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二夜目、モーゼスは裏切りについて考えた。父のように慕ってきた長の裏切り。それは他の誰にされるよりも深く、深く、モーゼスの心を傷つけた。 「虚(うろ)の愛、我が身心(みこころ)を切り刻む……」 去々日の長の姿が脳裏によみがえり、現にそこにあるかのように象られる。 失望の色濃い瞳、見限ったように冷たい声色。 「何もかも偽りだったというのか?」 重なってあらわれるのは、慈しむような隠微(いんび)の笑み。 「あるいはすべて私の錯覚なのか……!」 モーゼスは叫喚(きようかん)し、両手で髪をかきむしった。 信じていたものとあらわになった裏切りと、どちらが真実なのか、モーゼスは見極められぬもどかしさに嘆いた。いや、実はそうではない。 何をも信じきれぬ己の愚かさが痛ましかったのだ。 だが彼はそのことに気付けなかった。過ちを犯すのは人の常と、切り捨てたのは昨夜のこと。 胸に押し寄せる重苦がモーゼスの細い体を包み込むと、彼は小刻みな呼吸を繰り返しながらベッドに横たわった。 この日、モーゼスが得たものは、疑心だった。 「忍び寄る恐怖に、夜も眠れません」 得体の知れぬ不安に襲われたモーゼスは、長の眼前に迫る勢いで言葉を発した。 「恐怖の在りかさえも定かではない!」 長は峻厳(しゆんげん)とした居ずまいで、モーゼスを見やった。 「何を恐れている?」 モーゼスは首をばけしく振った。 「わけがわからないのです。なぜ私が?」 「聞いてどうなるものでもない。もとよりこれは、運命なのだ。避けがたい運命。あるいは宿命」 「理由さえも与えられないのですか?」 「お前の抱く恐れは確かなものよ。どこへ向かうべきか、わからぬから怖いのだ。どうなるのか知れぬから不安でたまらなくなるのだ。さすれば答えはおのずと出よう。すべてを知ること、これによってのみ恐怖の払しょくはかなう」 「ならば教えてください。私はどこへ向かえばいいのですか?」 「わしの決めることではない」 「あぁぁぁぁぁ、頭が変になりそうだ」 絶望に打ちひしがれたモーゼスに、長は非情なまなざしを注いだ。 「モーゼスよ、よくよく聞くがいい。この先の道筋において、お前が立ち上がろうがしゃがみこもうが、歩み続けようが止まろうが、そんなものはどうでもいい。 北へ行こうが南へ行こうが、泣こうが笑おうが好きにするがいい。まったくもってとるに足らぬことだ。 大切なのは、ただひとつ。」 長は人生の厳酷(げんこく)さを体現化したようなごつい指で、モーゼスの左胸を差し示した。 「この苦渋の中において、お前が何を見出すのか。求められているのはそれだけよ」 モーゼスは目を潤ませがら、長が真意を語ってくれるのを待った。 しかし長は、固く瞳を閉じ、これ以上話すことはないという意志を無言で告げた。 モーゼスは体を引きずるように席を立った。 この日、モーゼスが得たものは、失望だった。 五夜目、沸き起こる不信が身を引き裂くような痛みを生むと、いつ果てるとも知れぬ苦しみに、モーゼスの心は悲鳴を上げた。 猜疑(さいぎ)に満ちた心には否定、抵抗、その他あらゆる善とは呼べぬ感情が生まれては潜み、沈んではまた現れた。 モーゼスはこわばる体をベッドに投げ出し、両手で視界を遮った。 「私はもう、何をも見たくはない。どれほど美しい音色であろうと、今の私には悪魔のささやき。私はもう、何をも聞きたくはないのだ」 彼はまず、自分の心を偽った。 長を父のように慕ってなどいない。そんな風には思っていない。 言い聞かせ、それから順に、己の人生に起こった出来事に対してつばを吐きかけた。 いい思い出にも、悲しい記憶にも、愛や夢や希望に対しても。 こうしてモーゼスはすべてを失くした。 六夜目、モーゼスは神を呪った。神の祝福を受けられない己を呪うかのように。 そして七夜目の明け方、モーゼスは出立した。 六夜目に彼が得たものは背信。 どこへ向かえばいいのか、あてもない旅が始まった。 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 何ヶ月放置していたのかしら? 人生いろいろと悩みまして、ようやく意志が固まり……つつあります。まだ不完全ですが…… (x_x) 今回書いたものは、作中作と題している通り、これから書こうとしている小説の中に出てくるもう一つの物語です。こちらも不完全ですが、いちおうこんな感じて続きます。 今回の投稿記事では3つほど、初めて使う言葉があります。私にとっては耳慣れない言葉なのですが、耳慣れた類語では満足できなかったので、響きでチョイスしてみました。まだ満足はいかないのですが、ボキャブラリーがないから……大変。 ……変かしら? これから書こうとしている物語で、言いたいことはこの作中作にまとめようと思っています。登場人物に語らせようと思ったのですが、そうするとなんか説教くさくなりそうなのでこんな形をとってみようと思いました。つまり、試作品です。 さて、人生いろいろ、何を悩んでいたかというと…… 1つは書くことです。というか、何を書けばいいか的なことですね。 私が何かを書くと、なぜかエンターテイメントとは離れてしまう。この状況がどうにもできなかったんです。偏った思想? みたくなっていって、どうにもならなくなるので困りものでした。 今まで自分が何を書きたいのかもわからずに、っていうか、自分が何を書いているのかも分からぬままにただ書いてたみたい。 つまり、このブログにある物語たちも、ぶっつけ本番! みたいにして出てきたみたいなんですねぇ。 公募しようと考えて、エンターテイメントなんて言葉を念頭に置いたら、どうしていいか分からなくなりました。 そんなこんなで悩みちゅう、糸口を見つけてくれたのは旦那さんでした。 しかも、夫婦げんかの延長線上……。はは。 舌戦の末、私は言われました。「お前は社会で通用しない!! そんな考えは世間一般では通用しない!!」 と。前置きとして、「言っていることは分かる」なんてありましたが、完全否定されてしまいました。 私の言うことは「きれい事」、ってのは前から言われてましたけどね。 そんなとき私は、「きれいなものはいつ何時もきれいなんだよ。それが分からないのは、目が曇っているか心が汚れているかのどちらか」的なことを言いました。22、3歳のころです。それから彼はきれい事という言葉は使わなくなりましたが、今回は……上記のとおり。 まぁ、いろいろと喧嘩や言い争いを繰り返して、最終的に言われたのは「お前の考えって……(ちょっとあきれ気味な感じ) なんか、哲学? わかんねぇけどそんな感じ」 …………は? 哲学? 自慢じゃありませんが、決して品行方正とは言えない学生時代を送った私。哲学なんて触れたこともありません。そんな人間に哲学とかって…… なんて思いながらも、何だか惹かれました。 インスピレーション的なものです。 哲学の定義なんてどうでもいいけど、私は私の思想を曲げたくはないし、曲げられないんだってこと。 今までは、自分が知っている言葉を並べていたら文章になった。みたいに書いてたから、 公募で通りやすそうな……なんて傾向と対策とか考えちゃうとどうも気持ち悪くて仕方がなかった。 そう! 書きますよ!! 賞に公募する作品をっ!!! 傾向と対策とかぶっ飛ばしちゃって、自分の知っている言葉を並べていたら小説になった、的なもので勝負!!! ……してみようかなぁ って。 はじめに言ったとおり固まりつつある不完全な意志ですから。 3歳4ヶ月のパワー全開坊やは、来年から3年保育をと考えていたのですがやめました。
まぁ、子育ては大変で大変で目が回りますが、なんせ可愛くて……♥ 幼稚園に預けるのはもったいないので、もう一年一緒に過ごすことにしました。 というわけで、本気を出さないと!! 3歳児に脳みそを同化させて1日過ごすと、切り替えがうまくできないと全く書けなくなりますので。。。 |

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お久ぶりです☆(^◇^)
作中作、1話から読みました♪
よく練ってありますね!!お話の構成、私はここまで考えられないです(>_<)
公募を狙ってるんですね!!頑張ってください!!
旦那様とのケンカで、哲学が出てくるとは\(◎o◎)/!・・・。
仲直りしましたか?そっちが心配です(>_<)
私も最近は、何書いてるか「?」て思うこともあります(^^ゞ
でも、puriさんの考え、分かりますよ☆
自分の思い、曲げられないですよね!!
2009/11/12(木) 午後 6:54 [ - ]
マスコットさぁん。読んでくださっていたのですね。失礼しました。
もう……一ヶ月もたってしまってからの返事、遅すぎ(>_<)
公募できればいいんですが、まずは完成させる!! が目標です。
2009/12/9(水) 午前 11:20
私も1から読んできました
だんなさま 良くみてる 確かに哲学的 でも嫌いじゃない
どんどん書いて〜
みけ
2009/12/9(水) 午後 8:21
ネコママさん☆ ありがとうございます♪
2009/12/9(水) 午後 10:45
どういたしまして
2009/12/12(土) 午前 10:39