未来空間 〜無限の扉〜

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指定席

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 そのベンチは、指定席。
 だが、そこに誰かがいる形跡はない。
 それでも、人はベンチを避け、決して腰掛けようとはしないのだ。
 見えない誰かが、そこにいる。

 ある日、小さな女の子が、ベンチに腰掛けた。
 周囲の誰もが、固唾を飲んだ。
 その先に起こる出来事を知っていたからである。

 5分ほどが、経っただろうか。
 女の子の姿は、忽然と消えた。

 「指定席に決して座ってはいけない」
 誰かが呟いた。
 「座ったら、罰を受ける」
 別の誰かが呟いた。

 ベンチはずっと待っている。
 主が現れるのを。
 それを邪魔する者は許さない。
 意志を持つベンチ。

 だが、女の子は消滅したわけではない。
 別の次元に送られただけなのだ。

 しかしながら・・・・。
 そこが、どんな世界なのかは、誰も知らない。

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 私にとってベンチとは、恐怖の対象である。
 何故だか怖いのだ。

 そこへ座ると、何かが起こる。
 そんなシグナルが働く。

 ベンチは公共のものだ。
 誰のものでもない。

 だけども、そこに座るべき者は決められている。
 そんな気がして、このお話が浮かんだ。

命の水辺

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水辺の中に命の宿りを見ることがある。
羊水に包まれ、何の不安もなく母の胎内で過ごした日々。
そんな記憶がふと蘇るのかもしれない。

雨の音。
池に落ちる水の音。
まるで子守唄を聴いているかのごとく、耳に優しい音。

川の水は、昔の清らかさを失い、海は埋め立てられていく。
水のある風景が、徐々に失われているこの頃。
寂しさというよりも、胸の痛みを感じるのは、私だけだろうか。

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             地球をもっと慈しもう


                         樹 ++Itsuki++

向こう側に見える世界

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   **********************************

木立の中に通る一本道。
聳え立つ木々を従え、どこへ通じているのだろう。
この小路を抜けた先に、何が見えるのだろう。

道を歩いているのか、世界に動かされているのか、
ときどき、わからなくなる。

意志を持っているのは、己自身ではなく、
未来の力なのかもしれない。

向こう側に視線を凝らし呟いてみる。



「私の明日は、どっちですか」



勿論、その答えは、道の向こう側にしか、


ない。


   **********************************


                   歩いていこう


                              樹 ++Itsuki++

波紋

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碧く、美しく、その水は湛えられている。
深く、どこまでも深く、魂がしずんでいる水底。

水辺の風景というのは、様々なイメージを喚起させる。
穏やかな、或いは不安な。

好きな作家の物語に「みずうみ」という作品がある。
掌編ながら、とても好きな作品だ。

この写真を見ていると、その物語が脳内にフラッシュバックしてきた。
哀しく切ない、愛の物語が・・・・。

心にそっと鍵をかけて、しまっておいた方がよい、想い出というものがある。
人間の脳というのは不思議で、自己防衛能力に優れている。
心が破壊されないよう、ショックな出来事を封印するようになっているのだ。

「みずうみ」は、封印したはずの記憶が、故郷のある場所に立ったことによって、
扉が開かれてしまうお話である。
結婚という幸せな人生を目前にしながら、絶望という過去を見てしまう主人公。

結末はオブラートに包まれ、読み手の想像に委ねられている。

惹きつけられ、心を鷲掴みにされた「みずうみ」の物語にリンクしたこの写真が、
私の心に漣を起こし、何かが動きだした。

そんな気がしてならない。

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             予兆は突然に訪れる

                               樹**Itsuki**

湾曲する日常

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普段は見なれているはずの物が、ある日突然、珍妙な物体に映ることがある。
このケトルもそうだ。

紳士的とも思える姿勢の良さをアピールしている取っ手。
ふんぞり返った英国の髭をたくわえた御老体。
或いは、オットセイの立ち姿、を連想させる。
どちらにせよ、ちょっと小気味よく、愉快な風体だ。

そんなに反ると腰を痛めますよ。
と、思わずつぶやきたくなる。
ケトル相手にひとりごちている私は、他人が見たら危険人物かもしれない。
いや、そうでなくとも普段から、立ち入り禁止の看板をブラ避けているのだから。

変わっているね。
個性的だね。
それは、ある意味、褒め言葉だと受け止めている。
しかしながら。
変人、はよろしくない。
変な人。
も、あまり喜ばしくない。

日本語のニュアンスは微妙で、難しい。

このケトルのように、ありふれた人間である私が、
ときどき世間では未知なる生物に映ることがあるようだ。
それでも、日常生活に支障はなく、人生に於いて不便もない。

ケトルも、水を沸騰させお湯を作る道具として、
その役目を全うしてくれるなら、どんな姿になろうとも構わないのである。
いや、オブジェとして君臨するのも悪くない、かもしれない。

と、とめどない独り言を脳内で繰り返す日常が好きな私だった。

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                  妄想的独り言は楽しい

                                  樹**Itsuki**

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