏し、一定程度の機能回復があったのでふたたび楽器を始めるに至りました。練習はほとんど毎日おこなっていますが、練習を通じて私が実感していることが、ひょっとしてパーキンソン病解明の手掛かりになって行くかもしれません。既に情報としては関係者の知るところであるかもしれませんが、そのときもその情報の裏づけ程度にはなると思います。科学とは、偶然知りえた情報によって思いもよらぬ進展をみせることがあると聞きます。この拙文は楽器操作の上達を目指したものではなく、あくまでパーキンソン病の解明のためであり、さらに言えば人間の肉体と意識との関係についてのある仮説を提供できると考えています。私を含めたパーキンソン病患者の未来のために、医療関係者などPD(Perkinson's Disease パーキンソン病)研究者の目に留まることを願うばかりです。少々分かりにくい説明になりますが、よろしくお願いします。

 私が練習で病気がネックとなっていると感じることができるのは、発病前から楽器をやっていた、その体験が記憶にあるからです。他の要因、例えば加齢にともなう衰えや体系的変化に伴う影響などとは体感的に異質のブレーキを感じ、なおかつ改善が非常に困難であるというのがそのネックなるものの特徴であります。

 それは人差し指と中指との相反する動きのなかで感じます。半音ずつ上げていく中でF(ファ)からFシャープ(ファ・シャープ)に移るとき、正常ならばFもF♯も左手は親指・小指以外クローズ(サキソフォンはリコーダーと同じ原理で音の高さが決まるようにできている)になっています。右手はFのとき人差し指クローズ、中指オープン。F♯のとき人差し指オープン、中指クローズ。つまりFとF♯とでは人差し指と中指とが入れ替わらねばなりません。しかし右手の人差し指はクローズのままでなかなか反応しようとしません。

 いろいろ試してみました。その結果、次のことが分かりました。
 最初は人差し指の緩慢な動きの原因を指が脳からの指令を受け入れがたいため、純粋に指の能力の問題と考えていました。そこで、力の及ばぬ指に力を及ぼさんとして他の指――殊に中指の動きをモーションを大きくリズムを指や前進で取るように心がけてみました。
 しかし、人差し指は思うように反応しませんでした。

 ところが、キーボード(鍵盤楽器)でメロディを弾くおりには人差し指は結構まともに動くことに気がつきました。キーボードとサキソフォンの奏法上の違いはいくつかあります。まず、キーボードでメロディを弾く場合、力を入れる指が音を出す指とイコールである点がひとつ。ふたつめは、鍵盤が視覚的に確認できることであります。この点、サキソフォンだとFからF♯に移動する際もまず左手が全てクローズである点や、右手人差し指がクローズであるのはFに限ったことでなくE、E♭、D(それぞれミ、ミ♭、レ)とクローズでしかもオクターブキーを左手親指で「押すことによりオープン」になり、さらには視覚的にそれらを確認できないために全て体感ないしは「身体的な記憶」でこれを行っていることに気がつきました。こうして考えると、スライド・トロンボーン以外の管楽器は奏法的に回りくどい作業を必要としていることが分かります。

 ときどきスプリングの強い楽器(私の場合、アルトよりもテナーにこの傾向がある)を奏しているときに、指がスプリングの圧力に負けてしまい、クローズのつもりでもオープンになっていることがあります。考えてみれば、クローズのときは指に力を入れてキーを押し続けていないといけません。これを敏速に人差し指の力を抜き、かつ放すという逆方向の力を加える一連の動作がスムーズにいくかどうかという問題であったのです。指がスプリングの圧力に負けてしまうというのは別に指が疲労をきたしているのではなく、キーを押し続けているという記憶が忘れ去られた結果であります。

 さて、私が仮説を立てたくなるのは、この「身体的な記憶」についてです。
 人間は(というより動物は)様々な動きを重ねながら次の動きに移ります。例えば、歩行においては腕を振ることによってよりリズミカルにまたはスピーディに歩けることを人間たちは「身体で覚え」ているはずです。ところが、私たちPD患者はここが非常に心許ないのであります。腕の振りをやめてしまったり、「すくみ」と呼ばれる歩行障害が現れるのは、身体で覚えていた基本動作が「身体的な記憶」というレベルで曖昧になり、私たちはその記憶(という能力)に頼らずそのつど考えて「答」を探さなくてはなりません。だから、歩行に新たにカバンや傘を持つという動作が加わると、ますます混乱してしまうのです。

 このように、動物には意識の上での記憶以外に無意識の中の記憶という領域があるのではないか、そしてPD(Perkinson Disease パーキンソン病)とはその記憶障害という一面があるというのが患者として体感できる仮説です。したがって、この病気は人間以外の動物にも現れうると考えられます。

 ついでながら楽器奏法の話に戻りますが、この記憶を鮮明にするために、敢えてFからF♯に移動する前のFの段階で「人差し指のキーを押す」という動作をモーション的にも大きくキーを叩くような感じで行ったところ、「人差し指のキーを離す」ということに関して条件付ではあるが、有効であります」。その条件とは、そのモーションからキーを離すまでが時間的にも運指上も近くなければ効果が現れないということです。このことも無意識の中の記憶が消失してしまうということで説明できそうであります。


   https://blog.with2.net/in.php?781249 人気ブログランキングへ

全1ページ

[1]


.
よっしー本店
よっしー本店
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
検索 検索

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事