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成田を出発し、飛行時間14時間を超えた頃に、やっとバグダッド空港に着いた。
背広も自分も長時間の移動でよれよれだった。
飛行機を降りてタラップを経由し、空港建物内に入り、入国管理のカウンターに並んだのだが、
しばらく待っていても係官が誰も来ない。
本当にここに並ぶのかどうかもよく分からなかったが、同行した社長は何度か来ているため、
ここで良いと言う。
長時間の移動でこたえている時に、ずっと立ってままで並んでいるのも大変だったが、
疲労もピークに達した頃、到着して1時間程経過した頃に、始めて係官がカウンターにやってきた。
それから一人一人入念にパスポートを調べてスタンプを押してもらうのが、またゆっくり、じっくりとした作業だった。列の後方にいた自分の番がやってきたのは、さらに1時間後程度たった頃であった。
やっと入国管理を抜けて、荷物をピックアップに行ったら、ベルトコンベアには何とまだ荷物が来ていない。あきれるほどゆっくりしている。
さらに税関のチェックは厳しいもので、一人一人の荷物がすべてチェックされていた。
きちんとした税関の規定や基準があるわけではないので、係官の適当な判断で税金が高くなったり低くなったりするため、ご機嫌を損ねることもできない。
既にイラクに滞在している同僚達の荷物があるため、荷物は100kgを超えている。
特に日本のテレビ番組を録画したビデオテープなどを同僚達から要望されているため、これを何とか無事に持ち込みたいので、ひやひやどきどきしながら荷物のチェックを受けた。
いくつかの段ボール箱を開けた後、同僚の私物の小型スピーカーが見つかってしまった。
係官が「これは何だ」と聞くので、「これは病院で耳の検査をするもので、バグダッドのサダム病院に届けなくてはいけないものだ」と言ったら、何と通してもらうことができた。
自分も適当だが、係官も適当だということが分かった。
しかしながら税関を通り抜けた後で気づいたのだが、出迎えの人達と到着ロビーを隔てるガラスの壁に、弾痕がついていた。実際に周囲は銃器を所持した軍人がうろうろしている。
我ながらちょっと無謀だったような気がした。
結局飛行機が空港に着陸してから、出迎えの同僚に会うまでに4時間が経過していた。
時間も現地時間の12時を過ぎており、日本時間で言えば午前5時頃になっていた。
単に空港に到着して建物を出るのに、これだけの労力と時間がかかるとは思わなかった。
疲労を通り越して、目がさえてきてしまった。
続く。
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