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私は今回のアメリカ発の世界同時不況は、日本にとっても世界にとってもなくてはならないものだと思っている。毎年、日本では夏になると激しい台風がやってきて、地上に溜まった汚い空気を一掃してくれるが、この世界的な不況もまた世界中に溜まった経済的・政治的な汚れを一掃してくれものだと私は思っている。
確かにこの不況によって、産業界はかなり深刻な打撃を受けているし、多くの人々が解雇されたり、賃金をカットされるなど、個人的にも大変な思いを強いられている。中にはネットカフェに入り浸ったり、ホームレスになったりと惨憺たる状況にある人もいる。しかし、このような壮絶な苦境の中で這い上がっていける人間こそ、真に知恵のある人間であり、真に力のある人間である。そして、この不況が終わった暁には、そうやって苦難を乗り越えた人間こそが多くの発展的な仕事を成していくだろう。そして、逆にそれほど賢くもない者、怠慢な者たちは、その無能さ怠慢さが露呈され、恥をかいて退くことになるだろう。日本のバブルが弾けたときもちょうどそんな淘汰が起きたが、今回のこの不況によってさらに過酷な淘汰が進んでいくはずである。だから、私はこの激しい不況を日本にとっても世界にとっても有益なことであり、なくてはならないものだと考えているのだ。
このブログではこれまでに何度か環境問題についても論じてきたが、この不況は地球の環境にとってもまたちょうど良いものである。トヨタやホンダを始めとした自動車産業がピンチに陥り、アメリカでもGMなどビックスリーと呼ばれる自動車会社が経営危機に陥っているが、彼らの発展はある意味、愚かな浪費家たちのためにムダに自動車を作って、ムダに自動車を乗り回して、ムダに石油を浪費するという地球資源のムダ遣いに繋がっていた。昔から経済活動と環境問題とは相反し、経済活動が活発化すれば、地球の資源が削られ、地球が汚染されるという矛盾が生じていたわけだが、こうして産業界が低迷することによって、ムダに資源が浪費されることなく、地球の環境にとってもちょうど良い状態が始まったのである。これこそが本当の環境保護ではないか。無意味なリサイクルな排出権取引をするより、よほど有効なエコ活動である。
個人個人にとってみても、この不況によって明日は我が身だと気を引き締め、家計を節約したり、ムダな浪費を抑えたりといったことを学びはじめた人々が出てきたに違いない。家計に無頓着だった旦那が、妻と協力して光熱費やら食費やらを倹約しはじめたという家庭もちらほらと出てきたはずである。弥が上にも省エネせずにはいられない状況になったわけだ。
考えてみれば、日本がバブルで浮かれていた頃、人々の心は弛緩し、モラルハザードは完全に崩れていた。真面目に生きようと努力すると、かえって周囲からバカにされ、肩身の狭い思いをしなければならない時代だった。そして逆に、何の努力もせずに株や不動産で金儲けした人々が偉そうに大手を広げて街を闊歩していた。だが、やがてバブルが弾け、楽して金儲けをしようとした人々は痛い目に遭い、多くの人々が真面目にこつこつと働くべきだと目覚めるようになった。日本中の人々の認識が完全に変わったのである。しかし、またしばらく時間が経つと、ホリエモンはじめ多くの拝金主義者たちがマスメディアを賑わしはじめ、多くの人々もまた金に目がくらんで、投資やらデリバティブやらに殺到するようになった。デイトレードなるものが流行しだしたのもこの頃からだった。神はそんな人間の営みを見て不快に思い、二度とこんな愚かな過ちを繰り返さないように、この不況を通して徹底的に人間どもを痛めつけたのである。
確かにこのような不況が長く続くと、治安が悪化することも事実である。特に金をめぐる犯罪やトラブルは頻発するに違いない。だが、不況になったからといって犯罪を犯したり問題を起こしたりするような人は、不況にならなくても同じようなことをする人間である。本当に真面目な人間は、どんな状況に陥っても悪いことに手を染めたりせず、真っ当な方法で危機を乗り越えようとするものだ。つまり、このような厳しい時期に悪い人間はその性悪さが露呈され、正しい人間は逆にその正しさが人々の前で証明されていくわけである。日本の政治でいえば、官僚にべったりと自民党がこの不況によってその無能さがはっきりと露呈され、人々は日本の政治にCHANGEを突きつけている。この不況によって日本の政治の膿もきれいに洗い流されていくことだろう。
もちろん、この世界同時不況が明けた後も、懲りることなく悪人たちはまた安易な金儲けをして、傲慢な顔で活躍の場を広げていくことだろう。それはもはや仕方のないことだし、所詮、この世の中はそんなものなのだ。だが、彼らのその悪はまた次に襲いかかる危機によって綺麗に洗い流されるはずである。歴史というのは、結局そんなことの繰り返しなのだと私は思う。とはいえ、私個人は今しばらくはまだこの不況が続くと思っているし、むしろ時とともに経済状況はさらに悪化していくだろうと見ている。その根拠は幾つかあるが、それについてはまた機会を改めて書くことにしようと思う。
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