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「十年一昔」という。イリイリ19歳、大阪で迎えた春。 |

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「十年一昔」という。イリイリ19歳、大阪で迎えた春。 |
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ひとつのことをずっと考えてしまう癖がある。それは学校や会社でのフラストレーション、人間関係の行き詰まりなど様々だ。僕たちも、僕たちよりもずっと年配の大人だって、そんなことを考えたりすると思う。でもたいがいはお酒を飲んだりぐっすり眠ったり、あわよくばステキな夢でも見られれば次の日にはすっかり消えてしまう。やってきた明日が高く、どこまでも澄んだ秋の青空だったりすれば、なおさらだ。 |
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仕事から帰ってくると弟を除いて我が家は寝静まっている。もっとも祖父は病院のベッド、祖母は母屋に、兄は都会暮らしなので、正確には父と母がすでに就寝中なのだ。4、5日前の夜、帰宅すると2階の角部屋が明るかった。親の寝室だ。すでに11時を回っている。いつもなら寝ているはずだけど、たまには見たいテレビでもあるのだろう。別に気にもしなかった。車を停め、荷物を自分の部屋に置き寝室の隣のトイレに行った。 |
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朝起きると、テレビでは「台風が来る」と大騒ぎしていた。窓を開けると生暖かい風が唸り、唸るけれども、空のずっと上のほうは、僕には穏やかに見えた。どんどん雲が流れていく。やっぱり行こうと決めた。こんな日に行ってしまうのが僕らしい、と思ったのだ。バスと電車を乗り継いで2時間、神奈川県の茅ヶ崎駅に着いたのは正午少し前だった。 |
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昔々のお話・・・ではなく、ごく最近の話。京阪神のある都市、そこはもう隣の県との県境にも程近い場所に、いろんな意味でたいそう未熟な男がいた。何が未熟かって27にもなるのに定職に就かず、友達の喜びを素直に喜べないヘソ曲がりで、小さなことをいつまでも消化しきれない小心者で、さらに人を妬む心は人一倍という、ま、言ってみれば結構最低なヤツだった。 |
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