変見忘備録

昨今はやりの「ブログ」というものを、私もしてみようと思い立ち、「心にうつりゆくよしなし事を」書きとどめてみようと思う。

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適菜収の新著

久しぶりにブログを開いた。この国の有様に愛想が尽き果て、また「物言えば唇寒し・・・」の思いもあり、キーボードに向かうのが億劫になってきた。

適菜収の新著《ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒》を読んだ。《ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体》の続編ということになる。その前の《キリスト教は邪教です現代語訳「アンチクリスト」》ともつながっている。久々に痛快な読書体験であった。

「B層」とは、小泉郵政選挙時にターゲットとされた有権者層で、「構造改革に肯定的でかつIQが低い層」「具体的なことはよくわからないが小泉純一郎のキャラクターを支持する層」「主婦や老人、低学歴の若者」と規定されたそうだ。そのねらい通り「B層」の支持を得て自民党は圧勝した。

適菜収は《B層とは「マスコミ報道に流されやすい『比較的』IQ(知能指数)が低い人たち」です。小泉郵政改革に熱狂し、民主党マニフェスト詐欺に騙され、流行のラーメン屋に行列をつくるような人たちですね。》と言い、さらに《民主主義、平等主義といった近代的諸価値を妄信するバカ》あるいは《少し頭の弱いサヨク》と痛快に断じる。
こんな言葉も平気で言ってのけるのが適菜収の魅力と感じている。

その「B層」が、今この国に深刻な問題を起こしている。

《現在、社会のB層化が急激に進んでいます。
 こうした社会においては、商品の中心購買層、マスメディアにとって最大のタブーがB層にシフトします。その結果、B層に迎合した低レベルなコンテンツが社会を席巻するようになる。そこで増幅されたB層エネルギーが社会全体を飲み込んでしまった状態、これがB層スパイラルです。
 こうしてB層はわが国最大の権力者となりました。》

そういえば、近頃のテレビはじめマスメディアの低劣化はすさまじいものがある。そのうえ、テレビ局などは「見たくなければ見なければいい」とおっしゃるのだから、さらにすさまじい。

 《B層社会においては〈常識〉〈良識〉〈日常のしきたり〉が廃れていきます。知が軽視され、無知であることが称揚される。バカがバカであることに恥じらいをもたず、素人が素人であることを誇りに思い、圧倒的自信を持って社会の前面にでていく。》
 《こうした状況をニーチェは『終末の人間の時代』と呼んだ。》

確かに、お馬鹿キャラなどとバカを競っている有様だ。

さらに深刻なのは、このB層社会の人々、更正の余地がないようなのだ。

《B層は絶対に反省することがありません。無制限に拡大した権利意識と被害者意識がB層の行動を規定します。郵政選挙で騙され憤慨し、再び民主党のマニフェスト詐欺に騙され失望し、将来にわたり「だまされた!」と喚き続ける存在がB層です。》

《・・・テレビや新聞の報道、政治家や大学教授の言葉を丸ごと信じ、踊らされ、騙されたと憤慨した後に、再び騙されるような人たち、彼らがB層です。》

冒頭に記した私の「この国の有様に愛想が尽き果てた」という思いも、こんなところから来ているのかもしれない。

さらに絶望的な表現となる。

《B層は何度でも同じ詐欺に引っかかります。DV男やヒモから離れられない女と同じで、別れても別のDV男やヒモを見つけてきます。B層とはそういうものです。
 よって、B層を説得、あるいは論破しても無駄です。われわれが行わなければならないのは、B層、B層政治家、B層知識人の生態と行動パターンを分析し狂気の時代において正気を保つ努力を怠らず、来るべきカタストロフィに備えることだと思います。》

ニーチェが「ツァラトゥストラ」で描いた「終末の人間」は正に「B層の人間」そのものだった。

《民主主義や平等が大好きで、グローバリズムと隣人愛を唱え、健康に注意しながらささやかな快楽で満足する。
自分たちが〈合理的〉〈理性的〉〈客観的〉であることに深く満足している。
 こうした軽蔑すべき〈終末の人間〉の時代を、われわれは生きているのです。》

では、「終末の人間の時代」をもたらした根本要因は何か。ニーチェはそれをキリスト教だと指摘した。

《キリスト教はすべての弱い者、貧乏人、病人、低劣な者卑しい者に味方しました。こうして下層民のルサンチマン、現世に対する呪いが、教会に集まって巨大な権力を生み出したわけです。》
《ニーチェは言います。
「私はパウロのこのうえなく貴重な言葉を想起する。すなわち『神は弱き者を、世の愚かなる者を、世の卑しきもの、軽んぜらるる者を選び給へり』(中略)キリスト教こそこれまで人類最大の不幸であった」(『反キリスト者』)》

「弱者救済!」の叫びが世界中にこだまして、「弱者」がいつの間にか人権擁護法に守られた「強者」に変じてしまう。そんなおかしな世の中になっている。

ここで私は、三島由紀夫の「英霊の聲」を思い出さずにいられない

『・・・・・・・
人ら泰平のゆるき微笑みに顔見交わし
利害は錯綜し、敵味方も相結び、
外国(とつくに)の金銭は人らを走らせ
もはや戦いを欲せざる者は卑劣をも愛し、
邪まなる戦(いくさ)のみ陰(いん)にはびこり
夫婦朋友も信ずる能わず
いつわりの人間主義をたつきの糧となし
偽善の団欒は世をおおい
力は貶(へん)せられ、肉は蔑(なみ)され、
若人らは咽喉元をしめつけられつつ
怠情と麻薬と闘争に
かつまた望みなき小志の道へ
羊のごとく歩みを揃え、
快楽もその実を失い、信義もその力を喪い、
魂は悉く腐蝕せられ
年老いたる者は卑しき自己肯定と保全をば、
道徳の名の下に天下にひろげ
真実はおおいかくされ、真情は病み、
道ゆく人の足は希望に躍ることかつてなく
なべてに痴呆の笑いは浸潤し
魂の死は行人の額に透かし見られ、
よろこびも悲しみも須臾(しゅゆ)にして去り
清純は商われ、浮蕩は衰え、
ただ金(かね)よ金よと思いめぐらせば
人の値打は金より卑しくなりゆき、
世に背く者は背く者の流派に、
生(なま)かしこげの安住の宿りを営み、
世に時めく者は自己満足の
いぎたなき鼻孔をふくらませ、
ふたたび衰えたる美は天下を風靡し
陋劣なる真実のみ真実と呼ばれ、
車は繁殖し、愚かしき速度は魂を寸断し、
大ビルは建てども大義は崩壊し
その窓々は欲求不満の蛍光灯に輝き渡り、
朝な朝な昇る日はスモッグに曇り
感情は鈍磨し、鋭角は摩滅し、
烈しきもの、雄々しき魂は地を払う。
血潮はことごとく汚れて平和に澱み
ほとばしる清き血潮は涸れ果てぬ。
天翔けるものは翼を折られ
不朽の栄光をば白蟻どもは嘲笑う。
・・・・・・・・』

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
自由、平等、博愛、民主主義。それらの甘い言葉の向こうに悪魔の「おいでおいで」をしている姿が隠れている。


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