小学校の子どもたち

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海に帰る

散歩が好きなプリンは、毎日のように学校から帰ってきた猛君と出かけていった。
 

猛君の家の三軒隣に住む美姫さんがいっしょに散歩に行くようになると、プリンの足どりも軽くなった


ように見えた。しっぽをふりながら、二人の横にならんで嬉しそうに歩くのだった。


ホタルがいる小川が流れる野草公園は、二人のお気に入りの場所だった。



 六月に入り、雨にうたれたアジサイの花が美しい小道を歩いていると、いなづまが空を切りさくように


光った。二人をこわがらすように、雷の落ちる音も近くで聞こえてきた。


「こわい」とふるえる美姫さんに、猛君も「どうしよう」と立ちすくんでしまった。


強い風が吹く中、首を左右に動かし、あたりを見回したプリンが、首輪につけられたリードをひっぱっ


て走り始めた。 


美姫さんには、プリンが(あとをついてきて)と言っているのがわかった。


そのリードをにぎりしめた猛君も、美姫さんとプリンのあとを追った。


 しばらく山道を走ると、屋根と柱だけの休憩所にたどりついた。


 体をふるわせて水てきを飛ばしたプリンは、いつものおだやかな顔にもどり、空を見あげていた。その


顔は、二人を守れたことに満足しているようだった。


二人は、びしょぬれになった頭や顔、うでをハンカチでふき、しばらく空もようをながめていた。


まもなく雷もやみ、小雨になったが、あたりは霧につつまれてしまっていた。


走ってきた道がわからない猛君は、泣きべそ顔になっていた。とほうにくれて、ため息をつくばかりだ


った。


雨がやみ、美姫さんが「家に帰らないと」とつぶやくと、体を横たえていたプリンが立ちあがった。ま


るで、美姫さんの言葉が伝わっているかのように猛君には思えた。


ハイキングに来た人たちの歩いたあとが、いくつも分かれる細い道をプリンは迷わず進んでいった。二


人がついてきていることを確かめるように、ときおりプリンはふりかえり、野草公園の入り口までみちび


いていった。


二人がプリンに「ありがとう」と言うと、(助けることができてよかった)と美姫さんには聞こえてき


た。


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