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やっぱりここだ。
バスケ部の部室のベンチに仰向けに寝転んでいる駿を見つけた。
「駿!」
「あ、綾乃ちゃん…」
駿は寝転んだまま顔だけをこちらに向けると、弱々しく微笑んだ。
駿が落ち込んでいる理由はわかってる。
昨日の試合は、全国大会をかけた大事な試合だった。
相手は優勝候補と名高い強豪チーム。
接戦の末、試合終了直前の最後のボールが駿にパスされた。
これさえ決まれば逆転勝ち…という駿のシュートは相手チームのディフェンスに阻まれゴールをそれた。
駿の落ち込む気持ちはわたしが一番よくわかる。
だって、わたしはバスケ部のマネージャーとして、そして駿の恋人として、どれだけ駿がこの試合のために努力してきたかを知ってるから。
「何、クヨクヨしてんの?試合はこれが最後じゃないんだよ?全国大会は来年もあるの。落ち込んでる暇なんてないんだからね。」
「はぁ…僕ってさぁ…かっこ悪いなぁと思ってさ。だって、会長みたいに勉強ができるわけじゃないし、竜士みたいに音楽ができるわけでもないじゃん?バスケしかとりえがないのに、あんな負け方しちゃってさ…。かっこ悪いよね。」
わたしは寝転んでいる駿の顔を覗き込んだ。
「ううん。超かっこ良かったよ。試合に勝とうが負けようが、駿はわたしにとって世界一かっこいいの!」
すると、駿の顔がぱぁーっと花が開いたように明るくなった。
「ほんと?」
「うん、ほんと。」
駿はベンチの上で半分起き上がった状態になった。
「さ、早く起きて!元気出してなんか食べ行こ!」
わたしはそう言って手を差し出した。その瞬間、
「きゃっ!」
駿が、伸ばしたわたしの手を自分の方にグッと引っ張った。
よろけたわたしは寝転んだ駿の上に重なるように倒れてしまった。
「綾乃ちゃんがいてくれてよかった〜。」
そう言って駿はぎゅっとわたしを抱きしめた。
駿、あなたがたとえバスケを辞めたとしても、わたしにとってはあなたは最高のヒーローなんだよ。
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