おもうこと かんじること

ワークライフバランス、リーダーシップと組織変革がテーマ。

行政と経営

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いかに行政としての責務を果たしていくか。お役所仕事に辟易していませんか? どうにかしてもっと政府はまともになってほしいと思いませんか?
経営という観点に1つのヒントが隠されていると思います。
ここでは本などを読んで感じたこと、大学院で学んだことなどを書いていきたいと思っています。
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今日はちょっと趣向を変えて。

インディアナ大学の図書館では、1週間遅れくらいではありますが、朝日新聞が読めます。
で、先日目を通していたところ、とあるコラムのような記事の中で、元首相の田中角栄氏が生前、揮毫を頼まれるとよく若い人に対して送っていたという言葉(歌)を目にしました。
これがとても心に何か感じさせるものでしたので、備忘録的に、ここに記したいと思いました。

末ついに 海となるべき山水も しばし木の葉の 下くぐるなり

いろいろな解釈ができるのかもしれませんが、私は、後に大成する人であってもそれはいろいろと苦労・努力もしたからだと、そう受け止めました。

政治家としての頂点を極めた田中角栄氏はまさにこの歌を地でいっていたような、そういう方だったのだろうと、また、快く揮毫を受け、こうした歌を攻勢を担う若い人に送っていたこと、そうしたことが、私の胸に何がしかの印象を残しました。

世間にとっての海にたどり着けるかどうかはわかりませんが、私は私にとっての海にたどり着きたい。
そのためにも、時には木の葉の下をくぐり、苦労と努力を重ね、自己を研鑽し続けなければと、大学院の卒業を目前に控え、改めて感じた次第です。

より良い明日に向かって、決して現状に甘んじることなかれ。Be Proactive !
行政組織の理論と実践というタイトルで、大学院の授業で扱った内容について記事を書いてきましたが、これで終わりとなります。

そして、私の留学生活も残り少なくなってきました。

思えば、New Public Management (新公共経営などと訳されます。)というものを日本で耳にし、その真髄を学びたいと、そういう気持ちを持って渡米をしました。

2年間学んできて思ったことは、組織を運営(Management)という概念そのものが、今の日本の役所にはあまりないのかなということ、そのものの日本の役所にとっての重要性、それに、Public Management に「New」なんてものはなくて、絶えず先人達の努力の上に効率的・効果的な組織運営のあり方とはという議論がなされているのだと、そういうことを実感したことです。

日本の役所は、まさに官僚制を体現していると、私は感じています。徐々に変わりつつあるのかもしれませんけれど。それについては、一長一短はある。
でも、時代の要請に応じ切れていないのではないか、そうした危惧を感じます。
これについては、これまでも記事を書いてきました。

組織を運営する。組織とは当然人と人によって構成されているわけで、組織成員のモチベーション、リーダーシップの在り方、そうしたものに組織の有効性が規定されることは、否めない。

日本の役所が、時代の変化に対応し、その要請に応じるためには、今一度、そうした組織行動論的な側面に焦点を当てるべきなのではないか、そう思っています。

NPMといい、民営化だとはやしたて、小さな政府を志向する、それは私も同意できます。でも、器が変わっても中が変わらなければ、ダメなのではないか。

器が変われば中身もそれに応じて変わるかもしれない、でも中身だって器の要請なく変わることだってできるはず。

そして、世論などの外圧は重要ですが、公務員自身が、中身を変えることだってできるはず。そう信じています。

だから、これからもリーダーシップ、組織変革という、留学を通して関心を抱いたものについて、引き続き学んでいきたいと考えています。
Change! Change! Change!

どうやって組織の変革を導いていくか。上手くいく組織変革とはどのようなものか。
時代の流れに合わせて組織が変わっていかなければならない以上、どうやってそれを上手く導くかというのは非常に重要な命題だと思います。

組織変革といえば、ハーバード・ビジネス・スクールのコッター教授(Kotter)が良く知られていますね。”Leading Change”という本を書いた方で、日本でも「企業変革力」という名で売られています。

コッターは、変革のための8つのプロセスを示しました。

深入りは避けますが、その8つとは、危機意識の醸成、変革のための仲間を見つける、ビジョンを創る、ビジョンを伝える、ビジョンに向かって行動できるよう他者を力づける、短期的な成功を収める、改善を確立し更なる変化を生み出す、こうした新しい方法を制度化する、です。

実は、コッターの前にも同様の議論をしている研究者がいます。
グレイナー(Greiner)は、1967年に、上手くいく組織の変化のパターンについていくつかの条件や段階を論文にまとめています。

これも8つあるのですが、組織内外からの変化への圧力、チェンジ・リーダーとして新しい人物の登場若しくは外部のコンサルタント、トップマネジメントの参画、トップから現場に至る様々なレベルでの調査・分析、多くの人間を巻き込んだ問題分析・解決策の提示、小さなことから試してみる、それにより成功が強化されること、です。

授業で扱った教科書では、これら2名のポイントを押さえた上で、上手くいく組織変革の共通項として以下のことを述べています。

・変化の必要性を広くしっかりと認識すること
・経営層(トップマネジメント)の支持や強いコミットメントなど、明確で持続的なリーダーシップの存在
・問題分析や解決策の提示などに様々なレベルの多くの関係者(職員や外部の利害関係者)を巻き込むこと
・小さなことから始める、実験的に行う、それらの成功・失敗のフィードバックを活かすなど、柔軟で漸進的に行うこと

では、グレイナーからコッターにいたる30年の間に何が新しく指摘されるようになったかというと、それは以下の重要性です

・ビジョン
・変革のための同士・仲間を見つけ協働
・共有された価値(shared value)

ビジョンや共有された価値については、これまでも何度もこのブログでも書いてきましたので、ここではあまり述べません。

その代わりに1つ面白いと思うのは、30年前には外部からのチェンジ・リーダーという1人(若しくは複数)の先導する人物が強調されていたのに対して、現在は内部における変革のための「集団」が力強く協働していることが強調されていることです。
1人のカリスマ的なリーダーの登場よりも、価値やビジョンを共有した仲間・同士が力強く協働することによって、今の時代の組織変革は上手く進めることができる、そういうことだと思います。

この組織変革というテーマ、霞ヶ関にいる自分としては、本当に深く考えたい、そしてできることなら実行したい、そういうテーマだと感じています。
もっともっと色々と学ばなければと思っています。

先日リーダーシップ入門!という記事でご紹介しました神戸大学の金井教授は、組織変革についても研究されており、「組織変革のビジョン」本を出されています。
読み込んで、また、このブログ上でご紹介できればと思います。

Rainey, Hal G. 2003. Understanding & Managing Public Organizations, third edition. San Francisco, CA: Jossey-Bass.

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イノベーション(Innovation)、最近良く耳にする言葉です。

大辞泉によると、

1 新機軸。革新。
2 新製品の開発、新生産方式の導入、新市場の開拓、新原料・新資源の開発、新組織の形成などによって、経済発展や景気循環がもたらされるとする概念。シュンペーターの用語。また、狭義には技術革新の意に用いる。

とあります。

行政組織におけるイノベーションとは、新しいサービス、プロセス、組織運営の仕方、新たな部門を作る、などなどのこれまでにない新しい試みをすることによって、組織自体の発展と更なる公益の追求を目指す、そういうことになるのかなと思います。

例えば、行政評価を戦略的に導入し、それを次年度の予算策定や組織内の資源配分に活かす(と口に言うのは簡単で行うのは難しいのですが)といった試みは、イノベーションの1つだと思います。

さて、ボリンズ(Borins)という研究者は、Innovations in American Government Awards というフォード財団とハーバード大学が行っている政府のイノベーションの表彰する試みにおいて優秀とされた217の州や地方政府の事務事業を取り上げ、共通の特徴のようなものの分析をしました。

・変化に対する体系だった考え、計画があること
・他の機関との協働
・新しい技術の適用
・プロセスの改良や組織の再設計
・規制を強化するのではなく、権限委譲や権限付与(empowerment)、職員のインセンティブの重視
・対処的ではなく予防的であること

などを挙げています。

ちなみに、この予防的という言葉に関連しますが、私は、proactive という言葉が好きです。

proactive
【形】 前向きな、積極的な、率先{そっせん}してやる、革新的{かくしんてき}な、活力{かつりょく}のある、主体的{しゅたいてき}な、事前の策を講じた、先を見越{みこ}した、先んじた◆【反】reactive(物事が起こってから反応する)
アルクの英辞郎 on the web より)

受身にならず、単に積極的でもない。
しっかりと先を見越して、何が起こるのか、それに備えて何をすべきか、そうしたことを主体的に考える、そうした姿勢が求められていると思いますし、そうした人間になりたいと思っています。

さて、イノベーションを導く人は誰なのでしょうか。

ぱっと浮かぶのは、もちろん、組織の長だと思います。日本ですと、大臣など政治家ですね。
加えてあと2つ、1つは事務次官や局長など職業公務員の経営層です。もう1つ忘れてならないのが、問題や機会に直面している中間管理職や現場の人間です。

面白いのが、ボリンズの分析の結果、表彰されたイノベーションの半分近くは、中間管理職や現場の人間が主導したものだったということです。

現場の人間、中間管理職の人間は、権限もないから革新なんて起こせない、ついそう考えてしまうかもしれません。
でも、直面していることを一番詳しく知っていることも現場、何が必要かを一番知っているのも現場だと思います。
だから、そうした人間がリーダーシップを発揮し、組織全体を突き動かす努力をすること、それが組織にイノベーションをもたらすために必要なのだと思います。

Rainey, Hal G. 2003. Understanding & Managing Public Organizations, third edition. San Francisco, CA: Jossey-Bass.

行政機関と「競争」

民間企業は激しい競争の中で絶え間ない努力をしている、そうでなければ倒産してしまう。
それに比べて行政機関というものは、独占体であり、倒産もない、お気楽な商売だ。

このように言われることは多いです。良く耳にされると思います。

これについて、本当のようで、どうも本当のようでない、そういう感覚をずっと私は持っていました。
先日、現在受講している科目「行政機関とNPOにおける戦略的マネジメント」の教授であるProf. McGregor(マクレガー教授) に授業の内容について色々と質問をしている中で、これに関連して面白い話がありましたのでご紹介です。

彼は、行政機関だって競争の中にいるんだと、場合によっては民間企業よりも激しい競争かもしれないと、そう私に言いました。
それは、よく言われる上記の視点とは、全く反対の意見です。

まず1つ目。
似たような機関がいくつかあるという事実が、代替物の存在を示していること。

同じような製品を売る企業がいくつかあると、それは競争していることになります。消費者は、Aの製品とBの製品を比べて、より良いほうを買う。Aの製品とBの製品は、代替可能なもの、ということになります。

民主主義というものが一番恐れるもの、それは「独裁」だと私は思います。権力と権限が集中し、一部の意見だけで走ってしまうことができる状況、それを民主主義は恐れます。
だからこそ、民主主義国家は憲法で権力の分散(立法、司法、行政の三権分立など)を規定しています。

行政機関の中においてもそうしたチェック・アンド・バランスを目指す力が働きます。似たようなことを複数の機関に行わせることで、独善的な政策を防ぐと。

彼が例としてあげたのがマクロ経済政策・財政政策を行う機関。
アメリカには、Council of Economic Advisor (CEA), Office of Management and Budget (OMB), Department of Treasury、という行政府内の組織に加え、立法府に置かれている Congressional Budget Office (CBO) という機関がそれぞれ経済・財政政策にかかわる仕事をしています。

同じようなことは日本でも言えて、内閣府の経済財政政策担当部局、財務省、総務省(地方財政)といったところが、経済・財政にかかわる業務を行っています。
役割分担はありますが、きれいに線引きできることなどなく、業務には多かれ少なかれ重なりがもちろんあります。

教授によると、こうした複数の機関が、代替可能なものとみなすことができる。

例えばの話ですが、総務省の地方財政部局の仕事内容・業績があまり芳しくないとする。でも地方財政を担当する部署が必要だ。では、財政なら財務省がお手ものだから、地方財政についても財務省内に担当部局を作って担当させればいいじゃないか。

そういう議論だって、ありえないわけではないのです。

次に2点目。
“Hidden Stimulus” が潜在的な新規参入の役割を果たす。そう教授は言います。

業界が規制でがんじがらめになっていない限りは、とある業界への参入は原則として自由ですし、起業も廃業も普通になされるわけです。新規参入者がいることで、競争が促進される。

さて、Hidden Stimulus とは? 私なりに解釈したところによると、行政機関の直面する、顕在化していないあり得る脅威、のことであると思います。

ちょっと具体的に話をします。

年金問題から端を発して、社会保険庁の改革の話が一時期大きくありました。内部の改革を進めていた一方で、解体の話が出て、決まり、年金事業については「ねんきん事業機構」という機関が引き継ぐことになりました。

業績が上手くいっていないことで、結果的には解体となったわけです。これは、組織の存在に対する脅威が顕在化したと、そういうことになります。

もう1つの例。
簡単に言うと、事業が上手くいっていなかったり業績が芳しくない場合、立法府の審議において予算がカットされる可能性がいくらでもある。いやその前に行政府内の査定でカットされることもある。
ご案内のとおり、予算がカットされればしたいと思っている事務事業ができなくなるわけです。
これも、そうした脅威が顕在化をした例です。

以上2つの点をまとめますと、行政機関も競争に比したものに直面をしており、上手く業績を出さなければ、他の部局に仕事をまわされる、予算をカットされることとなり(事業の縮小)、ひいては組織の解体に繋がる(倒産)。

では、どうして民間企業よりも厳しい競争と教授は私に話したか。
そんなことないだろうと、皆さんはお考えかもしれません。

1つの理由は、これまでこのブログでお話をしてきたことと重なりますが、行政機関は民間企業と比べると目標が曖昧、相互対立なものになりがち、という特徴があります。また、それを達成するための方策も民間企業と曖昧、不確実なものになりがちです。加えて言えば、業績といったものをどのように評価するかも難しい面があります。

したがって、行政機関自身、業績を出しそれを認めてもらうために、何をどのようにすれば良いかということが、しっかりとわからない、掴むことができない、という面があります。

だからこそ、究極的には利益や売上といった比較的可視化できる指標を持つ民間企業と比べ、(擬似的な)競争を勝ち抜くのが困難かもしれない、そういうことだと私は理解しています。

おそらくこの議論の前提は、行政機関の業績が芳しくなかった場合には、組織を解体したり予算をカットしたりするという、立法府や国民の監視の目がしっかりしているという点があると思います。

皆さんはどうお感じになりましたか。それでもやっぱり、行政機関は苦労しなくても倒産しないから楽だなと、そうお考えでしょうか。

ちょっとわかりづらかったらすみません。

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