小学校の子どもたち

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海に帰る

「純也君たち、手伝っくれるかなあ。」

印刷室にいた田沼先生が、廊下を通りすぎたクラスの子どもたちに声をかけた。

「猛、頼んだぞ」と言って走りさったのは、山本純也君だ。三年一組で一番背が高く、いつもいばりちら

すクラスのボスである。

大和猛君は「もう」と言いながら印刷室に入っていくと、尾登美姫さんもあとに続いた。

 美姫さんには、猛君が(やんなんちゃうなあ)と言いたかったのが、わかったからだ。

 保育園のころからだった、美姫さんが人の心の中がわかるようになったのは。

「このプリントとホチキスを教室まで持っていってほしいんだ。」

先生が指さしたのは、遠足のしおりだった。ページごとに束にしてあり、山のように積みあげられてい

た。その束を見た猛君は、ひっくりかえしたら大変だぞと思った。

それがわかった美姫さんがプリントを持とうとすると、先生が、

「美姫さんは軽いほうのホチキスを持って。猛君は力持ちだからプリントを頼むね。」

と言い、その束を猛君の両手に手渡した。

二台のホチキスを持った美姫さんが「大丈夫」と、心配そうに猛君の顔をのぞいた。

ぎこちなく歩き出した猛君は、「平気、平気」と言ったものの、階段をあがるときにはその重さに額か

ら汗がにじんでいた。


五月なのにむし暑い教室で、しおりづくりが行われた。

早くしおりを作り終えた純也君が目を丸くして、「肝試しをするんだ、おもしろそうだぞ」と大声をは

りあげた。そばに集まってきた男の子たちに、「男女一組なんていやだよな」と純也君が口をとんがらせ

て言った。

全員がプリントづくりを終えたことを確かめて、先生が遠足の説明を始めた。お弁当やお菓子などの持

ち物から始まって、走水をぬけ観音崎までの道のりなどの話の間、教室はガヤガヤしていた。いよいよ肝

試しについて話し出すと、それまでの騒々しさがうそのように静まりかえった。

「お弁当を食べ終わったら、みんなが楽しみにしている肝試しです。そのトンネルの中に入ると、うめき

声が聞こえてくると噂になっている心霊スポットです。そこを男女二人一組でトンネルを通りぬけていき

ます。」

すぐに、純也君が質問した。

「男同士では、いけないの。」

「男女仲よくなってもらいたいからね。それに女子だけでは、こわすぎて歩けなくなってしまうといけな

いからだよ。」

そう説明した先生に、「それは、だれのうめき声なの」、「どうやって二人一組をつくるの」などと男

の子たちの質問が続いた。

「灯台があっても浦賀水道はせまいので、船の衝突事故などで亡くなった人の霊らしいんだ。日本軍の要

塞もあったので、戦争で亡くなった人の霊もいるのではないかな。」

本当はこわいくせに、純也君がちゃかした。

「そんなのいるわけないよ。それより二人一組は、どうやって決めるの。」

「背の順で、二人組をつくってもらうよ。」

先生の言葉に、思わず猛君が美姫さんのほうを向いた。

目があった美紀さんは、猛君もこわがっていることを感じるのだった。


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