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写真は、宮崎県諸塚村です。
昨日に引き続き、山村の話題です。
■観察会での質問
一昨年の7月末、宮崎県諸塚村で開催された第12回森林文化教育フォーラム(主催:森林文化教育研究会・宮崎県・諸塚村、後援:林野庁、環境省ほか)に参加しました。野外での懇親会では、地元の産物の手料理と、地元に昔から伝わる物語の踊りを披露していただきました。
諸塚村は、標高200mから1000mの山村で、森林率95%、家屋は斜面にへばりつくように建ち、道路の下側の家はほとんど2階に玄関があります。人口2300人、産業は「用材」林業と「シイタケ」と「茶」と「畜産」の4品目の複合経営のみです。
戦後、独自の自主公民館活動により人づくり道づくりを営々と続け、全国1位の林道高密度路網を完成し、厳しい山村の条件に立ち向かった歴史と自他共に認める実績のある村です。
スギ・ヒノキの常緑針葉樹とクヌギなどの落葉広葉樹がパッチワーク状に広がるモザイク状の森林景観は全国に紹介され、全国の小学校の副教本にも広く使われています。
12年目を迎えるこのフォーラムの2日目は、現地研修のエクスカーションですが、毎回、研究会会員である筆者の呼びかけで早朝観察会を実施しています。今回は、福岡森林インストラクター会のI氏並びにF氏のご援助をいただきとても意義ある観察会となりました。
眼下に広がる雄大なモザイク林形を眺めている時「このような森林のつくり方は災害に強いのですか」という質問がありました。(※上の写真:宮崎県諸塚村のモザイク状森林。シイタケ栽培団地が中央下部に見える)
■モザイク状森林の強さ
モザイク状の森林管理は、針葉樹と広葉樹という区分だけでなく、良く観察すると、針葉樹の区域や広葉樹の区域それぞれが、樹種や林齢が異なるパッチワークに区分されていることが分かります。
森林の土砂崩壊防止機能は、根系による土壌の緊縛力が大きくなる林齢30年から40年以上の混交林が高いと言われますが、林地をモザイク状に整備することにより、次の2点の理由で、強い山ができると、地元の小学校の先生などの参加された方々に説明しました。
(1)地質や地形、傾斜に合った適地適木により、強い森林ができる
(2)林地は伐採後、5から10年経つと伐採木の根系が腐朽し、一番災害に弱くなるが、モザイク状に区分することにより、土砂災害の危険を小さくすることができる。
諸塚村のような山村では、住民や子どもたちにとってもっとも大切なことは、土砂災害から安全を確保することであると思います。
土砂災害教育は、山地斜面の下で生活する人々すべてに必要なことです。
■モザイク状森林の減少
近年、諸塚村では、シイタケ原木林の縮小傾向の予測からクヌギを伐ったあとスギやヒノキを植える傾向があり針葉樹と広葉樹のバランスが変わっているとのことです。災害に強い、モザイク状森林の減少が始まっています。
クヌギ林としての維持費用を、山地災害の防止機能に着目し、社会的に分担することを、地方分権の流れの中で提案できないでしょうか。
かつて、クヌギは、野蚕の飼料、タンニン原料、薪炭材、シイタケ栽培原木として、ドングリは子どものおもちゃとして、おそらく東アジアの人々の暮らしとともにあった、家畜のように私たちと親密な樹木ではないかと思われます。クヌギの自然林はおそらく無いでしょう。
クヌギを維持することは、クヌギを伐採除去しスギ・ヒノキ林を造成するための費用に比し、はるかに少ない費用で可能であると思います。
■現代における「地木結合論」
これまでの連載「近代日本の森林と人との関わりの系譜」で記述しましたように、日本の植林政策は、江戸時代の「適地適木」「適地適産」すなわち「尽地力説」に始まり、適するものは何でも植える「諸木植立」の奨励という林業施策として始まりました。
このような藩政時代の林業施策の理念は明治時代に「地木結合論」に集約されました。
土地の性状と一体となった林業経営ということですが、これが森林法の基礎理論とされました。
諸塚村の森林は、結果的に、まさに、この理論の延長線上に形成されてきたといえます。
現代における「地木結合論」としては、土砂災害を防いだり、水を育む森林の役割、生物多様性まで、その範疇と考えられます。
シイタケ原木栽培が減少して、スギ・ヒノキの割合が増加し、将来、山を弱くすることにつながらないよう祈りたいと思います。
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宮崎県日向市西川内地区における日向精錬所から排出される残渣を使用した開発行為に関し、開発行為面積の排水は調整池に流させる計画である。
計算上は、調整池でカバーできるようになっているが、想定以上の豪雨があった場合(調整池を超えた場合)、県管理河川西川内川への影響が懸念される。
県(日向土木事務所)は、この計画に関し、許可を出す立場ではなく、工事搬入路にかかる占用、工作物設置の許可を出しているが、将来、土砂などが西川内川へ混入した場合の土砂除去等の対応処理を確実に開発行為者であることを確認しておくことが必要と考えます。
2015/4/19(日) 午後 5:15 [ 国境・環境・歴史学習ツアー ]