森に親しむ談話室

森と人をつなぎ、人と人をつなぐ、森に親しむための談話室です。運営は、「森に親しむ研究所」です。

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写真は、今から40年ほど前の千葉県山武林業地の写真です。
(「サンブスギ大径材」、「九十九里漁業の舟材」、「マツ・スギ2段林」)

連載5回目です。「森林美」が「森づくり」で特に重視すべき視点であることを、日本の事例について取り上げます。

19世紀の末頃、「森林美学」を提唱したドイツ人、H・ザリッシュは、森林の経済的な価値と合自然的な合理性を満たす森林は「美しい森づくり」により達成されるとし、美と技術の結合論を唱えました。

ちょうど、同じ時期、日本の千葉県山武郡において同様の考え方を実践した林業家が現れています。
アララギ派創世記の歌人であり、私設の埴谷農林学校を地元に設立した、蕨真一郎です。

山武地域では、サンブスギという林業的に優れた形質(通直・完満・艶・枝が細い・樹冠が小さい・早生)をもつスギの品種を活用した、背戸山とよばれる屋敷林(防風・防寒)と農用林(燃料・肥料・道具)の発展形態としての備蓄的林業(大径材生産)が成立していましたが、その姿は、雑然とし、放置された山もあり、「美」とはほど遠いものでした。

蕨は、木曽の森林で「良樹が共存し、所を得た樹木が自然のままに育っている美」に感動し、「経済者の個々と森林の趣とが自然一致の念慮を得た」(蕨真一郎「民間造林乃中より」)ときに確保できるとしました。

林業経営上価値ある森林を目標とし、そのための合自然的な技術の適用を考えましたが、これが山武林業における「マツとスギの二段林施業」と呼ばれる方法でした。

乾燥に強く成長が早く需要が多いマツのもとで、スギを育てるという手法は、経営的にも技術的にも合理性があり、広く北総台地に林業が広まっていきました。

この手法により、住居の裏山である背戸山林業から、台地の周縁や台地斜面にスギの美林を仕立てることが可能になりました。

「美しい森林」をつくるために、経済と自然とが一致する木の育て方をしなければならないする考えは、大正時代の木材需要の増大を背景とした活発な造林活動と符合し、北総台地へ広まりました。
そして、「山武林業」は、「サンブスギ」「大径材生産」「平地林業」「二段林施業」というキーワードで全国に知られるようになりました。

その後、「サンブスギ」という品種への偏重が、今日の非赤枯性溝腐病の異常な蔓延を招来したという、大きな問題がありますが、山武林業における森林美への想いは、いまなお山武の旧家に受け継がれています。
(続く)

※参考文献:「森に親しむ講座」資料、「山と木と日本人」筒井迪夫著(1982 朝日選書)、蕨真一郎「民間造林乃中より」、千葉県森林研究センター資料ほか

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