森に親しむ談話室

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連載5:「森づくり」で大切なこと

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写真は、房総半島の中央部、君津市奥米の沢です。
車から降りて約20分の、特に道も無く、山が険しく人が訪れることも無い場所です。
このような、人知れず名もない滝は、日本中にまだまだたくさんあるのだと思います。

さて、前回の続き、「森づくり」で大切なこと(2)です。(今回も「固くて長い」話題で恐縮です)

===「森づくり」で大切なこと(2)========================
「森づくり」というと、木を植えることからはじまるものだと頭に浮かびます。
効率的に植栽し、下刈り・ツル切り・ひも打ち・除伐・枝打ち・保育間伐・生産間伐・主伐という、一斉林の造成技術については、日本では、ほぼ確立しています。
ここで話題にしている、「森づくり」とは、このような造林技術のことではありません。

「森づくり」とは、「おいしい水、きれいな空気、美しい自然などの様々な恵みが、将来にわたり確保されるように森を守り育てること」です。

森の様々な恵みを得ることが「森づくり」であると考えれば、「木を伐ること」も「伐らずに森としておくこと」も、「森づくり」です。

「木を伐ること」は、森の恵みを私たちの生活の資材として利用し生活を豊かにすることですが、「森の恵み」は、将来にわたって確保され利用できることが必要ですので、再度育てることになります。
「木を伐らない」こととは、山崩れが起きないよう、おいしい水が得られるよう、美しい自然が確保されるよう、「伐らない」規範を社会に根付かせることです。

日本は山国で温暖多雨であることから、国土の自然の基調は「森林」です。
「伐ること」と「伐らない」こととのバランスを崩していまうと、森林は荒廃し、山は崩れ、水は濁り、土地(林地)と森林の調和がなくなり、美しい自然が破壊されます。

「伐ること」とは経済的な価値を求めること、「伐らないこと」とは環境を良くすることと考えると、このバランスを考える方策は、「森林美」を追求することとであるという一つの結論に至ります。

林学発祥の地ドイツにおいても、明治時代の日本においても「森林美」を追求することが、「森づくり」の基本であり、「美しい森林を守り育てる心」が「森づくり」の原点として論考され、実行されています。

「美しい森づくり」への想いとは、風土に培われた自然への愛であったり、風土に合った樹木の活用の仕方であったり、さらに、巨樹を守り木にまつわる信仰、水源を守る活動、自然の贈り物である美しく有用な材の生産、地域の産業と調和させた美しい森、災害に強い安心できる森造り、美しい自然に癒される空間をつくることであったりするのだと思います。

 このような「森づくり」の原点としての「森林美」について、引き続き話題とします。

 トリノのオリンピックでも、今、まさに「美」の追求が行われています!(続く)

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写真は、千葉県鹿野山の百年生のスギの林です。
1906年に想いをこめて植栽されたものです。

今回の話題はちょっと、固い話題で恐縮です。(このブログの話題は、いつも長文で固いというご意見をいただいていますが・・・。固くて長いことを好む人もいます。あれ?!)

一般の市民、森林関係者、里山が好きな都市住民、山里を愛する人と山(森林)のことや樹木のことを話題にする機会があります。
いろいろ話した末に、林業が経済的に成り立たちにくいということが、どうしても問題として残ります。

そのような、話の展開を認めながらも、それだけではないことを明確にしたいといつも考えています。

森林が我々にもたらしてくれるおいしい水、きれいな空気、美しい自然などの様々な恵みが、将来にわたり確保されるよう森林を守り育てていくことが必要であることに、異論を唱える人は、私はあったことはありませんし、まちがいないといえると思います。

それは、林業で儲かるかどうかという問題とは別のことです。

森林を守り育てていくための制度を社会に根付かせることが必要でなのですが、その過程や方法については、いろいろな議論がおこり、まとまらない場合が多いのです。

森林を伐ることと伐らないことは、矛盾する事柄に考えられると思われますが、その目的がひとつであれば、それは、矛盾ではなくなる筈です。
哲学的には「止揚」というのだと思いますが、ここでは、「大きな目的」と呼びます。

森林を守り育てる大きな目的は、「森林が我々にもたらしてくれるおいしい水、きれいな空気、美しい自然などの様々な恵みが、将来にわたり確保されるようにすること」であると考え、これを各地域ごとに、歴史風土に整合させたものが、「森づくり」の理念だと思います。

小さな自然的な植栽工事の設計から、大きな森づくりの構想まで、その基本的な理念は、共通だと思います。

この問題について、話題としたいと思います。(続く)

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