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日本人は、新年を迎えると神道信者となって神社へ行って神様に願掛けをし、お盆を迎えると仏教徒となって先祖にお線香をあげ、クリスマスになるとツリー飾ってキリストの生誕を祝うという民族です。
これにあと、一日に数回メッカの方を向いて礼拝すれば、宗教のグランドスラムなのですが…
とにかく、日本人とは、自分が必要としたい形式を、その時に応じて都合よくすんなりと取り入れることが出来る民族だったりするのです。
それなのに、こと結婚となると、昔から深く根付いた【言霊(ことだま)思想】によって、形式やそこで使われる言葉に捉われるというおかしな民族でもあるのです。
言霊思想とは、言葉には魂が宿っているから、不吉なことを言うと不幸を呼ぶので、言葉や文字に不吉なものを一切排除しようという思想です。
例えば、【するめ】は、商売に失敗して金を擦ってしまう【擦(す)る】と同じ音で縁起が悪いので、それと逆の【当たる】に替えて【あたりめ】と言うとか、そんなのです。
披露宴の終了時でも、司会は終わりという言葉が使えないので、【お開き】と言いますよね。
そんなことになったのも、中世の日本では、伝染病が流行ったりした場合、その原因が病原菌などとは思いもしないので、誰かが不吉な言葉を吐いたからだと決め付けたりしていたんですね。
日本人は昔からそういった理由で、不浄なものに対して極端に拒絶する習慣がありましたので、世界で最も潔癖な民族になってしまいました。
そんな民族性から、産まれたら神社へ行き、死んだら寺へ行く、祝う時は神主で、供養はお坊さんという風なヘンな区分けが出来てしまいました。
そこから、ヘンな勘違いも生じてきます。
ある日、ホテルで披露宴をやっている際に、お別れ会が行われている別会場から、袈裟姿のお坊さんが出てくると、
「こんな目出度い日に坊主がウロウロするなんて縁起が悪い」
なんてことを言ってしまったオジサンがいました。
基本的に、お坊さんが宴席に招かれた時は、袈裟が正装になりますので、それを着て参加しますし、結婚式にはちゃんと仏前式という形式もあったりします。
欧米では結婚式も葬式も、教会という同じ場所で執り行いますが、言霊思想の日本人は、どうしても祝い事と法要は分けたがるので、そういったヒドイ間違いもしてしまうのです。
あと、多くの方が結婚式と結婚披露宴を混同しています。
結婚式は儀式ですから、忌み言葉に気を配りつつ、シキタリに沿って執り行うというのは必要でしょう。
しかし、披露宴は宴会ですので、原則として宴会のシキタリや伝統なんてありません。
ですから、披露宴に招かれた客が言霊思想に捉われて、必要以上に忌み言葉を使わぬようピリピリすることはないと思います。
そんなピリピリも度が過ぎると、ホカの客に伝播してしまいます。
結婚披露宴とは祝って楽しむもの、たくさんの笑顔がそこにあるのが一番望ましいのでピリピリは禁物です。
いきなりレストランの話をします。
レストランでの披露宴は、ただの会食の集いになってしまうことがよくありますが、ただの会食では特別な笑顔が期待できないので、やはりちゃんとした進行を作ることをお勧めします。
レストラン会場選びで、料理の次に大事なポイントは、その会場がちゃんと進行を作れるか、担当者からそれに必要な情報をどれだけ多く貰えるかということです。
情報が多ければ選択肢も広がり、その中から自分らしいものを選べますからね。
ま、多くの情報といっても日本人における言霊思想がどうの…なんていう話をするレストランはないと思いますが…。
打ち合わせの時に、新郎新婦が知りたい情報をさほど説明してくれず、ただモノを売るためだけに多くの時間を費やされてしまうのは、2人を幸せにしてやるという気持ちなんてサラサラなくて、「この人たちでどんだけ儲けてやろうか」という魂胆しか見えてきません。
そういうギラギラした会場、もしくはブライダルコーディネーターにとって、新郎新婦は、ただの金(カネ)にしか見えていないと思ったほうがいいです。
ま、幸せ気分のカップルは、ゴリ押しすればバンバン金は出すくらいに思ってますから。
そして、どんなクレームが出ても金は返さず、ひたすら頭を下げて済ませようと思ってますから、必ず前払いを要求されます。
もし、後払いでもいいなんて言う会場があったら、よほど自信があるか、よほど良心的か……
そんな会場があったら、ダマシゴマカシ一切無しと思っていいですよ。
あ、そこらヘンはまた別の話ですね……
とにかく―――
レストラン側が、「お客様のご自由にどうぞ。わたくしどもはお客様のご希望に合わせます」と言った場合、それを親切と喜んではいけません。
それはレストランが何も知らないし、何も出来ないと思ったほうがよいでしょう。
ただ客に投げてるだけ。
―――これに似たこと前にも言ってましたね。
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