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Q27
自衛隊を海外に出したとき、戦えますか? A 離島奪還作戦などのグレーゾーン事態は、個別的自衛権の行使とつながることもあり、さきのような武器を持つ自衛隊を投入することも可能になると思いますが、ハードルか高いのか海外における武器使用の問題です。 閣議決定の直前の段階でも、おかしな政府方針が浮上していました。2014年6月5日付の共同通信は次のように報じています。 〈武器使用拡大へ新基準自衛隊海外活動で政府「国に準ずる組織」限定憲法制約なし崩し懸念 政府は4日、安全保障法制見直しの一環で、海外で自衛隊に認める武器使用の範囲拡大に向けた調整を本格化した。憲法上、武器を使う相手として禁じる「国または国に準ずる組織」の定義を大幅に限定する新たな判断基準を追加し、与党に提示した。従来禁じてきた「任務遂行のための武器使用」や「駆け付け警護」を可能とする狙いだ。(後略)〉 政府は従来、海外での武器使用について、相手が「国または国に準ずる組織」の場合には、憲法が禁じる「国際紛争を解決する手段」としての武力行使に当たる恐れがあると解釈し、原則として武器の使用を正当防衛や緊急避難に限ってきたのです。 それが、新たに示された判断基準では、自衛隊の派遣先について、 (1)日本が相手国の政府を承認しており、 (2)相手国政府が領域を実効支配している場合 は、領域内に「国に準ずる組織」は存在しないとみなすとされています。これが採用されれば、政府の認定によっては自衛隊の武器使用が違憲とならない地域を広げることができる、というのです。 これによって、 ①国連平和維持活動(PKO)に従事する自衛隊員が、離れた場所にいる民間人が武装集団に襲われた場合に救援に赴く「駆け付け警護」 ②武装集団による通行妨害などで任務遂行に支障が出た場合の警告射撃 など「任務遂行のための武器使用」に関する法整備について、憲法上の制約がほぼなくなり、外国での邦人救出に自衛隊を活用する余地も生まれるとしています。 中小規模の武装勢力に対応できない!
この判断基準を読んで、変だと思いませんか。 まず、「国または国に準ずる組織」に該当しなければ、大した武器は備えていないということになりますが、本当でしょうか。そして、そのように決めつける根拠はどこにあるのでしょうか。 この政府の判断基準は現実を無視しているとしか言いようがありません。相手が「国または国に準ずる組織」でなくとも、自衛隊が備えている以上の威力の武器で攻撃してくる可能性は、想定しておかなければならないことだからです。その場合、これまで派遣された自衛隊が装備していた武器では、正当防衛や緊急避難のための武器使用ですら成り立たないのです。その現実が忘れられています。 2001年、同時多発テロを受けたアメリカのアフガニスタン攻撃のとき、日本政府は反政府武装勢力タリバンを「国に準ずる組織」とみなし、自衛隊の派遣に歯止めをかけた例があります。 しかし、さきに述べたように、タリバンより装備的にも劣るソマリアの武装勢力が、米軍の特殊作戦用ヘリを撃墜し、アメリカのソマリア撤退のきっかけとなった1993年10月のモガディシオの戦いなどのケースを忘れてはなりません。 政府がいう「国に準ずる組織」に該当しない中小規模の武装勢力でも、多数のRPG−7対戦車ロケットや82ミリ迫撃砲を備えているのは常識です。これまで派遣されてきた陸上自衛隊が備えてきた武器の質と量では、その攻撃を阻止したり、民間人などを守るための戦闘など不可能としか言いようがないのです。 そのような任務を遂行できるためには、少なくとも陸上自衛隊の普通科(歩兵)連隊が装備している120ミリ迫撃砲、81ミリ迫撃砲、84ミリ無反動砲を定数いっぱい、そして十分な弾薬も、持っていくことが許されなければなりません。 ここで、安全保障に関する日本の議論のレベルの低さが、またしても露呈してしまいます。武器使用に関する規制は語られるものの、どんな武器を持っていくかを明確にする議論が存在していないからです。 紙幅の関係で結論的に述べますが、陸上自衛隊の普通科(歩兵)連隊が備える120ミリ迫撃砲以下の部隊装備火器の範囲内で取捨選択するものとし、そこで明確な線引きを行うべきです。 陸上自衛隊が外国の正規軍相手に戦闘する場合に編成する連隊戦闘団(RCT)の形で海外に派遣することは、リーチの長い「矛」にあたる戦車中隊、特科(砲兵)大隊などを配属することもあり、それが可能なように憲法を改正しなければ無理ですが、「楯」の性格を持つ120ミリ迫撃砲以下の部隊装備火器であれば、憲法解釈の範囲内で国際平和協力活動などに派遣できるはずです。 これは、安倍首相が閣議決定にあたって、「自衛隊がかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことはこれからも決してありません」と明言したことと重なる考え方です。政府は、RCTの手前で厳格に線引きすることを、国民に説明すべきなのです。 報道されたような判断基準が生まれるのは、派遣される陸上自衛隊の声が反映されていないからにほかなりません。その声を聞かず、机上の空論を平然と出してくる官僚たちも大問題ですが、それに疑問を抱くことも、そして現場の自衛官の声を聞くこともなく、記事を垂れ流すマスコミには呆れてものが言えません。 |

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