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44年前の今日、アフロ・アメリカン・ミュージックの伝統を胸に抱く闘うテナー・マンが、歴史的セッションを繰り広げた。 ■アルバム/アーティスト■ ライヴ・イン・サンフランシスコ/アーチー・シェップ ■楽曲リスト■ 01. Keep Your Heart Right, キープ・ユア・ハート・ライト 02. The Lady Sings The Blues, ザ・レディ・シングス・ザ・ブルース 03. Sylvia, シルヴィア 04. The Wedding, ザ・ウェディング 05. Wherever June Bugs Go, ホエレヴァー・ジューン・バグス・ゴー 06. In A Sentimental Mood, イン・ア・センチメンタル・ムード ■パーソネル■ アーチー・シェップ(ts, p-03)、ラズウェル・ラッド(tb)、ビーヴァー・ハリス(ds)、ドナルド・ギャレット、ルイス・ウォレル(b) ■録音■ 1966年2月19日 BOTH/AND CLUB, San Francisco ■レーヴェル■ IMPULSE ■効能■ 60年代にジャズ・シーンを席捲したフリー・ジャズ・ムーヴメント。 その主役となったのはセシル・テイラーと、ジョン・コルトレーン。そして2人の先輩を追うように登場したアーチー・シェップだった。 このアルバムは、テナー・サックス1本でラディカルなフリー・スタイルを貫いたシェップの代表作であり、フリー・ジャズの名盤として必ず挙げられる傑作である。 シェップの音楽的ルーツは、アフロ・アメリカンの伝統的なサウンドである。 従って、同じテナーのコルトレーンやファラオ・サンダースとは違って、シェップのテナーの響きには叙情味に溢れている。 粗くざらざらした音色で、吹奏スタイルは攻撃的だが、音楽家として響きに愛が籠っている。 そして、無秩序な演奏をフリーとするレッテルは、シェップには通用しない。 フリーキーでありながら計算された構成美。混沌とした世界の中で行く先を定めた遊泳。 それはスタンダードの06「In A Sentimental Mood」を耳にすれば如実に理解できるであろう。 メロディに入るまでのシェップの独唱。独りで咽び泣くテナーの響きは圧巻である。 それから突然メロディを奏でるバラード・プレイへと移る瞬間に、伝統を重んじるシェップの心が見えてくるのだ。正に度肝を抜かれてしまう。 編成にも、シェップの拘りが伺える。 フロントにラズウェル・ラッドのトロンボーンを配し、ダブル・ベースのピアノレス。シェップのエモーショナルで独特なスタイルを支えるユニークなクインテット・アンサンブルだ。 特にシェップのオリジナル05「Wherever June Bugs Go」におけるラッドのトロンボーンの響きは、テナーに負けないアグレッシヴさ。圧倒的なブローイングでシェップと共にひたすら突き進む。 観客たちはただ口をあんぐりと開け、音塊の洗礼を受けたことだろう。 フリーというフォーマットに構築されたシェップの情熱は、普遍的な“美”を孕(はら)む。 願わくばフリーというスタイルを“知る”前に“わからない”と避けて通ることだけは止めて欲しい。 最後に、ピアニストのセシル・テイラーの言葉を記そう。 「フリーに演奏することがどれだけ難しいことか。何でもありと思われているようだが、理論的に裏付けのないことを垂れ流しのようにやっても、それは自己満足で終わるだけだし、そんな音楽はすぐに認められなくなってしまう。わたしたちのような演奏をしているものほどジャズの伝統は重要になってくる。アーチーにもそれが分かっているようだ(90年)」 ■所有■
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