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Q31
朝日新聞は、集団的白衛権を行使すれば自衛官に戦死者が出るとばかりに、ドイツの例を大きく取り上げました。これは本当ですか? A
大誤報です。とにかく、集団的自衛権の行使容認を阻止するためなら、何でも使ってやろうという姿勢ばかりが目につきます。 詳しくみていきましょう。 朝日新聞(2014年6月15日付朝刊)は、アフガニスタンに派遣されたドイツ軍人の犠牲を、「集団的自衛権海外では」と銘打って朝刊1面トップで取り上げました。しかしながら、この記事は、「集団安全保障」を「集団的自衛権」の行使と誤報しているばかりか、ドイツが実際に集団的自衛権をアフガンで行使したケースを見落としているなど問題の多いものでした。 私の同僚の西恭之氏(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教)は、アフガンヘのドイツ軍の派遣を時系列で整理したうえで、次のように指摘しています。 * 〈朝日新聞の記事は、ドイツ軍の国際治安支援部隊(ISAF)への派遣を、あたかも集団的自衛権の行使であるかのように取り上げています。しかし、ISAFは国連安全保障理事会が、タリバン政権崩壊直後のアフガン情勢を、「国際の平和と安全に対する脅威」と認定したため、2001年12月20日の安保理決議1386号において承認した、集団安全保障活動です。特定の国への武力攻撃に対する集団的自衛権の行使ではありません。 集団的自衛権と集団安全保障を混同
これに対して、ISAFより前に始まったアフガンにおけるドイッを含む各国の武力行使は、集団安全保障ではなく自衛権の行使です。そこに朝日新聞は触れていません。 NATO(北大西洋条約機構)は2001年10月2日、米国同時多発テロがNATO条約第5条における武力攻撃に該当すると決議しました。この条文は全締約国に、「個別的または集団的自衛権を行使して(略)攻撃を受けた締約国を援助する」責務を課しています。 ドイツは同月、集団的自衛権と北大西洋条約第5条の責務に基づいて、陸軍特殊戦団KSKをアフガンに派遣しました。従って、朝日新聞記事の独軍が「アフガンに派遣された02年」という記述も誤りです。 KSKは、アフガン南部の偵察・監視作戦「タスクフォースKバー」(2001年10早02年4月)、オサマ・ビンラディンとの「トラボラの戦い」(01年12月)、アルカイダとの最後の通常戦闘「アナコンダ作戦」(02年3月)に参加しました。 弄、米国同時多発テロ翌日の安保理決議1368号は、武力行使を集団安全保障における措置として容認した決議ではありませんでした。武力行使の可能性は、決議の前文において、「国連憲章に従って個別的又は集団的自衛の固有の権利を認識する」とだけ触れられていたにすぎません。 朝日新聞の取材に対して、ドイツ軍幹部は「後方での治安維持や復興支援のはずが、毎日のように戦闘に巻き込まれた」と述べています。この取材と表現が正確であるとすれば、一般的な戦争のような前線が明確でない対反乱戦においては、治安維持と復興支援こそが前方であり、主な補給拠点だけが後方であるという理解が、ドイツ軍に浸透しておらず、対反乱戦への備えがなかったことを物語っています。 そうした平和構築の中核をなす対反乱戦の常識を踏まえれば、「後方支援独軍55人死亡」という見出しも、対反乱戦における後方支援の位置づけからして正確ではない。また、厳密に言えばドイツ人犠牲者55人のうち2人以上が連邦警察特殊部隊員であり、軍人ではありません。 もっとも、ISAFはドイツの国内事情やドイツ軍が海外での活動に習熟していないことなどに配慮し、比較的安全なアフガン北部をドイッ軍に担当させていました。その意味では、ドイツ軍は「後方」に配置されていたということができます。〉 西恭之氏の指摘は、朝日新聞がドイツ連邦軍とKSKの関係者を取材していれば、KSKがアフガンで集団的自衛権に基"つく任務とISAFの集団安全保障任務の両方を与えられた問題や、米軍特殊部隊との交戦規則の違いを、集団的自衛権行使の問題として報道できたことを物語っています。 朝日新聞は自らの影響力の大きさと歴史の証人(記録者)としてのジャーナリズムの使命を自覚し、再取材のうえ、正確な記事を掲載する責任があります。 目立たない訂正記事でごまかすことがないよう、くれぐれも願いたいものです。 |

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