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午後イチの仕事を終えて外に出ると、陽はだいぶ傾いていた。
女子高の前を通って次の仕事先に向かう途中、ずいぶん幼い顔をした生徒がぞろぞろ歩いていた。その日は県立高校の入試だった。
ほとんどの中学生は達成感というよりは、終わってほっとした顔ばかり。信号で停まりバックミラーを覗くと、セダンの助手席で女の子が泣いていた。
よほど出来が悪かったのか、メガネに人差し指を突っ込んで泣きじゃくる娘を、運転席の母が慰めている。その様子を見ていたら、なぜか昔のことを思い出した。
算数の5進法とか10進法とかのテストでたまたまクラスの秀才「やっちん」の左ひじのすき間から答えが見えた。
何も考えずに書き込んだ答えは不正解で、最初に自分が書いた答えが正解だった。
+ + +
信号は青に変わり、女の子はまだ泣いていた。
世の中に確実なことってあんまりないと思うけど。
たぶん受かってると思うんだ、キミは。
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