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◆33447 歌垣 二 更新
□汎論
 これは仮説である。
 ひとは産まれる前から、子授け祈願、安産祈願、宮まいり、洗礼、七五三、成人式(元服)、良縁祈願、神前結婚、厄除け祈願、葬送。このように誕生前から、往生、さらには年忌の法要、盂蘭盆会……など死後の後々までも祭祀にかかわり、それは自意識のはたらくまえから、自分の意思が反映されなくなった後々までもつづき、一生を通じて祭祀にかかわりがあり、さらに四季の節目において、初詣、節分、初午、鎮守の祭……と、共同社会の齋事がもたれる。
 ひとは自由に生きることを尊ぶが、じつはその一生は産まれる前から、死後に到るまで規矩ともいえる規範というか、規程というべきかの思想のもとにおかれている。生活苦にあえぎ、難病に苦しみ、老後を案じ、死後に不安を抱くのは人として当然のことながら、人智の及ばない世界のことまで斟酌して悩むことなどないはずながら……日々の暮らしに悩みをもつ。すなわち煩悩とともに日々を送っているともいえる。しかし、根源をたどれば自然に発生し自然に還ることは悩むことなど必要ないといえよう。
 人が生きるところにはさまざまな宗教があり、祭祀を行なっている。それは、国や民族、あるいは歴史上その違いがあっても、共通する普遍性は大きいものがあるといえるだろう。その最たるものが【祭】といえるのではなかろうか。
 ひとが成人に達するとごく自然に異性を求めるが、これを祭祀に織り込んで予祝するのが【歌垣・ウタガキ】ではないかと考えられる。ウタガキの思想は、東南アジアに起源を持ち、中国を経て沖縄の御嶽・ウタキ、本土の歌垣、さらには鹿島踊、綾歌などの民謡、各地の盆踊に継承されているといえば過言になるだろうか。
 この広範な地域の古代のウタガキはそのまま稲作の伝来経路を示していると思考する。換言するとウタガキの行なわれている地域に付点をうちそれをつなぐとわが国への稲の伝来経路になりそうである。

地域を特定しやすくするため行政コード番号は変更せず、従前のままです。
20120520 更新















◆33447 歌垣 更新

□汎論
 これは仮説である。
 耳に快い響きを与えることばというものがある。
【歌垣・うたがき】ということばもそのひとつである。大阪府能勢町に【歌垣山】とよぶ山がある。京都府亀岡市の湯の花温泉から大阪府兵庫県川西市の妙見さんにいたる、国道四四七号線から分かれてはいる。
 この大阪府能勢町の歌垣山は、茨城県の【筑波山】、熊本県の阿蘇五岳のひとつに数えられる【杵島岳】とともに歌垣の伝承があることで知られる。
 高橋虫麻呂のさくとされる、『萬葉集 第九巻 一七五九』の、

  鷲の住む 筑波の山の 裳羽服津(もはきつ)の その津の上に 率ひて
  未通女壮士(をとめをとこ)の 行き集い かがうかがひに 
  人妻に 吾も交らむ わが妻に 他も言問へ

  この山を うしはく神の 昔より いさめぬわざぞ 今日のみは
  めぐしもな見そ 言もとがむな
                              
は、日をきめて歌垣山にきれいに装った乙女や男性が多く集い、相互に求愛の歌謡を掛けあった【ウタガキ】の情景を詠んだとされている。
 【ウタガキ】は、中国雲南省剣川石寶山では、いまも春と秋の年に二回、ペー族の歌垣が行なわれているといわれ、古代から中国からインドシナ半島、フィリピンやインドネシアにかけて広く行われてきた習俗である。
 つまり東南アジアから、九州、関西、関東地方にかけてウタガキの習俗があったことが知られる。ウタガキには、若い男女たわむれる【カガイ】の古語がある。【カガイとは媾合】のことであろう。
 日本各地で行なわれる盆踊は秋の行事とされることが多いが、その多くは輪踊りといい、三重、四重と輪を重ね、その輪ごとに左まわり、右まわりとなって踊りにめぐるかたちをとる。古代からつづく集団お見合いでもあった。その思想にはウタガキが宿る。
 ウタガキの淵源は祭祀にさかのぼり、転化したことばに【宴・うたげ】がある。うたげとは神と人とが収穫を祝ってともにいただく【饗・なおらい】から一般化した言葉のようで、神を交えない【宴会】はよく行なわれ、結婚式のあとでおこなわれる【うたげ】は披露宴である。
 岐阜県の飛騨地方には、思いがけないいただきものをしたときなど【うたていこっちゃ】といって、厚くお礼の言葉を述べる習慣がある。この【ウタテイ】も語源にはウタガキがあるように思える。
 杵島岳の【杵・キ】は、長崎県の【彼杵・そのき】、出雲の【杵築大社】など、【祭祀を行なう場所】の意味があると考えられる。杵には【きね】の意味もあるが、基本の【杵・き】のことで、佛具の金剛杵(こんごうしょ)の杵とおなじ。【杵は鉾】と考えられ、のちに【鉾・ほこ】へと変化し、山上に鉾を立てて神を迎える祭祀形態が完成している。山車は京都の祗園祭をはじめ鉾がたてられる。もとは【杵】であり、神の依代といえよう。ひとびとが意識して神を迎える用具を用いた祭祀の原点ともいえる。
 つまり、ウタガキとは、祭祀を行なう場所から転じた語彙であり、沖縄の【御嶽・ウタキ】も同義といえるのではなかろうか。

地域を特定しやすくするため行政コード番号は変更せず、従前のままです。
20120520 更新

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