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北方領土問題と日・ロ地元住民の願い
ヨウスケ
10月18日付けの北海道新聞朝刊に、「四島と経済交流の推進を」と題する、長谷川俊市・根室市長
とワシーリーソロムコ・南クリール地区長との懇談の内容が紹介されていた。この懇談において、長谷川
根室市長は、
「根室の人とロシア人島民が自由に行き来して商売できる環境をつくりたい」
と述べ、北方四島を根室と同じ経済圏に組み込んで四島との経済交流を推進する構想を述べた。
また同時に長谷川市長は、
「日ロ両国の主権を棚上げして、特区的なものを作るように国に要望しているが、
なかなかいいと言ってくれない」
と日本政府に不満を表明していた。
これに対しソロムコ地区長は
「経済関係の発展の話を聞けるのはうれしい。日本の参加はロシア側に一切の支障がない」
と歓迎の意向を示したことを伝えている。
この記事を読んで思ったことは、何十年経過しても一歩も進まない「四島返還」の幻想を追求しても地元
住民の日々の生活にとって具体的利益は何もない。むしろ領土問題は棚上げしても、経済交流を盛んにし
て地元経済の発展につなげたいということなのだろう。
本来国境地域は、交易活動が盛んに行なわれ、経済的にも繁栄する潜在力を持った地域なのである。
特に日本側が経済的優位な立場にあるとすれば、日本資本の有力な投資活動の場となることはまちがいな
い。何よりも根室市を中心とした道東地域の経済の活性化にとっても大きな期待が約束されるのではない
のか。
ここで国益ということをしっかり考えなくてはならない。国益とは「国民生活の豊かさ」が実現されると
いうことである。だとすると領土権益もつまるところ経済権益ということなのではないのか。
私は北海道の在住者であるが、もともとはアイヌ民族の生活地域を、本州からの入植者によって開拓され
た地域である。「北海道は、わが国固有の領土」というのは否定しようも無いが、この広大な土地が人々
の生活の場として価値があったからにすぎない。目的は「豊かな生活」を求めて開拓に努力してきたので
ある。
四島返還を主張する旧北方領土住民たちも、返還されたからといって、70歳・80歳の高齢の身で、
わざわざ不便な国後・択捉島に住宅を建設して住もうなどと言う人はいないはずだ。
また旧北方領土住民たちの子や孫達にとっても、道東地域の経済が活性化され、繁栄してゆくことによ
り、所得も増え、就労の機会も増えるとすれば、その方がよいことになるではないか。
この長谷川根室市長の発言の意味は重い。われわれは根室地域の地元住民は、「北方領土の四島返還」を
強く願っているのではないかと勘違いしてはいなかったのか。地元住民の本当の願いは、経済交流を盛ん
にして、地元経済を豊かにしたいということが第一義であるということに深く思いをいたさねばならない
のではないのか。
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