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7月末、やおら編集長に呼び出される。
「なになに、ついにクビ?」とか思ってビクビクしながら赴くと、編集長の母親が末期のガンだという。今まで妹たちに親の世話を任せていたので、今度は自分が自宅に引き取って食事療法をしたいらしい。
えらい。
ひいては8月の1ヶ月間、有給を使って休むので「あとはよろしく」とのこと。
さて、なにがあとはよろしくなんでしょうか。
① 私の分の記事も書いて
② 皆の赤入れよろしく
③ メールチェックしといて
正解は、全部です笑
①は皆でカバーできるし、③のメールチェックもさほど骨は折れません。
問題は②の赤入れです。
赤入れとは、要するに皆が書いてきた記事や、取ってきた広告の原稿をチェックすること。進研ゼミの赤ペン先生みたいなもんです(違います)。
副編集長とワタクシメで直しておりますが、これが結構大変です。
広告の表現は根拠のない「日本一すごい」とか「県内一の面積」とか「最高の○○」のような最上級表現はもちろん、「かわいい」「きれい」などの主観的な表現も場合によってはNGなんですね。
ゲラ(大きい紙に広告とか記事が入った状態のもの)の校正のとき、結構注意してみてたつもりだけど、それはすでに編集長が直している中から見つけているので、さほど難しくはないんですよね。
で、普段、わが社の営業マンが、どれくらい「自由」な原稿を出しているかがこの1週間で身に沁みました。
お前ら全員自由形の選手か、と。 チョーキモチイー!
お前らダブルダッチか、と。 ズンズンドンズズズンド♪
お前ら新手のラッパーか、と。 ヘイ YO!
傑作がこれ↓
女子のオトメゴコロをくすぐるオシャレな留め金が付いた、かわいいコインポケット付きハンドタイプのポーチ
どこかで切りましょうよ。
「ポーチ」に5、6コの修飾語が掛かってます。
「てにをは」も稀に見るフリースタイル。
女子のオトメゴコロって、なんでしょうか。
おまけに写真が添付されていないので、直そうにも絵が想像できません。
記事もフツーに時間が抜けてたり、場所が不明確だったり、主語が見出しから抜けてたりします。一つのセンテンスがどこにかかるのか不明、といったものも多く、文章を丸ごと前に持ってきたり、後ろに持ってきたり。
それをひそかに「またゲルマン民族の大移動かよ」とか心の中で言ってます。
でも、そういった技術的なものはいいんですよ。前の紙面見て学べばいいから。
問題は、並み居る先輩方に対して、僕みたいな入社4年ちょっとのペーペーが赤字を入れるのが、とても気が引けるってことですかね。
いちいち、こんないっぱい直して「怒んないかな〜」とか余計な心配をしてしまいます。
とにかく「本日を以て記事および広告の文言の統帥権はワタクシ(とあと副編集長)にある。キサマら、ワタクシの言うことが聞けないのなら、わかっているだろうな!
血を見るぜ( ゚∀゚)フハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \
↑ウソです。
先週、ある記事をバシバシ直してしまってから、開始時刻が抜けているのに気づき、こればかりは書いた本人に聞かねばと、先輩に恐る恐る聞きにいくと・・・。
先輩は、赤鉛筆で真っ赤になった原稿を見て、こう言いました。
「あ、抜けてた。ええと、『6時半から』です。 ありがとうございます。よろしくおねがいします」
先輩は、そう言って、僕のほうを向き直り、きちんと頭を下げられた。
正直、一つの原稿直すのに変な脂汗もかくし、えらく時間もかかって営業さんに迷惑かける。
けれど、よい文章にしようと真剣に誤魔化さないで仕事をしたい。
できないなりに一生懸命やれば、一日中お母さんの世話している編集長も安心して看病できると思う。
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