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昨日はマイルスのアコースティック期の名盤をセレクトしてみましたが、今日は後編。エレクトリック・マイルスの傑作のご紹介です。
― Columbia 期 ―
1.マイルス・デイヴィス 『 In A Silent Way (1969) 』▼
マイルスがジャズにエレクトリック楽器を持ち込んだ、画期的作品。
フュージョンの先駆けとなったことでも有名です。
ジョー・ザヴィヌルとジョン・マクラフリンの初参加が音楽界に新風を吹き込みました。
タイトル曲「イン・ア・サイレント・ウエイ」はいつ聴いても新鮮です。
先日NHKの紀行もので、エジプトの特集があったのですが、その時にエンディング・テーマとして使用されてました。すごくかっこよかったのですよ!
2.マイルス・デイヴィス 『 Bitches Brew (1969) 』▼
エレクトリック・マイルスを代表する2枚組みの超大作ですね。
『カインド・オブ・ブルー』とほぼ同じくらいのペースで現在でも売れ続けているモンスター・アルバム。マイルスのパワー、恐るべし。
この中から1曲を選ぶとなると。。やはり「スパニッシュ・キー」でしょうか。みなさんは如何?
3.マイルス・デイヴィス 『 Miles Davis At Fillmore (1970) 』▼
キース・ジャレット加入後に行われた傑作ライヴですね。
キースのオルガンとチックのエレピ。そしてマイルスのペットがとにかく熱い。
楽曲のタイトルが「水曜日のマイルス」「木曜日のマイルス」「金曜日のマイルス」「土曜日のマイルス」となってるところが面白い。
特に「金曜日のマイルス」のブート(海賊盤)がお薦めです。
4.マイルス・デイヴィス 『 On The Corner (1972) 』▼
最近になってコンプリート・ボックスが出た、ファンク・マイルスの傑作。
'68年に脱退したハービー・ハンコックが呼び戻され、チック、マクラフリン、オルガンのロニー・リストン・スミスとオールスター・セッションの様相。
中では「ブラック・サテン」が好きかなぁ。
5.マイルス・デイヴィス 『 Get Up With It (1970〜74) 』▼
'75年に突如音楽界から『引退』するマイルス。このアルバムは4年間に渡るマイルスのコンピ的なものだが、その内容は格別濃厚。バラバラのエレメンツなのに散漫なイメージはない。ジャケットもかっこいい。
「エムトゥーメ」の哀愁溢れるメロディは堪らん!マイルスの代表曲だ。
聴き込めば聴き込むほどに惚れこんでしまう、隠れ名盤である。
― カムバック・マイルス ―
6.マイルス・デイヴィス 『 We Want Miles (1981) 』▼
マイルス忽然の引退から6年。ファンをヤキモキさせ、遂に'81年『The Man With The Horn』を引っさげて復活。
このアルバムは新生マイルスのライヴを収めたもの。
鮮烈な黄色のジャケが、レコード店に眩しく輝いていたのを思い出します。
マイルスのレコードを語る上で外せない人物が、プロデューサーのテオ・マセロ。
長尺ものが多かったマイルス・サウンドにハサミを入れて編集していた人です。マイルスが絶大なる信頼を寄せていました。
他のメンバーにとっては悲惨な結果を招くわけですが。。その理由はまた次の機会。。
7.マイルス・デイヴィス 『 You're Under Arrest (1985) 』▼
復活したマイルス、この頃は絶好調でした。だって対抗意識を剥き出しにした相手が、マイケル・ジャクソンとプリンスだったのですから。
このアルバムではポップ路線を踏襲し、売ることに全力を注いだ感があるが、流石はマイルス、傑作である。
マイケルの「ヒューマン・ネイチャー」、盟友ギル・エヴァンスのアレンジによるシンディー・ローパーの「タイム・アフター・タイム」をカヴァーし、オレ様を聴け!とばかりに銃を構えるマイルス。いやぁ、降参。。
バック・メンバーも凄いです。ブランフォード・マルサリスにダリル・ジョーンズにジョン・スコフィールドに帰ってきたマクラフリン。。あぁ、目が回る。
― Warner Bros. 期 ―
8.マイルス・デイヴィス 『 TUTU (1986) 』▼
マイルス、ワーナー移籍第1作。
当時若干27歳だったベーシスト兼アレンジャーのマーカス・ミラーにプロダクションを委ねた、後期マイルスを代表する傑作。
潔いジャケ写は世界的カメラマン、アービング・ペンのてによるもの。
ちなみにタイトルの『TUTU』だが、間違って読んでる方が多いので改めて。「ツツ」と呼びます。ノーベル平和賞を受賞した反アパルトヘイト運動の旗手、デズモンド・ツツのこと。
シンセサイザーを多用した打ち込みの世界に、マイルスの熱のこもった一発が魅力です。
このアルバムからラスト・アルバムとなった『 Doo-Bop (1991) 』まで、マイルスはサウンド・プロダクションを有能なアーティストにほとんど任せるようになった。
しかし、彼のトランペットの音は、『Cockin'』とは変わりがない。サウンドは変わっても、マイルスの音楽に対する熱き心は変わっていない。一貫してマイルスの音楽はマイルスそのものだったのだ。
― 番外 ―
9.マイルス・デイヴィス 『死刑台のエレベーター - Ascenseur Pour L'Echafaud (Lift To The Scaffold) (1958) 』▼
当時ジャズが盛んだったフランスで録音された、マイルス初のオリジナル・サウンド・トラック。
わたしがマイルスの魅力に初めて触れたのは、実はこのルイ・マル監督の映画からだった。
ジャンヌ・モローの美しさ、綿密なプロット。完璧なカメラ・ワーク。そして、それらを更に輝かしてくれたマイルスのトランペット。
この映画はマイルス抜きでは語れない。
夜の街を彷徨うように歩くモローに被さるマイルスのトランペット。即興演奏の極みだ。
以後、わたしがヌーヴェルヴァーグに嵌ったのも、実はマイルスのおかげだったのかも知れない。
ジャズ界の帝王、そして音楽界の試金石となった、マイルス・デイヴィス。
マイルスという宇宙で、わたしはいつまでも遊泳を続けるだろう。
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