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自分と向き合ってみる。
心を穏やかにし、そして自分に訊ねてみる。
「元気か?」
「幸せか?」
「淋しくないか?」
「今を感謝してるか?」
考えてみたら、わたしは独りでいる時間が眠る時間を含め長い。
なのに日常の様々な事柄を、整理する心の余裕がない。
「引きずっていないか?」
過去のことは、すべて今の自分のためにある。
そう強がってみせて、最後にこう訊ねる。
「自分を好きでいるか?」
■アルバム/アーティスト■
自己との対話/ビル・エヴァンス ■楽曲リスト■
01. ラウンド・ミッドナイト 02. ハウ・アバウト・ユー 03. スパルタカス 愛のテーマ 04. ブルー・モンク 05. 星影のステラ 06. ヘイ・ゼア 07. N.Y.C.'S ノー・ラーク 08. ジャスト・ユー、ジャスト・ミー 09. ベムシャ・スウィング 10. ア・スリーパイング・ビー ■パーソネル■
ビル・エヴァンス(p) ■録音■
1963年2月6日、5月20日(03, 04) ■レーヴェル■
VERVE ■効能■
48年前の今日、ビル・エヴァンスは独りピアノと対峙した。 己に係わるすべての事柄や想いを胸に、自らを鍵盤へ問い掛けた。
エヴァンスは、ピアノ・トリオをメインに数多くのリリカルな演奏を遺したが、実験的要素の強い作品も少なくない。
特にこのアルバム「自己との対話」では、ピアノの三重録音を試みた。
この後も、ピアノの多重録音による作品を数作遺しているが、これが最初の試みであった。
トリオの重要なパートナーであり、ベーシストのスコッロ・ラファロを交通事故で失い、深い悲しみに暮れたエヴァンスは己と対話することで新しい己を模索したのである。
ここに記録された多くはスタンダードであり、それを多重録音することで既発表曲の新しい魅力を生み出そうとした。否、言い換えればスタンダードの名曲に今の己を表現したのだ。
セロニアス・モンクの楽曲を3曲採り上げたのも、モンクの独創的な音楽をピアノというフィルターを通して自分のスタイルを見つめ直したのだろう。
そしてアルバム中唯一のオリジナル07『N.Y.C.'S ノー・ラーク』には、自己との対話を心から楽しんでいる様子が記録されている。
このときエヴァンスはナルシシズムという観点からでなく、自分を_自分の奏でる音を愛したに違いない。
ネットの高速普及、デジタルの驚異的な拡がり、そして底辺への落とし穴。
時代は加速度的に進み、明と暗が浮き彫りになっていく。 自分を見失わないために、時には己の心に話し掛けてみよう。
「自分を好きでいるか?」と。
■所有■
紙ジャケCD |

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