森に親しむ談話室

森と人をつなぎ、人と人をつなぐ、森に親しむための談話室です。運営は、「森に親しむ研究所」です。

千葉県山武林業

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これまで、数え切れないほどの写真を撮った、山武の「背戸山」です
一昨日も、仕事の途中で立ち寄ってしまいました。

旧家の裏山のスギの巨木は、200年を越える期間、地元で守られてきた「心の備蓄林」です。

防風の役割をもつ屋敷林であり、生活の資材や燃料、農業の道具や肥料を供給する農用林の発展形態として、山武林業が成立しました。

江戸に近く、また、九十九里沿岸漁業のの舟材の供給、マツの前植による2段林施業、平地林業、など自然や社会経済に符合しています。林業とは、そういうものなのだと思います。

自然と社会の「鏡」としての林業は重要です。

季節は、今、「竹の秋」です。

当サイトの話題は「固くて長い!」地味なブログですが、昨日か、いつのまにか、人気度に「★}がついていました。

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今日は土曜日、森林調査の予定でしたが、都合により山武林業地とその周辺の見回りになりました。

上木180〜240年生の山武杉と下木70年生ヒノキの二段林。
林内の状況の写真に入っていただいたのは、「持続的な森林ボランティアー」で森林インストラクターKさんです。

このような、江戸時代に植栽された巨木林は、全国的にも大変貴重ですが、毎年伐り出されています。

日本で一般的な山の林業地では、信じがたいことかもしれませんが、ここは平地で、しかも道まで30mもない場所です。倒す方向を間違うと、市道や県道をふさいでしまうほどです。

本日拝見させていただいた状況から、次の伐採は、写真の木の番のようです。

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前回に続いて、当研究所の昼の拠点へ持ち込まれた、サンブスギの天板の話です。

この天板には、まだ、脚がついていませんが、とりあえず、ソファーのテーブルの上に載せて、先ほど、汚れ止めのためオイルを薄くかけました。
さんむフォレストのH氏の特製オイル、「フォレスト・フィニッシュ」です。

木目にアクセントが出て、なかなか、いい感じです。

まず、木目の並び方をご覧ください。
中央のケヤキをはさむ、サンブスギの目は、板目と柾目、心材と辺材を互い違いに組み合わせています。
これは、大学で木材物理を専攻した女性技術職員Kさんの提案です。
左右の心材、辺材ともに、板目と柾目を対称に配してます。

製作上の問題として、サンブスギは、美しい赤心が多い分だけ、白い辺材はとても少ないことです。
したがって、柾目の辺材である程度の幅を確保するのは、とても無理な注文です。

その無理を、小高木工さんは、技術でカバーしました。
天板の表面に見える辺材の幅を4cmのものを3本接いだのです。

天板の両側の木口を見ると一方の面は、辺材が上側に揃うように、ギリギリの木取りをしているのが確認できます。(一番下の写真)

サンブスギの辺材で柾目を出すのは、とてつもなく贅沢で、かつ、材の有効利用につながっているのです!

もうひとつ、この天板は、全体として、ちょっとオシャレなサンブスギと、マテバシイを用いることにより房総半島をイメージしているのです。

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昨日、当「森に親しむ研究所」の昼間の拠点に、サンブスギの机の天板が持ち込まれました。

4種類の木で構成されています。
制作・寄贈は大網白里町の小高木工さんです。

真ん中がケヤキ、両側がサンブスギの心材と辺材。
辺材部には、割れ防止のためケヤキの「契り」を嵌め込んであります。

パッチ状の嵌め込みの板は、ヒノキとマテバシイです。
マテバシイは、南房総を代表する木です。

そして、江戸時代から伝わる、サンブスギで作った組子細工を嵌め込んであります。
組子細工は、八街市に在住のS氏です。S氏は、30歳台になったばかりの新進の組子細工の職人ですが、全国コンクールで受賞した、第一人者です。

このデザインの雰囲気も、ブランド材であるサンブスギを全国に向けPRしようとするためのひとつのアイテムです。この企画は、さらに、一年かけて、地元の体制を含めてブラッシュアップし、本格的な検討をはじめることになりました。

都市林業での地産地消・地産全消へのチェレンジです。

日本の都市近郊林業のあり方についての、新たな提唱となるかどうか・・
とりあえず、第一弾です。

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今日は、土曜ですが、山武市ではじめての森林施業計画を立てるための森林調査をしました。
久々に、現場での林業の仕事です。
一枚目の写真は、今年間伐が終わった場所です。そのすがすがしさは、現場でしか味わえません。

(今回は、林業の専門の話題です。書き足しているうちにずいぶん長文になってしまいました。)

20年来お付き合いいただいている、S氏の山です。

2枚目以降の写真は、16年生のヒノキ(西側斜面)と24年生のスギ(東側斜面)それぞれ、約0.4ヘクタール、計0.82ヘクタールの山です。

半径4メートルの円形プロットを2箇所ずつとり(2本の棒を針金で4mの長さにつなげたもので一周させただけです)、ヒノキ1650本/ha、スギ1500本/haが数分で判明。ヒノキの樹高を確認するため、1本伐りました。樹高を測定する場合、最も確実な方法が、木を倒して測ることです。実際には、普通はやりませんが・・今回は、当研究所が得意とする、「目測」の正確さを検証するためにやりました。(皆さま、伐採では、必ずヘルメット着用してください)

 倒す方向は、ぴったりだったのですが、ヒノキで枝が強く、みごとに、掛かり木になりチルホールで引っ張ってやっと倒しました。普段は、S氏の奥様がチルホールの担当だそうです。750kgの力を出せます。価格は7,8万円。
 平均樹高12.5mであることを確認しました。久しぶりの現場でしたが、倒して測る前の目測値とピッタリ。スギ林は、自信をもって目測で13.5m。

 プロットレスサンプリング(ビッターリッヒ法)で、ヘクタール当たりの蓄積は、ヒノキ168m3、スギ210m3で、かなり成長は良い方です。これも、「お見通し」(日本森林技術協会製 500円程度)を使い、2,3分で判明。(オーストリア製のものもあります)胸高形数は、0.5として、この数値から、毎木調査をせずに平均胸高直径を算出できます。ヒノキ14.4cm、スギ15.7cm。電卓があればその場ですぐ算出できます。(近いうちにこの数値がどの程度信頼できるか検証してみます)
 さらに、林分密度管理図から、ヒノキ林の収量比数Ry=0.79 スギ林はRy=0.76が判明。

この山は、ヘクタール当たり2000本の疎植で、枝がたくさん茂って、暗く見えました。
密度については、まだ、適正の範囲でしたが、特にスギの枝は枯れが目立ち、落としたい状況でした。

疎植の場合、どうしても、初期の成長量が大きすぎ、また、枝が太く量が多くなり、密度の割りに暗くなり下部の枝は枯れ、間伐では掛かり木になりやすいのです。

 かつての山武林業の特徴は、マツとスギを同時に植えたものですが、この手法は、成長の早いマツがスギに適度の日陰を提供し、乾燥や寒さから幼齢のスギを守るとともに、年輪幅が広くなりすぎることが無いようにスギの成長を抑制することになり、良材生産に繋がりました。
 14,5年生及び20年生ぐらいでマツを2回にわけて収穫すると、スギは殆んど伐ることなく、適度な密度に制御することができます。しかも、伐採したマツはすべて需要があったのです。サンブスギは、クローンであるため、形質は揃っており、植えたスギが無駄なく用材林として仕立てられ収穫されるという点からも、サンブスギの形質(幹の真円性、通直性、完満、成長の早さ、枝が細い、樹冠が小さい、心材が美しい紅色、挿し木で増やせる)とあいまって、マツとスギの2段林仕立ての歩留まりの良さに繋がります。
 スギの適地とはいえないこの山武地方で、先進的な山武林業が発展したのは、自然的・社会的なあらゆる条件が符合した、ハイテクノロジーとも云える施業技術が適用されたことによります。

 ただし、日本のマツがマツノザイセンチュウ病に対して免疫がなく、サンブスギというスギの品種がスギ非赤枯性溝腐病に過敏なほど弱いことは、計算外でした。「うますぎる話には、大きな落とし穴がある」とは、結果を見た傍観者が言うことであり、営々とサンブスギの手入れを続けてきた、山武の旧家にとっては、あまりに残酷すぎる、状況の大きな変転でした。

 マツの需要が落ち込み、労働集約型の2段林施業も実行が難しくなった現在の状況下で、間伐の回数を減らすつもりで疎植するという事例が増えていますが、そのメリットというものは、実際にやってみると容易には実現しないことが判明します。

 この林分の密度は、数値的にはほぼ適正で、現状の収量比数からは間伐をすぐやる必要は無いことになりますが、枝の下部に枯れ枝が多く発生しはじめていることは問題です。
 また、2000本/haの疎植なので、一回目の間伐では、どうしても、ややバランスが崩れた箇所で、成長の優劣の差が拡大し始めています。再度、伐採率の低い間伐で、バランスを取戻してやる必要があると思われます。

 夜が明けるまで、いろいろ考えをめぐらせ、当「森に親しむ研究所」としては、本数率20%程度、材積率約15%の間伐を5年以内に実施することが必要であるという所見を提案しました。はじめの3年でスギ林を間伐、次の2年でヒノキ林を間伐するという提案を図面に書き込んだ案を、Sさんに検討していただくことにしました。

 間伐の方針としては、バランスを回復すると共に、形質に応じた選木を早めに実行する必要があります。
 疎植であることとサンブスギほど形質が揃っていないため、選木の幅が減っているので、伐る木だけでなく、早い時期に残す木を選んで、選木を実行することが必要であると思われます。
 バランスの観点からは、低層間伐を適用し、定性的な観点からは、準優勢木のうち形質の悪いものを除く、そして、近い将来被圧木となる優勢木は、思い切って間伐するという方針になります。

 早い時期とは、形質が判明する、20年生前後ということになり、まさに、この林分が、その時期を迎えていることになります。

2000本/haの疎植(目標は、90年生以上の長伐期択伐林型) ⇒ 平地での自走式の機械力を使った下刈り ⇒ 10年生ぐらいまでは、枝を大目に落として成長を抑制(家族や友人、休日の森林ボランティアの体験の場) ⇒  15年生前後で第1回の除間伐(作業はボランティアの林業体験の場として提供) ⇒ 20年生前後で、形質を見極めたバランス確保のための2回目間伐を実施。 ⇒ その後は・・・性急に結論はだせません・・・・労働力不足の時代の、これからの山武林業の模索のはじまりです。

森林施業計画は、この地域の約40〜50ヘクタールの山を対象として5か年の計画を樹立します。
仮に、特定の森林所有者の当面の5年間の施業量が、非常に少なくても、極端な場合、施業量がゼロでも施業計画を立てるメリットは、いろいろあると思います。計画を作成することにより、森林の状態が正確に把握できます。その情報や専門の立場の人も含め、いろいろな考え方を持ち寄り、その地域に適した林業のあり方を、地域のより多くの方々が参加して検討し創造するキッカケになるはずです。
 本来、森林施業計画は、5年、10年、20年と継続してはじめて意味を持つものです。今、施業の量が少ないからということで、先送りすれば、施業計画は立てられず、そのキッカケを逃すことになります。森林施業計画は、施業がある無しに関わらず、立てるのが早ければ早いほど、価値があるのです。

もうすでに、これまで手入れを十分にやっている方も、地域の森林所有者と協同してより良い森林整備を実現するため、地域として森林資源内容を事前に市町村に届けておくことは5年、10年後に生きてきます。

 森林施業計画は、最低30ヘクタール以上必要であり、その地域の一人ひとりの協力がとても大切です。

一番下の図面の写真は、地籍図をデジカメで接写したものです。

最近のデジカメの性能や画像処理技術が向上したため、大きな図面から、必要な部分だけ、施業地ごとに接写してコントラストをパソコンで調整し、検討図面として使用し、ワープロやデータベースソフトなどに保存整理することも簡単にできるようになりました。
今回はじめて試みてみました。

この地域は地籍調査が終了しているので、図面は正確です。ものさしかスケールも一緒に撮影しておくと、もっと良かったと思います。原図は、S=1/2,500、A0版の青焼きです。

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