森に親しむ談話室

森と人をつなぎ、人と人をつなぐ、森に親しむための談話室です。運営は、「森に親しむ研究所」です。

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先週の金曜日、千葉県森林研究センターで行われた「里山公開講座」と「試験研究成果発表会」に参加しました。
写真は、久しぶりに訪れた森林研究センター内の森林の様子です。

数年前まで、林業試験場という名称であったのですが、全国の公共研究機関で「林業」の名称が消えて、「森林」という名称に変わりました。大学も同じです。

かつて、今より多数の研究者を擁し、予算も多かった林業試験場時代の同じ森林は、放置されヤブ状態の場所が多かったのですが、今は、写真のように、すっきりと手入れされた里山の様相を呈しています。

人の目線の見通しが良くなるように、また、広葉樹と針葉樹が混ざり合った森のイメージ、樹林の向こう側に沼沢地の景色が見られる、風通しのよい森づくりなど、十分とはいえないまでも、研究の一環として意図的に里山としての森林整備が始められていました。(写真)

「森づくり」で大切なこと、連載3回目です。
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「森づくり」で大切なこと(3)・・・「森林美」の話
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18世紀のドイツは、牧場・農地の開発で森林と国土の荒廃が最も進み、これを復旧することが緊急の課題でした。
「自然は常に正しい。もし誤るとすれば、それは人間が間違えたからである。」というゲーテの思想に感化されたハインリッヒ・コッタは、「森林ロマン主義」と呼ばれる当時を代表する林学者でした。
そして、「森づくりは半ば科学、半ば芸術である」との森林観を繰り返し唱え、自然の摂理と調和した森林の管理・経営論を具体化しました。

コッタのいう「芸術」とは、「自然の摂理に即したとき美が生まれる」ということでした。

コッタの考えを展開させ、「森林美」の概念を森づくりの基礎として、「森林美学」の学問領域を創設したのは、ハインリッヒ・ザリッシュでした。「技術合理の森林は最高に美しい」、「美しい森林はもっとも利用価値の高い森林」としました。
ここでの、「技術合理」とは自然との調和を前提としており、また、「利用価値」とは環境の保全も含む様々な森林の役割のことです。

ザリッシュは、森林経営から都市近郊の美しい森林まで対象とし、経済的利益と美の調和を主張しました。
ヨーロッパの公園的な森林の美しい風景は、150年前からの、このような「森林美学」の思想の裏づけがあったことによるのだと思います。

そして、「森林美」は、日本のおいても、既に13世紀に始まっている京都嵐山の風致林施業の例があるように日本における美意識と一体の、多くの普遍性をもつものとしても検証できると考えられます。
引き続き、「日本における森林美」について話題としていきます。(続く)


※ 今回掲載の内容は、筒井迪夫東京大学名誉教授の研究業績をもとにしてます。

※ 「林業」から「森林」への系譜については、左上の書庫:連載2「近代日本林政の系譜」(11回連載のその10)にくわしくわかりやすく連載したつもりです。終わりに近づくにつれて力が入ってしまい、専門家向けの文章になってしまったところがありますが、折に触れて、再度分かりやすく話題にしたいと思います。

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