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今からおおよそ30年も前になるか、俺は網走刑務所へ5年服役した。辛かったなあ。あの頃は刑務所も酷かったよ。夏暑く、冬は死ぬほど寒かった。
あんたら、網走刑務所、見たことあるか。真冬は腰まで雪が降り、向こう側は山、国道側は網走川、殆ど逃げることは不可能な刑務所だった。網走川から毎日大量の湯気が上がっている。それは大気がマイナス20度、30度になると川の水が温かいものだから湯気が上がる。逃げるにはどんなことがあっても川に入らないと不可能だ。山に逃げたら凍死するだろうが、まして足跡が点々と雪に残りいくら逃げても必ずつかまるんだよ。
川に入っている間は絶対死ぬことはないが、陸に上がった瞬間気温差で心臓が止まってしまう。山に逃げるより真冬、川に入ったほうが確実に凍死するんだよ。俺の罪状は「強姦、婦女暴行」だった。常習犯だから仕方ない。手口はこうだよ。教えるけど真似するな。
真夏の暑い夜、札幌が一番仕事しやすかった。札幌は本州と違って熱帯夜が少ない、だからエアコンの家が滅多にない。暑いから窓を少し開けて寝る家が多いだろうが。俺はそういう家に深夜3時ごろ窓からこっそり夫婦の寝室に入り込む。そして奥さんの蒲団に静かにもぐりこむ。殆どの奥さんは俺のナメクジのような舌をだんなと勘違いし流れに身を任すんだよ。終ったら、こっそり窓から逃げ出すんだ。殆ど成功した。翌朝、すっかり忘れている奥さんも多いという。被害届のあった分だけ俺は認めたよ。
でもなあ、いつかはばれるもんだ。あの頃は若かったなあ。暑い夜は殆どこのように窓の開いている家を物色し、入ったものよ。時々、ビディオレンタルで高倉健さんの網走番外地を見て、若い頃を想い出すんだよ。ところが、あの格好いい健さんが亡くなったと知り、俺は驚愕した。健さんを演じられる映画俳優はどこにもいないよ、もう二度と健さんのような俳優は出てこないよ。
健さんの笑顔を見て、俺は、年老いた俺は涙を流した。もう二度と悪い事はしない。そう心にきめた。健さん、さようなら。出来ればもう一度目を開けてくれよ。だって、あんた、映画を撮る予定だったんだろう。悔しいなあ。あなたは、ほんまもんの日本男児だったよ。
了
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何かが終わったような気分だね、残念。外国人に日本の男はどんな人なんだ?と聞かれたら、健さんだ!と答えてた。
でもこれから又同じ質問されて健さんだ!と答えたら、あ〜志村健ね。ちがうわ〜〜〜
[ 空想じじい ]
2014/11/20(木) 午後 8:05
網走刑務所へは観光でいったことがあるの
その日は夏で爽やかで気持ち良かったけど…
旦那と勘違いするわけないわぁ
気持ち良かったから〜〜勘違いのフリ^ - ^
ナイスでーす❤️
2014/11/20(木) 午後 9:18