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近くの駅から汽車に乗りました。貨車に乗せられたので外の景色は見えません。
汽車は北上しているようでした。汽車の中で上官からの伝言が伝えられました。
南方へ行く汽車が不通なので、これから北へ迂回しウラジオストック経由で日
本へ帰国する。
という内容でした。
私は、上官からの指示なので日本へ帰れると思っていました。しかし、心の隅
では、不可侵条約を破ったソ連のことだから日本へ帰れるのは嘘であろうとい
う考えもありました。
汽車の中ではソ連兵が「ダモイ、ダモイ(帰れるぞ!帰れるぞ)」と叫んでいま
した。
貨車に入れられたので外の景色が見られるのは食料の調達のときだけでした。
新京の駅に止まったときでした。日本の敗戦を機に南下する汽車、北上する汽
車で駅構内は混雑していました。全ての汽車は日本人でギュウギュウ詰めの状態
でした。日本の戦車が今まさに貨車に乗せられどこかにもっていかれようとして
いました。
戦火の影響でしょうか、それとも内乱のせいでしょうか汽車は、ひとつの駅で
何日も停車するときが多くありました。一ヶ月あまり汽車に乗せられていました。
汽車の中では、どこからソ連へ渡るのかが予想されていました。
汽車は北上しているということは、黒竜江を渡るのだろう・・・・。
そうすると渡し舟がある港町だろう。
多分、黒河だろう・・・・。
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