おもうこと かんじること

ワークライフバランス、リーダーシップと組織変革がテーマ。

行政と経営

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いかに行政としての責務を果たしていくか。お役所仕事に辟易していませんか? どうにかしてもっと政府はまともになってほしいと思いませんか?
経営という観点に1つのヒントが隠されていると思います。
ここでは本などを読んで感じたこと、大学院で学んだことなどを書いていきたいと思っています。
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今回から数回にわたって、組織変革にまつわる話を取り上げます。変化の激しい世の中、組織は変わっていかなければなりません。

中島みゆきの「世情」という歌の歌詞の一部分が頭を過ぎります(なお、歌が全体として言いたいことはここでの趣旨とはあまり関係ありません。あしからず。)。

「世の中はいつも 変わっているから 頑固者だけが悲しい思いをする 変わらないものを 何かにたとえて その度崩れちゃ そいつのせいにする」

行政機関は、頑固者のイメージがありませんか?
悲しい思いをしないためにも、変わるという柔軟さが必要なのではないかと。

話がそれましたが、組織のライフサイクル、4つの段階です(Quinn & Cameron)。

1.起業段階(entrepreneurial stage)
新しい機会を捉えて、何か新しいことを立ち上げる時期。資源を集め、組織を成長しうるものへとしていきます。

2.結束段階(collectivity stage)
使命達成のため皆が結束、それぞれが強いコミットメント(使命に向かって頑張るぞという強い気持ち)を持つ時期です。柔軟で、チームワークを重視します。

3.形式化と管理の段階(formalization and control stage)
軌道に乗り、組織が落ち着いた段階と言えるでしょうか。ルールや手続きが形式として定まって安定的な組織運営となり、構造もしっかりとし、安定的なコントロールを行う、そういう時期です。

4.精緻化の段階(elaboration stage)
第3段階での過度のコントロールや官僚制の弊害に直面をし、分権と協働を柱として、(環境に適応できるよう)より入念に作りこまれた組織となる段階です。前段階での安定性を保ちつつも、新しい方法を探る、組織自身が生まれ変わる、領域を拡げるなどの対応が必要となる時期です。

個人的な意見ですが、おそらく組織内の各部門についてもこうしたことは言えるのではないでしょうか。
組織全体が第4段階に達している時、ある部門が第1段階として始まり、それが組織全体をさらにリフレッシュさせるなどは、考えられるかもしれません。

官庁というのは大きな組織で歴史もあるので、単純視はしづらいかもしれませんが、おそらく、高度成長の時代が第2段階くらい、安定成長期に入ってきて第3段階、現在が第4段階の入り口といった感があります。どうでしょうか。

小さな政府を志向し、様々な取り組みも行われています。
郵政民営化、市場化テストといった、構造そのものをいじる話が中心ですが、いずれ行政組織の運営の仕方、組織文化そのものを変えなければならないという話が出てくると思います。いや、出てこなければいけないと思います。

構造のみを変えたところで、組織の風土、文化、慣習といったものが変わらなければ、地に足着いた変化は生まれないと、私は信じています。

生まれ変わるように新たな精緻な組織として行政組織が生まれるために、今は重要な時期なのではないかと思います。

Rainey, Hal G. 2003. Understanding & Managing Public Organizations, third edition. San Francisco, CA: Jossey-Bass.
私は受講をしませんでしたが、私の通っているインディアナ大学行政環境大学院では、「紛争解決(conflict resolution)や交渉(negotiation)」という名の講義が開講されています。

どうも私には馴染みが薄いようにも感じられたのですが、受講した韓国人の友人に話しを聞くと、留学生は彼1人、他はアメリカ人で教室がほぼ満席になるくらいの盛況な授業だったとのこと。
留学生にとっては馴染みが薄くても、アメリカ人は、このconflict や negotiation というものに少し重きを置いてみているようです。

さて、ここで取り上げている教科書にもconflictに関する話題が少しありました。
その中で、興味を引いたものをご紹介です。

とある研究者によると、営利部門(民間企業)の経営層は衝突や対立といったものを意思決定にマイナスの影響を与えるものとして考えがちであるのに対して、公共部門など非営利部門の経営層はそれらを意思決定の質にプラスの影響を与えるものと考える傾向がある、ということです。

つまり、衝突や対立が意思決定の過程で生じた方が最終的に意思決定の質が高まると、非営利の経営層は考える傾向があるということです。

これは、あまりにも衝突や対立が深刻だったり、それによる溝が大きな問題となったりしない限りは、事実なのだろうと思います。

どうして民間企業と非営利部門の経営層とで、紛争や対立に対する見方が変わるのでしょうか。

その理由として挙げられていることの1つは、非営利部門は、外部環境が複雑(これまでも繰り返し述べてきたとおりです。)であって、多様な関係者のニーズを考慮に入れなければならないこと。
衝突や対立といったものは、それ自体は好ましくないものだけれど、そうした多様な関係者のニーズや目標を明確にするためには必要で、かつ、有意義であると、そういうことだそうです。

確かに、実体験を基にしても、意思決定に際しては色々な人の意見を聞く印象があります。

「各方面から意見を聞きましたっていう言い訳をするためじゃないか」なんて穿った見方をされると困ってしまうのですが、色々な方面からの意見を基に、必要に応じて自らの考えや仮説のようなものを変え、必要であれば相手を説得したりして、そうした意見交換をして意思決定がなされていきます。

もし、我々公務員が独自で誰の意見も聞かずに意思決定をなしていたら、行政の独断だとかそういう批判は横に置いておいたとしても、やっぱり意思決定の質は下がると個人的には感じます。

広く視野を持たなければならないし、そのためには真摯に多様な声に耳を傾けることが一番だからです。

教科書によると、上手くconflictを使うためには、当事者相互の問題をしっかりと認識し、勝ち負けという状況を避けることが必要であること。また、相互信頼が重要で、コミュニケーションチャネルは常にオープンにしておくこと。最後に、共有している使命(shared mission)をお互いが意識することが必要であると、されています。

信頼感を醸成すること、お互いが共通して目指しているもの(shared mission)を意識すること、そうすれば、意見や立場・価値観の違いなどは良い方向に克服できるということだと思います。

Rainey, Hal G. 2003. Understanding & Managing Public Organizations, third edition. San Francisco, CA: Jossey-Bass.
このシリーズの前々回、ついてくる人(フォロワー)の関心・目標をより高次のものに引き上げるリーダーシップ、というような話をしました。

そのためには、リーダーは、直接的に部下をコントロールするのではなく、働く環境や雰囲気・風土といったものに影響を与えようとしなければなりません。

組織文化の醸成です。

・リーダーが何に注目をするか、気にしないか、コントロールするのか、はっきりとさせる

・危機的な状況に際しては、メッセージをしっかりと伝えるような反応をする
危機は、リーダーの不屈の精神、コミットメント(やるぞという言質)、価値といったものを内外に示す良い機会です。

・意図した形で「範を示す」、教える、コーチング
望ましい価値、行動様式を自ら示す、伝える、奨励する。

・報酬、地位、採用や昇進、解雇や罰則についての基準を示す
価値や行動様式に対するメッセージとなります

・目指す文化に見合った組織構造のデザイン
集権的か、分権的か、階層の数は、などなど

・目指す文化に見合った組織内のシステム、ルール作り
ルーティン業務のやり方や、業績測定のあり方などなど

・目指す文化に見合った職場の配置、レイアウト

・価値や規範を示すような物語(ストーリー)を語り継ぐ

・使命や理念を示した公式の声明書をつくる
ミッション・ステートメントです。価値や信条を言語化することは重要です。

・組織文化を、包括的な組織変革として、捉える

個人的に感じるのは、私はこうした形で組織文化を積極的に形づくっていこうとする上司や部署をあまり見たことがないな、ということです。

もちろん、「俺の背中を見てついてこい」という雰囲気の上司の方もいますし、中には尊敬できる方で本当に背中を見てついていきたい方もいます。

一方、上を見てもわかるように、リーダーの積極的な言動によって、組織文化は結構変わりうるという点が重要だと思います。

このブログでも繰り返し述べていますが、リーダー=上司、ではありません。1人1人がリーダーでありうる以上、1人1人が組織文化に影響を持ちうると、私は自己反省も含めて、解釈をしたいと思っています。

Rainey, Hal G. 2003. Understanding & Managing Public Organizations, third edition. San Francisco, CA: Jossey-Bass.

はじめにしっかりと言いたいのですが、私は今進められている公務員の純減自体に、賛成です。見直すべき無駄な事務事業は多いだろうと思いますし、財政も悪化している折、行政だってしっかりとコスト削減に努力をしなければならないことはあまりにも当然だからです。

ただ、上の日経の記事を見て感じたこと。

「団塊の世代の大量定年などを控えた企業は人手不足への懸念を強めており、政府は官から民への人材移転の加速をめざす。」
とあります。

団塊の世代の大量定年は、もうすぐそこにまで迫ってきます。
これまでの知識・技能・経験を培ってきた世代が一斉に退職することは、多くの企業にとっては脅威となっているという話を聞きます。
正確に言えば、「人手不足」、というよりも、退職に伴う経験やノウハウの喪失といったほうが、良い気もします。

ちょっと待ってください、「政府は感から民への人材移転の〜」とありますが、そのノウハウ喪失の脅威、役所にとっても当然に脅威なんじゃないでしょうか。
そういう視点が、忘れられているのならば、ちょっとどうかなと思ったりします。

昨今、有能な人材の獲得戦(war for talent)とか人的資本の危機(human capital crisis)という言葉を聞きます。

私が授業で読んだ教科書にも、政府における human capital crisis が述べられています。

堺屋太一氏に言わせれば「知価社会」、人材は人財であって、有能な人材の獲得・確保がどのような組織にとっても重要な命題となっています。

そのような中で、今のアメリカの若者は政府を働き場所としては魅力的な場所と思っていず、アメリカの連邦政府や州政府も危機感をひしひしと感じなければならない、優秀な人材の獲得・確保に向け、政府は民間と伍していかなければならない、そういう議論がなされています。

ひるがえって、我が国。
少なくとも上記の記事からは、政府における優秀な人材の獲得・確保に対する危機感というものがあまり感じられないと、私は思う。

繰り返しますが、コスト削減のために、業務を見直し、不必要な部分について公務員の数は削減すべきです。

しかしながら、組織が常に高いパフォーマンスをあげるためには、政府においても優秀な人材の獲得・確保は必要です。
ふんぞり返って、「偏差値の高い大学から優秀な奴らが喜んで入る」みたいな驕りは、もしあるのならば、もう時代違いもはなはだしいのではないでしょうか。

役所だって、必死になって、民間企業に負けないくらいの人材を確保しなければなりません。

だから、削減を進めつつも、魅力的な職場環境づくり、民間企業と比べて遜色のない待遇(給料などは難しくても非金銭的な部分はできることもある。)など、若者が公務員になりたいと思うようなインセンティブ、有能な公務員が流出しないようなインセンティブ、そういうものを持った組織にならないといけない。

そのためには、もっともっと、公務員になろうとする人や公務員のモチベーションに、光を当てなければならない。

上記の意味で、記事にある「人手不足」、これは公務員削減を進める役所にとっても、対岸の火事ではないのではないでしょうか。

霞ヶ関の組織改革

「霞ヶ関構造改革・プロジェクトK」、こういう名前の本が先日出されたことは噂に聞いていました。
いかんせん海外在住(しかも田舎)の身、簡単に手が出るものでもないため、未だ拝読するには至っていません。

この本の作者達(平成9年に公務員となった方たち)が書いているこの本などに関するブログが、このYahoo!にあるのをたまたま見つけたので、トラックバックをさせていただきました。

私は年代も近く、おそらく感じていることやその想いも近いのではないかと想像します。

そのブログの記事の中で、マスコミなどに取り上げられると激励もありますが批判もあります、という趣旨の記事があります。

中には、建設的な批判もあるのでしょうが、そうでない、故なき批判のようなものもあるのかもしれません。

でも、1つ、本当に重要だと思えること。

それは、内部の人間が、こうしてしっかりと、自組織の改善のための動いているということです。

霞ヶ関を変えるには外圧しかない、という意見も耳にします。
外圧は確かに必要でしょう。でも、それは、どの組織に対してもそうであるはず。

そして、同じように、内部の人間がこうして動くことも、霞ヶ関を含め、どの組織であっても必要であるはずです。

こうした動きはいくつあってもいいと思います。

帰国の折には是非とも本を拝読したいなというのが1つ、そして、私も「当事者」として、霞ヶ関の改善のために内から動きたいなと、そう思っています。

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