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長引く経済不況は未だに出口が見えない。
バブルがはじけて既に15年以上経過したが、中小企業にとって明るい兆しはまだ遠いようだ。
一時期は景気回復などと言われることもあったが、
それは上場企業レベルでの統廃合やリストラが進んだ結果であって、
中小企業にとっては関係のない話だった。
若者は就職できずに日雇い労働をしたり、ニート、フリーター、ネットカフェ難民などになっている。
学生は家計が苦しいためにやむなく通学をあきらめて中退するケースも増えているようだ。
現時点で何らかの事情で高校を中退した学生は140万人に上るそうだ。
民間企業が偽装問題に関わるのも、長引く経済不況と無関係ではあるまい。
しかしながら政府を頼りにしたところで、
15年以上も何もできない公的機関にこれ以上期待する方が無理だろう。
したがって我々一般国民が自分たちで何らかのアイディアを持って道を切り開くしかない。
現状では原油高騰、米国のサブプライム問題も影響が大きく、あらゆる物価が上昇していることからも、
単に何らかの商品を販売するといった発想は、既に過去の遺物と見なすべきであろう。
社会問題を解決すると同時に、問題解決を図りながら自らの生計を立てていくためのシステムが必要だ。
それをなし得るのは公的機関でもなく、NGOでもなく、「社会起業家」ではないかと思う。
公的機関に所属する公務員達は、民間企業の痛みや一般の消費者の痛みは理解できないのであろう。
何しろ自分たちの懐が痛むわけではないのだから。
またNGOでは善意のみが先走り、長期的に活動を継続していくことは困難である。
潔癖性の日本人は「収益=罪悪」という観念が捨て切れないようで、
実際に活動する際にあらゆる面で「予算」が必要であることは概念として持ち合わせないようだ。
このため既存のNGOも会費や助成金だけに頼り、自らの力で予算を獲得することは不可能だ。
社会起業家はビジネスを用いて社会貢献に取り組むため、独力で予算を確保し、
獲得した予算で活動を継続することが可能である。
現在の日本でこれだけ多くの社会問題があることを考えると、
需要は相当な規模に上るのではないだろうか。
住友化学はアフリカ地域において、蚊の進入を防ぐ蚊帳を開発して販売したところ、
膨大な規模の販売に結びついたそうだ。
WHOからは適切な収益を確保して、さらに販売を継続できるようコメントがあったようだ。
このような事業こそ、需要を獲得しながらビジネスとして成立することで、
長期的に継続できるのではないだろうか。
先にご紹介したバングラデシュで開設されたグラミン銀行も同様に社会企業家の働きである。
開設者はノーベル賞まで受賞したが、一般に日本で考えられる収益無しのボランティアとは異なる。
何らかの形で収益を確保することで、事業として継続的かつ拡張していく可能性も確保したのである。
現在の日本社会における経済問題、医療問題、教育問題についても、社会起業家の目から見れば、
ビジネスチャンスが多数あるようなもので、事業として成立できるシステムを確保すれば、
社会問題の解決に寄与するだけでなく、それに対応する雇用、就職機会を生み出し、
経済的成長も見込めるのではないだろうか。
もちろん社会起業家になるのも容易な話ではない。
過去の経験や知識が役に立たない時代である。
これまでの経験論や知識を捨てて、ゼロから発想するつもりで社会問題に取り組み、
どのようにすれば事業として成立するのか、社会貢献に対する強い関心とビジネスマインドが必要だ。
続く
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