海外有力紙・安倍首相・ダボス発言

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全3ページ

[1] [2] [3]

[ 次のページ ]

 ロイター通信

 2014年 02月 13日


コラム:日中関係は「最悪の状態」か


[11日 ロイター] - 国際政治学者イアン・ブレマー


ドイツのミュンヘンで先月に開催された国際安全保障会議で、中国の傅瑩外事委員主任(副外相)は、

日中関係が「最悪の状態」にあると言い切った。しかし、最近の日中関係を表現する言葉としては、特段

大げさなものではないだろう。

1月の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)では、中国の出席者の1人が、安倍晋三首相を「トラ

ブルメーカー」と評し、北朝鮮の金正恩第1書記と同列扱いした。一方で、中国を軍国主義的かつ極めて

攻撃的と評した安倍首相は、経済的に深く結び付きながら外交面では冷え込んでいる日中関係について、

第1次世界大戦で戦う前の英独関係に例えて説明した。さらに、日中の駐英大使は最近、互いを「ハリ

ー・ポッター」に登場する闇の帝王「ヴォルデモート卿」になぞらえて非難合戦を繰り返した。

行動は言葉よりも雄弁だ。両国とも、お互いを挑発的するような動きには事欠かない。昨年11月には中

国が、尖閣諸島(中国名・釣魚島)を含む東シナ海上空に防空識別圏(ADIZ)を一方的に設定し、翌

12月には、安倍首相が靖国神社の参拝に踏み切った。

ただ、応酬はエスカレートしても、両国のにらみ合いが軍事衝突に発展する可能性は依然として極めて低

い。中国が日本との経済関係を根本から台無しにすることは考えられず、実際に地方当局者レベルでは、

日本からの投資誘致への関心の方がはるかに強い。そして日本も、一部企業には「脱中国」でリスクをヘ

ッジする動きがあるものの、巨大な中国市場での日本企業の成功を景気回復のカギとみていることに変わ

りはない。日中関係が沸点に達する可能性は低い。むしろ、両国間の緊張関係は息の長いサイクルに入っ

たと見るべきだろう。

両国に紛争を回避する意図があるとするなら、我々は日中関係をどの程度懸念すべきだろうか。軍事衝

突の可能性は低いにせよ、日中関係が依然として世界で最も地政学的に危険な二国間関係であり、それは

今後も変わりそうにないことを留意しておくべきだろう。そう考える理由はいくつもある。

まず第一に、確率は低いものの、重大な結果を招きかねない誤算のリスクは常に存在する。中国側の

「領空侵犯」に対する自衛隊機の緊急発進(スクランブル)が常態化すれば、間違いが起こる危険性は膨

らむ。外交関係が冷え切っていることを考えれば、もし何か間違いが起きた場合には、双方とも互いの意

図について最悪のケースを想定するはずだ。

さらに、世界第2位と第3位の経済大国である中国と日本は、現在は経済の規模と結びつきによって互

いに無視できない関係にあるが、経済的依存が弱まっていると双方が考え始めれば、衝突のリスクは高ま

る。中国の日系企業2万3000社では1000万人の中国人が働いているが、日本企業は現在、脱中国

による多角化を積極的に進めており、対中直接投資は減りつつあり、特に東南アジアへのシフトが目立

つ。一方、外交関係の緊張化などを背景とした日中貿易の縮小を埋めるように、中国と韓国の貿易は急速

に拡大している。

また、日中間の火種は解決の難しい歴史的反感が背景にあり、対立の根深さが、両国関係を重大な世界

的リスクにさせている。日中間の外交的働き掛けは中断しており、米国をはじめとする諸外国も、日中関

係の改善に十分な力を発揮できていない。中国には日本の立場から世界を見ようとする人はおらず、逆も

また然りだ。米ピュー・リサーチ・センターの調査によると、中国では日本に好感が持てると答えた人は

6%にとどまり、日本でも中国に好意的な人はわずか5%だった。日中とも、本格的な衝突は相手にとっ

て最善の利益ではないと十分承知しているのだろうが、それは事態をさらにエスカレートさせる理由を与

えるだけだ。中国高官の1人が私に最近説明したように、中国は日本を押し込むことに気兼ねしていない

(彼らは「戦争したくない」し、そして日本は「その気もない」)。

軍事衝突まで突き進まないことが日中双方の利益である一方、両国ともに緊張関係を長引かせたい思惑は

ある。歴史的な仇敵に対する不屈の姿勢を見せることで、自国内で政治的利益を得られるからだ。対米関

係などで外交政策を軟化させている中国政府は、国内の国家主義的圧力のガス抜きに反日を使っている。

一方、安倍首相は中国の台頭を、地域での日本の立場に対する長期的な脅威ととらえており、中国を押し

返そうと躍起になっている。

では、2014年の日中関係はどんなことが想定されるだろう。全体としては、双方で国民感情が一段と

悪化し、ビジネス環境も冷え込むことが見込まれる。安倍首相は集団的自衛権の行使を可能にする憲法解

釈変更を進め、靖国神社も再び訪れるのだろう。

しかし、短期的なリスク以上に我々を憂うつにさせるのは、日中関係に解決策がまったく見えてこないこ

とではないだろうか。


*筆者は国際政治リスク分析を専門とするコンサルティング会社、ユーラシア・グループの社長。スタン

フォード大学で博士号(政治学)取得後、フーバー研究所の研究員に最年少で就任。その後、コロンビア

大学、東西研究所、ローレンス・リバモア国立研究所などを経て、現在に至る。全米でベストセラーとな

った「The End of the Free Market」(邦訳は『自由市場の終焉 国家資本主義とどう闘うか』など著書

多数。

イメージ 1

ニューズウィーク日本版 2014/1/28 10:59 冷泉彰彦

                  安倍首相はダボスで何を言ったのか?

                                   - 冷泉彰彦 プリンストン発 -


 安倍首相はスイスのダボス会議の席上で、海外の記者との懇談の際に、英『フィナンシャル・タイム

ス』のギデオン・ラックマン記者から「日本と中国の関係が戦争(war)に発展する可能性がある(conce

ivable)のではないか」と問われたところ、「今年は第1次大戦から100年を迎える年。当時、英独は大

きな経済関係にあったにもかかわらず第1次大戦に至った歴史的経緯があった」と説明したといいます。

 この「事件」に関しては、通訳が余計な文言を追加したためにトラブルが大きくなったという解説もあ

るようです。事の真相は、仮にビデオなり音声が残っているのであれば、それを検証する必要があると思

いますが、問題は、このラックマンという記者だけでなく、多くの有名なジャーナリストが「安倍発言に

驚き、かなり深刻な報道をしている」という事実です。

 特にアメリカのネット誌『インサイダー』のCEOであるヘンリー・ブロジェット氏はラッチマン記者

のコメントをツイートすると共に、「安倍発言問題を含む、日中の緊張がダボス会議の参加者を驚かせ

た」と報じています。更に、ロイター通信ではスティーブン・アドラー社長が、他の記者との連名で配信

した記事の中で「安倍首相はトラブルメーカー」という中国高官の表現を借りつつ、発言を批判していま

す。


安倍首相の周辺には、その通訳の「一言が余計だった」という点など、色々と言い分はあるかもしれませ

ん。何よりも「日中間に危機管理のホットラインを」という提案が真意であるのであれば、何度でもその

ことを誠実に説明すべきだと思います。

 ですが、仮にそうであっても「第一次大戦で甚大な被害を受けたヨーロッパのど真ん中」で、特に

「その大戦を繰り返さないために国際連盟を設置したスイスという国」で、しかもその「国際連盟の常任

理事国でありながら自身が脱退することで連盟を事実上潰して再度の世界大戦を戦うことになった」日本

の、その「戦前の歴史の名誉回復」に熱心な首相が、「第一次大戦の100周年」というセンシティブな時

期にこうした発言をするというのは、日本を「再度孤立化へ」向かわせる自爆行為だと言ってもおかしく

ないと思います。

 更に安倍首相は、同じダボスの地で、CNNキャスターのファリード・ザカリア氏の単独会見に応じて

います。その内容は、1月26日(日)の同氏がキャスターを務める『ファリード・ザカリアGPS』とい

う番組で放映されています。編集としては、短く刈り込まれたもので、また安倍首相が日本語で喋った上

に不十分な英訳ナレーションが乗るという不完全なスタイルでした。


 内容は3点ありました。まず1点目の「アベノミクス第三の矢」に関しては、金融緩和と公共事業に加

えた「第三の矢」として規制緩和が必要だという論点が明確にされていたのは良かったと思います。です

が、内容は「解雇と雇用をフレキシブルにする。但し抵抗勢力の反対が強い」という言い方に終始してお

り、何をどうやるのかについては曖昧なままでした。結果として、日本は「確かに改革を進めることがで

きるのか?」という点に関して、余り力強い印象を与える内容にはなっていませんでした。

 それはともかく、問題は2点目と3点目です。まず2点目ですが、中国との緊張に関してザカリアは安

倍首相に対して「習近平政権は特に拡張主義だと思うか?」という質問をしたのですが、これに対して安

倍首相は「そうは思わない。過去20年間にわたって中国は拡張を続けた」と述べたのです。勿論、習近平

政権を名指して「特に拡張主義だ」とするのも外交上は下策と思いますが、過去20年ずっと拡張主義だっ

たというのでは、江沢民時代以降は全部ダメということになり、現在の長老などは全員「拡張主義」とい

うことになってしまいます。

 現時点では、日中が「危機管理のホットライン」をどう構築するかという点に世界が注目しているので

すが、これでは、無条件で敵視し警戒していると言っているのに等しいわけです。この発言は、ダボスで

の姿勢と結びつくことで、結局は「危機管理のホットラインを日本は作る気がないのではないか?」とい

う誤った印象を国際社会に与えることになります。そうすれば、危機をエスカレートさせているのは、中

国ではなく「安倍首相個人」であり、彼こそが「トラブルメーカー」なのだという中国やロイター通信の

主張を勢いづかせてしまうでしょう。

さて、安倍首相のCNNインタビューで最大の問題は3番目の「イルカ問題」です。首相はここで「イ

ルカ追い込み漁」を行っている和歌山県太地町の立場を「弁護」しました。この「イルカ」問題ですが、

基本的にはキャロライン・ケネディ大使のツイートがきっかけになっているわけです。この問題に関し

て、ケネディ大使が大使の立場でツイートをしたのは事実ですが、ニューヨークのリベラル社交界にいた

「知識人」としては「全くもって想定内」の行動であり、基本的には「スルー」するのが上策です。

ちなみに、この問題に関しては小野洋子(ヨーコ・オノ)さんが、英ガーディアン紙にメッセージを寄

せています。

It will give an excuse for big countries and their children in China, India and Russia to

speak ill of Japan when we should be communicating our strong love for peace, not violence.

「日本は暴力を志向するのではなく、平和への強い愛を持った国だというメッセージ発信を続けることが

必要なこの時期に、(イルカの追い込み漁を続行することは)中国やインドやロシアなどの大国や、その

子どもたちに、日本を悪く言う口実を与えてしまう。」

 このイルカ漁の問題に関しては、あくまで日本の国内問題であり、賛否両論があっていいのだと思いま

す。ドキュメンタリー映画が有名になったり、ケネディ大使が発言したりという「現象」はありますが、

あくまで日本では多様な議論がされていれば良いのだと思います。ですが、ある種のセレブ知識人である

「大使」とは「一国の首相」の発言の重みは異なります。

安倍首相が今回CNNでこのイルカの問題に触れたのは、全くもって「不必要」であるばかりか、この

番組の流れとしても、またダボスでの「第一次大戦前」発言との「文脈」を考えれば、完全に小野洋子さ

んの懸念が当てはまってしまうように思います。というのは、中国の台頭に対して積極的に「ケンカを買

う」という安倍首相のイメージに、「イルカ漁擁護発言」が重なってしまうからです。これでは、外交上

も、日本の「ソフトパワー」を発揮するためのPR戦略上もマイナスこそあれ、プラスになることはあり

ません。

 ちなみにCNNで安倍首相は、わざわざ「日の丸」を背景にTVに映させていました。また終始、秘書

(?)の方をチラチラと見ており、肝の座らない弱々しい印象を与えていました。日の丸はもしかしたら

首相サイドから頼み込んだのかもしれませんが、CNNの画像では落ち着きのない首相の挙動とあいまっ

て、「国家に依拠し、国家の力を背景に喋る人物」という「脆弱性」を示す「失敗演出」であったと思い

ます。

 安倍首相のダボスでのPR活動は、以上の点から見てマイナスがプラスを大きく上回るものであった

と考えられます。政権として厳しく反省していただきたいと考えます。

ニューヨーク・タイムズ 2014年1月23日

    現在の日中関係は、全面戦争の前夜?「第一次世界大戦前のイギリスとドイツの関係」

                                               ジェーン・ペレス

アジアの最大の国家である日本と中国の関係は、すでに何か月もの間緊張したままです。

原因は領土問題、そして歴史認識の問題です。

そして現在、日本の安倍首相はこの問題に関する論争を一層拡大する挙に出ました。

スイスで開催されたダヴォス会議の席上行った演説の中で、著名な歴史学者の発言に同意する形で、現在

の日中関係を第一次世界大戦前のイギリスとドイツの競争関係になぞらえましたが、この発言を中国側が

どう受け止めるかという配慮を欠いたものでした。

この会議での主要な講演者のひとりであった安倍氏は第一世界大戦以前、イギリスとドイツが密接な貿易

関係を結んでいたにもかかわらず、最終的には戦端を開くことになった経緯について、現在の日本と中国

の間には「類似した状況」があると語ったのです。

安倍首相の発言はファイナンシャル・タイムズのコラムニストであるギデオン・ラックマンが司会を務

めるフォーラムで、質問に答える形で行われました。

ラックマンにはこの問題に関する論評があります。

その上で安倍首相は現在のアジア太平洋地域における緊張状態を作り出しているものは、中国の二桁に昇

る軍事費の増額だと主張しました。

この会議に先立つ2013年12月、安倍首相は第二次世界大戦における14人の戦争犯罪者が合祀される靖国神

社を参拝し、両国の関係を一層険悪なものにしていました。

アメリカのオバマ政権は、安倍首相に対し靖国神社への参拝を思いとどまるよう警告を行っていました。

日本はアジアにおけるアメリカの主要な同盟国ですが、中国との間においてもバランスのとれた良好な関

係を保つ必要があります。

一方で中国はアジア太平洋地域において威力外交的な態度を強めており、日本以外の国々ともこの点に

おいて緊張関係を作り出しています。

その最新の例は、日本が領有権を主張する尖閣諸島上空も含めて、防空識別圏を一方的に宣言したことで

す。

アメリカ政府の国務副長官のウィリアムJ.バーンズと国務省アジア太平洋地域担のダニエル・ラッセル補

佐官の2人は、1月22日、23日の2日間、様々な問題について中国側と話し合うため北京に滞在していま

した。

この際当局者は、アメリカは中国と日本の紛争の調停者になるつもりは無いことを明言した上で、現在の

日本と韓国の間の険悪な関係については、改善されるよう切望していると語りました。

安倍首相の日中関係を第一次世界大戦直前の英独関係に例えた発言は、中国国内から強烈な反応を引き出

しました。

中国外務省の報道官は、安倍首相は第二次世界大戦当時に行った侵略行為の本質をすり替えようとして、

こうした発言を繰り返している。」

と厳しく非難し、安倍首相が提案した日中首脳会談については、

「問題外である。」

と語りました。

日本政府の最高位のスポークスマンでもある菅義偉官房長官は安倍首相の発言について、将来日本と中

国の間に戦争が起きる可能性があるという趣旨は無く、先に行った公式の演説にあるように、安倍首相は

アジアの平和と安定を望んでいるのだとの指摘を行いました。

http://www.nytimes.com/2014/01/24/world/asia/japans-leader-compares-strain-with-china-to-germany-and-britain-in-1914.html?_r=0

(2014年1月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 
             【社説】東シナ海問題、戦争への漂流を止めよ


 東シナ海における中国と日本との戦争の可能性が、世界が直面する安全保障上の最大のリスクの1つと

して急浮上している。残念ながら、日中両国政府の行動は、衝突の可能性を減らす役には全く立っていな

い。

 この対立の焦点は、日本が尖閣諸島と呼び、中国が釣魚島と呼ぶ係争中の島嶼だ。これらの島嶼は日本

の施政下にあるが、中国はその領有権をますます執拗に主張するようになっている。

 中国政府は昨年11月、島の上空を含む空域に「防空識別圏(ADIZ)」設定を宣言して、日本政府に不意

打ちを食らわせた。その後、両国間で舌戦が繰り広げられる中、日本の安倍晋三首相は、有罪判決を受け

た戦犯14人を合祀しているために中国が忌み嫌っている、物議を醸す神社に参拝して火に油を注いだ。


<第1次世界大戦との比較は不適切>

 安倍首相が先日、ダボスで開かれた世界経済フォーラム(WEF)年次総会に出席したことで、今また新

たな懸念材料が生じた。報道陣との懇談で、安倍首相は靖国神社参拝の正当性を訴えただけではなかっ

た。

 日本と中国の対立関係を、第1次世界大戦前に英独間に存在していた対立関係と明示的に比較し、欧州

の2つの大国間の幅広い貿易が両国の衝突を防ぐことはなかったと述べたうえで、中国と日本は今、「似

たような状況」にあると付け加えたのだ。

 安倍首相は、ただ現在の論争の深刻さを強調しようとしただけかもしれない。首相は、戦争が起きたら

悲劇だと述べ、両国政府間のホットライン設置などの信頼醸成措置を求めた。だが、日本の首相が欧州の

1914年当時との比較を許すなどということ自体が、ゾッとする話であり、怒りを招くものだ。

 日中両国を瀬戸際から引き戻す何らかの手立てを見つけようとする必死の努力が一層必要になる。

 安倍首相は、この膠着状態に対する責めを逃れることはできない。もう1年近くの間、首相は国家主義

的な感情に任せて行動してきた。安倍首相は、靖国神社に参拝する衝動に抗うべきだった。

 日本の平和憲法の改正を求める安倍首相の最近の要求は、タイミングが悪く、係争中の島嶼の安全保障

に何も寄与しない。ダボスにいる間に、首相が地域の不安定さの主な要因として中国の軍事費を名指しし

たことも逆効果を招いた。中国は多額の軍事費を支出してきたが、日本の自衛隊は――特に公海上では―

―中国側が対抗できない技術的な優位性を保持している。

 だが、こうした事情はどれも、中国を免責するものでもない。島の上空に「防空識別圏」を設定すると

いう中国の決定は危険な挑発であり、外国の航空機を巻き込んだ事故のリスクを高めた。ダボスでは、中

国のある有力者が私的な会合で、中国はこの島の「局所」侵略を成功させられるとまで仄めかしたと伝え

られている。このような話は狂気の沙汰だ。


<手遅れになる前に対話を始めよ>

 両国とも、互いを威嚇するのをやめ、対話する努力を始めるべきだ。安倍首相のホットライン設置のア

イデアは妙案であり、実行に移されるべきだ。両国政府の間には、軍同士の交流がない。ホットラインが

できれば、偶発事故や緊急事態が生じた時に緊張を和らげることができるだろう。

 だが、ホットラインの設置は、首脳レベルでこの島について話し合うという差し迫った必要性に代わる

ことはできない。今のところ、安倍首相と中国の習近平国家主席は、そうした会談への道を邪魔してい

る。

 その結果、米国はこの迫り来る嵐を米国外交の中心に据えなければならないだろう。米国政府は、自国

の安全保障の傘が係争中の島嶼に及んでいることを日本に保証してきた。米国は確実に、中国による侵略

があった場合には同盟国の味方をすると中国側に警告しなければならない。

 だが、米国は安倍首相に対しても、国家主義的な態度を自制する必要があることを明確にしなければな

らない。手遅れになる前に、安倍首相と習主席はアルマゲドンから遠ざかる道を探るべきだ。

ウォール・ストリート・ジャーナル

2014年 1月 29日

               危うい日中関係、ダボス会議の安倍発言で脚光浴びる

                                               By ANDREW BROWNE

【ダボス(スイス)】安倍晋三首相は、今年の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の主役の一人

となった。22日の基調講演では「日本は復活した」と宣言し、経済の回復について熱く語った。

 だがそれだけではない。記者団に対して首相は、現在の日中関係の緊張を第1次世界大戦開戦前の英国

とドイツの対立と何気なくなぞらえ、これがさらに大きな波紋を投げ掛けた。

 安倍首相は確かに、戦争が始まる見通しはないと明言した。だが、首相発言がきっかけで、ダボス会議

を毎年訪れる銀行家、経営者、政治家などの出席者の間で、経済規模が世界第2位の中国と第3位の日本の

間で武力衝突が起きる可能性が話題に上った。

 ダボスのリゾートで開かれた非公開の夕食会やカクテルパーティーでも、東シナ海に浮かぶ沖縄県・尖

閣諸島(中国名:釣魚島)の領有権をめぐる対立がもとで日本と中国が戦争を始める確率が話題に上っ

た。

 世界経済を動かす力を持つ人々の間で、正真正銘のリスク要因の一つとして本格的な戦争が話題になっ

ているという事実は、それだけでも困った兆候だ。

 日中の政府高官は、侮辱的な言葉の応酬を何週間も続けている。英紙デーリー・テレグラフの報道によ

ると、中国の劉暁明駐英大使は、日本を英人気童話「ハリー・ポッター」シリーズの悪役のヴォルデモー

ト卿になぞらえた。劉大使による日本非難は、安倍首相が12月に靖国神社を参拝したことが引き金となっ

た。アジアでは、靖国神社は広く日本の軍国主義の象徴だとみられている。

 それにしても第1次世界大戦の原因に関する安倍首相の考察や、今のアジアが当時と似た状況にあると

の見方への衝撃は大きい。第1次大戦開戦(1914年)後100年を迎えた今年、歴史学者や安全保障に詳しい

専門家の間でそうした話題が広く論じられているとしても、だ。

 安倍首相の発言についてコメントを求められた中国外務省の秦剛報道官は「軍備増強と戦争への準備」

を進めているとして、安倍首相を非難した。

 米政府の諮問機関である国家情報会議の議長を務めた経歴を持つハーバード大学のジョセフ・ナイ教授

は、歴史が伝える「警告」は理解できるが、「第1次世界大戦との類推を誇張し過ぎるのは危険だ」と話

した。当時の世界は現在とかなり違うとの見方も示した。

 まず、100年前と違い、現在の世界には核抑止力が備わっている。日本にはアジアの警察官を自認する

米国の強い後ろ盾がある。その米国は、尖閣諸島も日米安保条約の対象範囲内だとの見方を明らかにし

た。つまり、たとえ限定的な紛争であっても、始まれば米中間の核兵器をめぐる対決につながるのではな

いかとの不安がすぐに浮上することになる。

 愛国的なパフォーマンスが日本でも中国でも国内政治面で有利に働くのは事実だが、大胆かつ困難な経

済改革を集中的に進めている両国の政治指導者らにとり、外交関係の緊張が始末に負えないほど深刻化す

ることを回避したいと考える理由は十分にある。

 いわゆる「アベノミクス」が長期的な成功を収めるかどうかについての確証はどこにもないが、日本経

済は安倍政権下で、ここ20年余りで初めて活気が戻った兆候を見せている。

 一方の中国では、より低率ながらも持続性のある成長を達成しようと、習近平国家主席が国内経済の微

妙なかじ取りに専念している。

 ただ一つ、不確定要素がある。北朝鮮だ。北朝鮮は中国も含む全ての近隣諸国への脅威であり、ごく小

さな領土をめぐっての対立は避けたいと周辺国政府に思い直させる勢力になる可能性がある。核兵器保有

国でさらに不安定さを増している北朝鮮政府は、地域の当事者間の対立にうまくつけ込む方法を常に探っ

ている国だ。外交上の緊張はすでに、そんな北朝鮮の思うつぼとなっている。

 日本による朝鮮半島侵攻と容赦のない植民地支配という古傷が安倍首相の靖国参拝をきっかけに開いた

ことから、日本と韓国の関係はさらに悪化している。

 一方で米国は首相の靖国参拝に失望を示し、将来的な参拝を控えるよう要請している。参拝で日米関係

が試された格好だ。

 今のアジアの急発進を支えた基盤はもちろん、地域の平和だ。平和こそが、世界経済の原動力となって

いる地域の繁栄を支えている。中国は自ら、平和な国際環境なしでは経済成長を完遂できないとの見方を

長い間にわたり示してきた。

 それでも、戦争が起きる可能性は完全に排除できない。国内で強く支持される愛国主義的な圧力にさら

されている両国の指導者にとって、何らかの事件をきっかけに対立姿勢を強めずにいるのは容易ではな

い。例えば、海上自衛隊輸送艦と中国のトロール漁船が衝突した2010年の事件は、日中対立の大きな火種

となった。

 ハーバード大のナイ教授によると、同じような出来事が今、発生する「可能性は十分にある」。そうな

った場合の結果は、事態の深刻化がどのように抑制されるか次第だ、と指摘した。 

 ただ同教授は「戦争にはならないと、けっこう楽観的にみている」と述べた。

全3ページ

[1] [2] [3]

[ 次のページ ]


.
ヨウスケドン2
ヨウスケドン2
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
友だち(1)
  • タカマル
友だち一覧

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

標準グループ

登録されていません

Yahoo!からのお知らせ

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

CMで話題のふるさと納税サイトさとふる
毎日お礼品ランキング更新中!
2019年のふるさと納税は≪12/31まで≫

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事