cafe&bar oldspring♪

内なる声に耳を澄ませ、勇気を持って行動せよ。

old spring

[ リスト | 詳細 ]

友達のコーヒー屋さん「辻本コーヒー」のメルマガで連載したエッセー。 http://www.rakuten.co.jp/tsujimoto/index.html
記事検索
検索

全19ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]

星占いの効用

奥方や妙齢の女子は、概して占い好きである。


占いって思い当たれば「だよね!だよね!」ってワクワクするし、自分の望む方向と違ったことが書いてあれば不安な気持ちとともに「へっ!そんなん誰が信じるか!ばーかばーか」って思う。


いくつになっても占いは気になるし、占いなんかに流されたくないという自分がいる。


☆ ☆ ☆


例えば今週の占いで「ラッキーアイテム→樫の木の杖」とか「ラッキープレイス→ホームパーティー」とか「ラッキーカラー→メタリックブラウン」とか書いてあるものは明らかにマユツバだけど、時々自分の今の気持ちを見透かされたようなことが書いてあって胸がドキドキする。いや、胸騒ぎといったほうが、近い


占星術では「そうなっている」けれど、「その通りになってしまってはなんだか困る自分」がいて違和感を覚えるからだろう。



では、なぜこうもドキドキするんだろうか?

起きてほしくないことだから?

本当は起きてほしいことだから?

それが実現すれば、こちらの可能性が消えてしまうのが怖いから?

それとも、見事に言い当てられたことが悔しいから?


★ ★ ★


人はしばしば、自分の本当の気持ちを無視する。


頭デッカチな人ほど奇想天外な解釈でその場しのぎをする。諦められないモノやコトやヒトがいる場合、今週の星占いに「あなたは○○を諦めるかもしれません」と書いてあったら、「かも」にやたらと注目(執着!?)して、「『かも』だからな。まだわかれへんデー」と虚勢を張ったりする。




本当のことは、どんなにうまく逃げても追ってくるというのに。

本当は、諦めるのが怖いだけなのだ。



☆ ★ ☆ ★ ☆ ★



僕も人並みに占いは気にする。


占い通りになったら「やっぱりー」って思うし、ならなかったら「自分のとらえ方がマズかたんだろう」とか思っている。


でもそれって、占いに自分を合わせてるだけなんだよね。占いで「終わり」みたいなことが書いてあっても、現実の人生は進んでいくのに、ね。


困った、僕ら。

金曜日の朝だったか。


トーストをかじっていると、突然(いつも「突然」なのだ)母親がニコニコしながら工場で着る黄色と黒のエプロンを翻し「お母さんがもしボケたら、施設に送っちゃっていいかんね!」と言った。


突拍子もないことを言って家族を笑わせるのが特技と言っても過言ではないウチの母親だけど、こういう話題もさらりと言ってのける。


一瞬、アヲハタイチゴジャムをいっぱい塗ったトーストの味が分からなくなるくらいビックリしたけれど、これが僕のお母さんなんだなぁと思う。


イリ「何で急に・・・」

母「ん。だーかーらー」


一昔前の女子高生みたいな、間延びした声で言ったことの要旨は、こうだった。


もし、自分がボケても「家族なんだから自分たちの手で介護しなければダメだ!」という風に考えてほし
くないということ。さらに言えば、自分を介護してくれることで僕や弟が将来つくるであろう家庭に迷惑をかけたくないということ。


つまり、純粋な家族愛が、次の世代をつくっていく新しい家庭を壊すことを恐れているということだろう。


その心意気は、買いたいと思う。祖父母の世話などを通して、母親なりに考えたことなのだろう。でも、いきなりすぎて、驚く。


イリ「でもさ、そんな先のこと今の今からそんなにニコニコしながら言われても・・・^^;」

母「ん・・・、そだね。仕事いってくる!^^」


そう言って、母はひらりとエプロンを翻し、仕事場に向かう。いつものように、元気いっぱいで。


僕は、まだ半分くらい残っている冷えて固くなったトーストを見つめながら、あとどれくらい今朝と同じような風景が見られるのだろうと思った。


でも、そんなこと誰もわかんない。知りたくもない。明日かもしれないし、10年後かもしれない。いつそのときがくるかなんて、誰も知らない。


だから、いつもと同じように「お母さんはボケたんだ。もっとおもしろいツッコミいれりゃよかった」と苦笑しながらいくぶん屈折した反省をする。予定調和の会話にも、真実はきっとある。




日常の愛おしさって、こういう瞬間にあるのでは、ないかしら。

例えば。


今よりも若いころは、「成功した瞬間」とか「達成した瞬間」がうれしかった。テストが終わった、志望校に合格した、バイト代が出た、ライブで踊った、憧れの服を買った、仕事で成功した、誰かに感謝された・・・。とりわけ女の子に告白してOKされた日にゃ、昇竜拳でもできそうな感じだった。


もちろん齢を重ねたって何かをやり遂げたらうれしいことに変わりはないのだけれど、ここのところどうも違うような気がする。


歳取ったんだな、きっと笑


+ + +


例えば。


ちょっと前の読売新聞に、大きい写真付きで9年連続200本安打の大リーグ新記録を達成したイチロー選手の記事が載っていた。


彼がもし、単に「9年連続年間200本安打」という新記録達成に「向けて」野球をしていたら、今とは違った結果になったかもしれない。


ん、わかりにくい?


イチロー選手の目標は「200本打つぜベイベー!」ではなく、「ヒットを打ち続けること」が目標だったんじゃないかってこと。


新聞を読むと、彼はあくまで200本を毎日汗を流してきたことの「結果」としてとらえており、200本に至るまでの過程が「ワクワクした」というようなことを言っていたから。


人がワクワクするときには、ほとんど理由がない。だからイチロー選手は当然、ヒットを打ち続けることを時に楽しみ、時に苦しんでやっていると思う。



+ + +



してみると、能力や経験の差こそあれ、そういう意味で僕らも何がしかの可能性を秘めたイチロ〜〜〜・スぅ〜ズぅ〜キぃ〜(大リーグのアナウンサー風に発音希望)なんだろうなぁ(飛躍しすぎ!?)。


だって、誰もが何がしかの希望を持っているから、毎日泣いたり笑ったり悩んだりしてとりあえず生きているわけでしょ?


その夢や目標や思いや想いが、庶民的だろうと、世俗的だろうと、ショボかろうと、個人的だろうと、自己満足だろうと、卑下することはない。




断じて、断じて。




自分だけの幸せや楽しみなんだから、誰ともバッティングしない。人と比べてうらやんだり妬んだりする必要がないから、安心して楽しめる。



そう。



夢への道のりは、いつだって苦しくて楽しい。




だから、オレもオマエもイチロー・スズキ。


キミもアナタも、イチロー・スズキ。


あの子もこの子も、イチローズズキ。


みんながみんな、イチロー・スズキ。




かっとばせー、俺♪
慌しい日々がひと段落した(ような気がする)。



今月はじめから仕事に忙殺され、土日がない(笑)。来年の春先の記事のために今から予定を組んでいたりする日々。当然、ボクシングジムに行く気力もなく、走るのも億劫になっている。





9月の始めごろ、おじいさんが死んだ。





といっても施設に入っているウチのじいさんではなく、6月にトップ記事で取材したおじいさん。会社に電話があった翌日に喪服に身を包み、通夜に駆けつけると、おじいさんは遺影の中で穏やかに笑っていた。


その笑顔にはなぜか見覚えがあった。一度も会ったことのない娘さんにおじいさんが掲載された新聞を手渡す。娘さんはおうおうと泣き崩れた。遺影の写真は、僕が撮ったものだった。


生きていると、時々いろんなことに出くわす。


+ + +


先週の木曜日、駅前の洋菓子屋のパティシエさんを取材した。


店主はまるで朝の連続テレビ小説「つばさ」の甘玉堂のタケちゃんぽい。ふっくらしていて、おだやかで。取材中母親のおばあちゃんが横で口を挟むと、とたんに小さくなっちゃったりして、かわいい。


そのタケちゃんが7年かけて作ったモンブランの話を聞く。業者とのやり取りや生クリームの流通ルート確保のために奔走したこと、材料の栗農家との交渉、食べ物を作っている職人の自負。


既製品の素材はおろか、添加物を一切使わないこだわりは、亡き父の影響という。「お客様にハンパなものを出すな」。その教え通りに息子は働き、毎日毎日一つ360円のモンブランを作り続けている。


「話を聞くだけではわからんでしょう」と、ショーケースの中から一つ出してくれた。口に入れると、甘さ控えめのカスタードクリームからは、バニラの香りがふわっと広がる。


「昔ね、バニラビーンズ入れたら『ゴミ入ってるよ』とか言われてねぇ」とタケちゃん。


「ふふふ。おたくのケーキにはコショウ入ってるのねという人もいたわネ^^」とおばあちゃん。


快晴の日曜日、再びケーキ屋さんを訪れる。仕事で行ったときと変わらない笑顔で迎えてくれる家族を見て、なんだかうれしくなってくる。


ケーキを箱に入れてリボンを結んでくれたのは、「つばさ」の多部ちゃんみたいな意志の強い目をしたタケちゃんの娘さん。


そのつばさちゃんがケーキの箱を何の変哲もない白いビニール袋に入れようとしたとき、おばあちゃんがその手をそっと抑える。


いっぱいの笑顔と共に僕に手渡された袋には、きれいな花柄がプリントされていた。


+ + +


毎日、一回きりで会う人や顔見知りや、愛しい人や苦手な人や、好意を持ったり持たれたりする人の喜びや笑顔や、悩みや、悲しみ、愛おしさ、うれしさ、孤独、寂寥が降ってくる。


そういうことが自分のことだけで精いっぱいな僕に、最近やたらに集まってくる。


僕にはどうすることもできないのだけれど。


でも、死んだおじいさんが誰のためでもなく地域の歴史を調べたり、タケちゃんがこだわりのモンブランを黙って作り続けるみたいに、役に立たなくても黙って受け止めて何もしない人がいて、なにかのバランスが取れているのかもしれないなぁ。


だからってどうということもないのだけれど。
幸いこのブログを始めて以来、何も書きたくない気分のときは結構あったけど、書くネタに困ったことはない。


日々、驚天動地の出来事もないしロマンチックな逢瀬もない。呼吸も忘れるほど嫌な事も毎日は起きないし、それ以上に頭の中でティンパニーが鳴り響くような出来事もそうそうない。僕は極めて平凡に毎日を過ごしている。


ちっぽけな町に住む少年たちの心の成長をたった2日間の「非日常」で描いてみせた一本の映画は、なんでもない日常を書き続ける動機なのかもしれない。


* * *


1959年、晩夏のオレゴン州キャッスルロック。


映画『スタンドバイミー』の主人公ゴーディーは不良なんだけど文学少年。うだつのあがらない毎日から英雄になろうとクラスメートと死体探しの旅に出る。


コヨーテの鳴く漆黒の森でラジオを聴きながら食後の一服をふかす4人。落ちこぼれの少年3人にせがまれて話すパイ食い競争の語は最高にクールだ。


テディー「・・・それで、デブのホーガンはその後どうなった?」


ゴーディー「どうしたって・・・。町へ帰ってバーガーでも食ったさ」


バーン「なんだ、つまんねぇの」


テディー「こういうのはどうだ!?ホーガンは軍隊に入る。ノルマンディー上陸作戦でドイツ軍を・・・」


ゴーディー「勝手にしろ」


話はそこで終わりなのだ。「その後のこと」なんて誰もわかりゃしない。そんなのガキが考えりゃいいことさ。


ゴーディーの物語はウケるが、冷え切った七面鳥のような顔をした両親にはウケない。唯一「面白い」と言ってくれた兄も、もうこの世にはいない。


だから彼は将来作家としてやっていきたいという自分自身を肯定できない。苦しい胸の裡を親友のクリスにだけは打ち明ける。


クリス「君は文章を書く才能がある。作家になれ」


ゴーディー「書けないよ。僕には書けっこない。父さんは僕が嫌いなんだ!!」。


取り乱すゴーディーをやさしく抱きしめてクリスが言う。


「オマエの父ちゃんはオマエのことをなんもわかっちゃいない。お前ならきっといい作家になれるよ」


そして、こう言った。




「書くことに困ったら、僕らのことを書けばいい」と。




+ + +



幸い僕は、今までほとんど書くのに困ったことはない。


でも、ここで日々の出来事を切り売りしていくことに、少しだけ飽いていたような気もする。どうせ自己満足な文章の練習だ。



でも、一体僕は誰に向けて書いていたのか。誰のために書いてきたのか。



趣味? 好き? 嫌い? 自己啓発? ボランティア?  自己PR? 出会い?



 
まさか。




人助け? 助け合い? ご報告? 自己満足? 目立ちたがり?




違う、違う。




「たかがブログでそこまで難しく考えるな」って?


ほっとけ(笑)。



* * *



たぶん。

たぶん、一人でブランコに乗ったり、おねしょしたネコがサバのカンヅメを探すの絵本の挿絵を飽きずに読んだこと。


夕暮れの空き地で膝小僧を抱えて泣いていたあの娘の前を黙って通り過ぎちゃったこと。


みんなに仲間外れにされていじめられていた子を救えずに、徒党を組んで指差したこと。


遥か頭上を飛んでいった野球のボールを草むらで見つけて、自分に重ねたりしたこと。


心にも体にも取り返しのつかない大きなケガをして、すべてが信じられなくなった青い春のヤクザな出来事。


こんな自分でも誰かに必要とされることを知り、生きる意味を見いだした愛の季節。


湿気たビスケットみたいな日々の中「いつかこれも懐かしく思い出す日が来るさ」と自らを励まして歩いた寒くて堅い石畳。



そう。



そんなつぎはぎだらけの連続性が失われてしまわないように、今と昔の自分を折にふれて縫い合わせているのかもしれない(家庭科は『2』だったけど)。


知らん顔して通り過ぎてきた季節に置き去りにされた僕の影たちが、ややもすると快楽の温泉に浸って忘れてしまいそうな僕に、こう言っている。「僕らのことを忘れないで」と。




そして、




「書くのに困ったら、僕らのことを書けばいい」って。





ここ1ヶ月ほど、少なくない方にご心配をおかけしました。すみません!
メッセージもらったりして、とってもうれしかったです。
ありがとうございます。

時に深く傷つくけど、人は他人を通してしか本当の自分を知ることができません。
だから、これからもちょっとずつ書いていこうと思います。

「打倒!! こ○ちゃんの簡単レシピ」でがんばるぞー!(笑)。
2009年初秋 秋生まれだからトンボ大好き。    イリイリ

全19ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]


よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

いまならもらえる!ウィスパーWガード
薄いしモレを防ぐパンティライナー
話題の新製品を10,000名様にプレゼント
ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!
いまならもらえる!ウィスパーうすさら
薄いしモレを防ぐ尿ケアパッド
話題の新製品を10,000名様にプレゼント

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事