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Q29
集団的自衛権に関するテレビ番組を見ていても、まったく理解できません。私の頭が悪いからですか? A
私自身、集団的自衛権についてはメディアからずいぶん取材を受けましたが、報道機関の劣化が著しいと感じました。 第5章では、集団的自衛権と「歯止め」の問題について述べますが、日本の民主主義を機能させるうえで中心的な立場にあるメディアのレベルが低くては、日本が平和主義をつらぬくことも、国民の安全を図ることも危ういと言わざるを得ません。その意味もあって、この章ではメディアの責任を厳しく問い、奮起を促したいと思います。
まず、日本のメディアに典型的な集団的自衛権の取り上げ方の例を、テレビから一つ紹介しましょう。NHKスペシャル『いま集団的自衛権を考える』(2014年4月12日午後9時〜10時30分放映)です。 事前の番組宣伝のキャッチコピーは、「いま政治テーマに浮上してきた『集団的自衛権』・集団的自衛権の行使容認は必要か否か?憲法解釈を変更することの是非は? 政府の代表、憲法と安全保障の専門家が徹底討論」というもので、出演者は、礒崎陽輔(首相補佐官)、北岡伸一(安保法制懇座長代理)、豊下楢彦(前関西学院大学教授)、宮崎礼壼(元内閣法制局長官)、森本敏(元防衛大臣)、柳澤協二(元内閣官房副長官補)の各氏でした。 賛成派と反対派を呼んで意見を述べさせるという切り口では、最初から番組の限界が現れています。日本的な価値観の中に埋没したままで、旧態依然たる賛否を語らせ、いくら意見を戦わせても、一歩も前進しない、という見本のような番組でした。 番組への出演依頼が白紙に
実は私は、この番組の準備段階だった3月19日の午後、番組関係者3人と1時間半ほど会って話しました。いずれもディレクターで、みんな優秀そうな人たちでした。そのとき私が強調したのは、本書の「はじめに」で述べたようなことでした。 おさらいしておきますが、集団的自衛権を考える上で押さえるべきポイントは、 第一に、「そもそも国家の平和と安全をどう確保するのか」を考えること。 第二に、日本の防衛力の現状を直視すること。 の2点です。 集団的自衛権に限らず、日本では「賛成か反対か?」の議論から始められる傾向があります。総論がなくて各論から始まるのが日本の議論の特色ですが、ぜひNHKにはそのレベルから抜け出してほしいとお願いしました。 しかし、私の願いはまったく通じなかったようです。「討論番組にしたい」というので、私はNHKの3人に「私は番組でも同じことを話すから、柳澤氏あたりをやり込めてしまうかもしれない。礒崎首相補佐官や森本元防衛大臣と意見が対立することはないが、それ以外はみんなコテンパンだと思うよ」と言っておきました。 そのとき3人がいかにも困った顔をしたので、今回は番組に呼ばれることはないな、と思いました。案の定、NHKからの連絡はありませんでした。 その後、インターネットなどに出てきた番組への評価を見ると、くだらない番組だ、出演者の頭が悪すぎる、といったコメントが目立ちました。NHKにありがちな、ステレオタイプの賛否両論を併記し、問題の核心が何であるかわからないまま終わる番組でした。 そもそも日本でしか通用しないテーマを賛成か反対かで議論し合っても仕方がない、ということに気づいていないのですから、申しあげたような「戦略なき戦術論」を地で行った番組だったわけです。 |

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