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昨年は大変な年でしたが、私には良い年でした―とその年賀状に書いてあった。
昨年取材をさせて頂いたおばあちゃんは、掃除婦やキャディーをしながら小学校そばの畑で野菜を作ってきた。
子どもはなくおじいさんと二人暮らし。ある日、畑から校庭で元気に遊ぶ孫のような子どもたちを見ていたら気持ちが抑えきれず、「横断中」の旗を手に声を掛けた。
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何かと余計なことはしないほうが安全(安心?)な世の中である。
だからといって閉じこもってしまっては、ぜんぜん楽しくない。
人に声を掛けるのはいくつになっても勇気がいる。
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下校時刻、校舎から元気な声が響いてくる。黄色い旗を握り「はいおかえりー、気をつけてねー」と微笑むおばあちゃん。
6年前の春、あえなく拒否されていたかもしれない湧き上がる気持ち―。「それでもいい」とありったけの心を手渡したシワシワの手に、黄色い帽子の女の子がそっと何かを手渡した。
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