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昔、ホテルから、婚礼以外の宴会プランを作って欲しいと頼まれた。
そこで、リサーチも含め、開発に着手したのは、『お別れ会』『偲ぶ会』だった。
でも、そんなのをするといったら法人のトップだったり、文化人だったりするから、そうそう発生する宴会とは思えない。
でも、ホテルの考えは単純↓
結婚式は2人がいて成立するが、葬式は1人で成立する儀式。
なので、それに伴う宴会プランは必ず発生する―――というもの。
暴論だと思っていたら、その当時の葬儀業界誌を取り寄せてみたら同じようなことが書いてあった。
「ははーん、さてはコレ読んだな…」
と思いつつ、ホテル側にどんなイメージがあるのか訊いてみたら、いろいろ条件を出してきた。
狙っているのは法要であって、葬儀そのものはやらない(そりゃね、遺体・遺骨は入れたくないから)。
婚礼でも使う会場なので線香を焚くのは厳禁(ニオイが残るから)。
婚礼の白ネクタイの客と、法要の黒ネクタイの客がニアミスしないようにしたい(ホテル側の問題と思う)。
で、どんな可能性があるのか、その当時の葬儀についていろいろ調査してみた。
当時、全葬連という団体が改革せねばならなくなっている時期で、葬儀屋さん自体も何か自分たちに有効なシステムを模索していたところだった。
というのも、葬儀屋は大小様々あったけど、中には、同じ祭壇なのに家の外観を見て、立派だったら請求額を上げてみたりする怪しい業者もあったりして、巷の評判があまりよろしくなかった。
葬儀社のライバルも、それまでは互助会しかなかったのに、格安な料金で農協が葬儀業務を開始し、また生協もリーズナブルな料金で葬儀を始めたので、客がそちらへ流れ始めていた。
そういう時に、新しい仕組みとして、街の癒しの施設であるホテルと提携してはどうかという話を持っていってみた。
つまり、ホンチャンの葬儀は葬儀屋がやり、その後の法要をホテルが貰うという、今ではよくあるシステムの提案。
お別れ会、偲ぶ会だけでなく、規模は小さくなるけど三回忌、七回忌は、ホテルから案内を出す(データ管理しやすいし)。
もちろん葬儀に遠方から来た人は、提携ホテルに送客。
葬式のでの御斎料理は、だいたい付近にある仕出し屋とか日本料理屋が注文を受けるけど、そのケイタリングをホテルに投げる。
更に、多様式を考慮して洋食のメニューも作らせてみた。
《料理の名前は【東雲】とか【敷島】みたいな実に日本的なもの付けたけど》
御香とか線香が焚けない問題は、献花の儀か、献灯の儀にしてもらう。
もっとそれっぽくしたかったので、献灯の儀のキャンドルは、それ専用のものをあるキャンドル業者に発注。
(今は当たり前に専用キャンドルあるけどね)
進行については、キューシートを数パターン作っておいたんだけど、これは宗教によって変わるだろうから、葬儀屋さんに相談したら、そこは宗教関係者に直接話をしたほうがいいと言われたので、まずお寺のいろんな宗派を訪ねてみることにした。
……そこでつまづいた。
お坊さんは手強い。
行ったところがたまたま悪かったのもあるけど、金の話がもの凄くシビアだった。
一番儲かりたい人たちには、単純に「こーんなに儲けますよー!」って話をせねばならなかった……
僕の知ってるお坊さんいい人ばかりだったのに……
そこには、檀家が増えるとか、金がドカッと入る話でないと分かった瞬間、信じられないほど冷たくあしらわれた。
脅しみたいな言葉もあった。
もう暗礁に乗り上げー。
あと、ホテルにも問題があった。
ホテルは、宴会プランとして、婚礼に匹敵するものを期待していた。
婚礼よりは売り上げは落ちる。
それは、お香典とご祝儀の金額の差を考えれば分かりそうなものなのに。
ムリに高い料金プランを設定しても客なんてとれるワケがない。
それに、法要のリーフレットを作成したって、婚礼プラン案内のリーフレットと並べて置けないから、どう客に渡してよいか分からないみたいなことも言われた。
もー、小さな宴会と知った段階で、面倒臭そうな空気。
更に暗礁に乗り上げ上げー。
婚礼とか葬儀には、プレ市場・ミドル市場・リア市場というのがある。
プレはまだ当日のより前の市場。
例えば、葬儀だったら、もしもの時のために葬儀費用を積み立ててもらうとか…
ミドルは当日。ほとんどの売り上げ(80%以上)はここで発生する。
(御斎料理・祭壇費用・司式費用・花・供物・納棺費用)
リアは当日の後の市場。
(香典返し・法要など…)
しかし、葬儀社は、ミドル以外のところにさほど興味がないようなので、ホテルに簡単に投げてくれる。
そのリア市場をしっかりホテルが貰うというシステムを作りたかった。
もちろん婚礼にも、プレ・ミドル・リアの市場はある。
でも、ホテルの婚礼もリア市場の確保が甘い。
ご祝儀返しなんていう返礼の品の案内は捨て置かれ気味だから、葬儀社からリアを貰うといったって体質がそう出来てないんだからどうにもならない。
プレもリアも、ミドルがあってこそ発生する市場。
ミドルで80%獲れたとしたら、あとの20%も…となぜ思わないんだろう。
あと20%のプレやリアを獲ろうとしたら、コミュニケーションが重要になってくる。
そういうところをしっかりと押さえることで、自ずと、全体を通してサービスが行き届いている印象を与えるのに。
そこで提供するサービスは、また新たな客の発生に繋がると考えなかったのだろうか…
ミドルでしこたま金を獲ったら、あとはご自由にという姿勢だから、あとからのクレームもでやすいのに。
当時も、大好きだった故人をホテルで偲びたいと思っていた人は多かったはず。
そこで、ホスピタリティ(ホテルの語源)の施設が、しっかりと客を受け入れるように、なぜ動いてくれなかったのだろうと、今でも思う。
でも企画書だけは評判良かったので、いろんなとこ巡ってましたけど…果たしてどこまで行ったのか―――
ま、こんなことを考えたのも昔だけど、今じゃ法要をしっかり管理しているホテルも数多くあります。
その管理するソフトを開発して売りつけていたオヤジも出現しましたしね(笑)。
ここんとこ仕事で物語漬けだから、それ以外の話を続けてます。
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