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『618』 もうすぐだ。 何故か、そんな衝動に駆られてしまった。 そこから行動に移すわけではないけれど、ただその日付に私の中で何かが覚醒し た。 既に想い出アルバムの中に埋め込まれた人なのに、梅雨のせいだからだろうか? 雨音が呼び醒ましたのは、アルバムから抜け出した微かな禁忌だった。 「まだ、忘れてなかったんだ」 思わず、ヒトリ部屋で呟くほど・・寝惚けていた目が一瞬で醒めるほどの驚きようだった。 目覚まし時計を見て・・今日が土曜で、まだ明日までは16時間、あの人と逢うまで30時間くらいあることを確認する。 そんな事実にホッと胸を撫で下ろしながら、私は漸くベッドから抜け出した。 あのままいれば、今日一日の素穴と化してしまう場所、それほど梅雨入り直後の雨は身体が拒否していた。 (明日は晴れて欲しいなぁ) そうして明後日、また雨ならば・・きっとアルバムは濡れて、開く必要すら無くなる筈。 心なしか、私はそう考えることで・・想い出の君の存在を薄らごうとしていた。 相当昔のことだから、忘れても良いくらいなのにね・・。 君と遊んだ場所たちに行けば、あの頃はしゃいだ私たちの姿があって、毎日が冒険の日々だったことがリプレイされる。 写真には残らない小学校の休み時間だって、私のアルバムには沢山残っていた。 きっと、今とても大切な人と出会えたのも・・あの頃があってこそ、なんだろうね。 たまに思い出しては、大切な人に話したっけ?とても『初恋の人』とは言えなかったけれど、まばゆい想い出なんだよ。 特に大学から出された課題に危機感を募らせていないせいなのか、はたまた雨足が午後になって一段と強まったせいか・・どうも落ち着いていられなかった。 「まるで、休み時間を教室で過ごすような、そんなやりきれ無さだよね」 トホホという文字が、確実に背中に立っているような凹み具合。 そんな日は・・決まって、鬼ごっこをした、あの頃。 ずっとロッカーの上に飾られた担任の先生お手製のクラス全員の誕生日カードが目についていた。 6月18日、其処に想い出の君の名前があった。 忘れられないのは、君の優しさに溢れた言葉が、心に残っているからかしら? もしかしたら、確実に動いた心の変化、君にすれば普通に発した言葉だったのかもしれない。 もし・・万が一街中で会っても、もう話をする勇気はナイけど、叶うなら・・伝えたい。 君のお陰で、私は幸せになったの。 君の優しさが、私を強くしてくれた。 君を・・好きになったこと、後悔はない。 ただ、忘れられないことは・・許して下さい。 私にとっての最初の分岐点、ですから・・。 もうすぐだ。 君の21回目の誕生日、オメデトなんて言えないけど、心の中で小さく拍手。 ホラッ、小さな私も・・こっそり拍手。 大好きなあの人ですら、この空間には入れない。 どのくらい・・空を見ていたのだろう?既に夕陽に家も私も想い出も・・染められていた。 そして願った。 時計の針が午前零時を指す瞬間、梅雨まっしぐらな空は雨音でお祝いをしてくれますように・・。 【あとがき】
勝手な作品という位置付けをしたい。 実話といえば、あまり否定は出来ないし、だけど…脚色はした。 今日の日付に合わせるって難しかったケド、決して届かない場所にいる人だから(笑) 楽しく書いてみた。 |

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