|
(2013年11月26日付 英・フィナンシャル・タイムズ紙)
【社説】 中国は日本への挑発をやめよ
東シナ海の無人の島々を巡る日中間の領土紛争がさらに危険な状況に陥っている。中国政府は先週末、
尖閣諸島(中国名・釣魚島)を含む東シナ海上空に「防空識別圏」を設定。日本政府への圧力を徐々に強
める戦略を一歩進めた。
中国政府によると、防空識別圏に入る航空機は事前に飛行計画を伝える必要があり、通告が無い場合に
は「防御的な緊急措置」を講じるという。尖閣諸島上空は日本の防空識別圏にも属し、自衛隊機が定期的
に巡回・監視していることを考えれば、中国政府の今回の動きにより偶発的または故意による衝突の可能
性が高まるのは明らかだ。
日本が実効支配する尖閣諸島を巡る紛争をたどると、中国が「戦争で日本に盗まれた」と主張する19世
紀末に遡る。日本政府は無人島であることを確認した上で1895年に合法的に領土に組み込んだと反論する
が、中国側も古代から自国の固有領土で、第2次世界大戦後に返還されるべきだったと譲らない。中国政
府は「領土問題は存在する」と日本側に認めさせたがっているが、日本政府はこれをはねつけている。
■威嚇で打破しようとする中国
主張の是非はともかく、中国政府の行動は愚かだ。尖閣諸島は米国が1945〜72年に沖縄県の一部として
支配していた時期を除いても、100年以上にわたり日本の実効支配下にある。これに対し、中国は威嚇行
為で現状を打破しようとしている。尖閣諸島は潜水艦の重要航路に位置するため、支配下に置けば潜水艦
の行動範囲を広げられるという中国海軍の野心を実現できるだけでなく、歴史的報復も果たせる。ただ
し、尖閣諸島は日米安全保障条約で米国の防衛義務の対象となるため、事態がエスカレートすれば危険は
倍増する。
中国政府が国際法に照らしても自らの主張は正しいと確信できるのなら、国際仲裁機関への提訴を目指
すべきだ。日本政府は提訴に同意しないだろうが、同じように自らの正当性を主張する立場から、中国政
府が判決に従うという保証があれば国際仲裁に応じるかもしれない。それはさておき、日中両国は問題の
解決を将来の世代の知恵に任せて棚上げし、以前の状態に戻すよう努めなくてはならない。その上で、漁
業権や石油探査権など天然資源の共同管理を目指すべきだ。
一方で、中国政府の狙いは別にあるのではないかとの疑念も生じる。尖閣諸島を日米同盟に亀裂を生じ
させる手段と捉えているというのだ。だとすれば、それは無責任なゲームでしかない。
|